俺はまだ本気出してないだけ
俺もまだ本気だしてない件
俺はまだ本気出してないだけ 青野春秋
六文銭
六文銭
この本読むと謎に元気が出る。 中年のおっさんが、急にサラリーマン辞めて一念発起して漫画家になろうとする話。 突拍子もない展開だが、プロの漫画家にすんなりなれるわけもなく、当然父親にブチぎれられたり、世間とか社会の厳しさとか、そういうのが普通にやってくる。 バイトで糊口をしのぐのだけど、バイト先でも年下にからかわれたり(例えば店長と呼ばれる。ポジションではなく年齢的な意味で)、バイト先のメンバーと合コン行っても合コン相手にディスられる。 逆に、娘だったり、友人だったり、元会社の後輩だったり、応援してくれる人もいる。 人間同士のつながりみたいなのが色濃く出て、主人公を小馬鹿にする人と、そうじゃない人の対比が良い。 最初のうちは、何の根拠のない自信をもっている主人公を薄目でみているんだけど、抜けているけど味のある人間味にだんだん応援したくなってくるから不思議。 周囲の人間に恵まれてて、これはこれで楽しそうとか思ってしまう。 ダメでもいいじゃない、人間だもの、みたいなフレーズが浮かぶ。 俺はまだ本気出してない と思いながら、その可能性の中で生きていくのも、ある意味幸せなのかもなぁ。
G戦場ヘヴンズドア 完全版
非自伝的マンガ家マンガ!!
G戦場ヘヴンズドア 完全版 日本橋ヨヲコ
酒チャビン
酒チャビン
マンガ家マンガが大好きなのですが、こちらの作品は全然知りませんでした。今回、縁あってご紹介いただいて読んだのですが、めちゃくちゃ面白かったです!!! マンガ家マンガといっても、大きく分けて①自伝的な内容または特定の実在人物をモデルとしたのもの(まんが道・ブラックジャック創作秘話など)と、②マンガ家を主人公に添えつつも特定のモデルはなく、架空の物語のもの(バクマンなど)がありますが、本作品は②のパターンです!! バクマンもジャンプ連載作品だけあって、少年漫画的な熱さがありましたが、本作品もかなり熱い!!!シンプルに話が面白く、目頭が熱くなることが度々ありました!全3巻と読みやすいボリウムですが、内容はすごく濃いと思います!!! 読者への人生の教訓というか、メッセージ性も非常に強く、わたしもがんばらないといけないな、と自然と思わせられます。逃げ出したくなったときに改めて再読したい、そんな作品です!! 印象に残ったセリフは以下のとおりです! 「見ろよこの青い空 白い雲。そして楽しい学校生活。どれもこれも君の野望をゆっくりと爽やかに打ち砕いてくれることだろう。」 「君にこれから必要なのは絶望と焦燥感。何も知らずに生きていけたらこんなに楽なことはないのに。それでも来るか、君はこっちに。」 バクマンの方は少年マンガ的なピュアな情熱を持ったキャラが主人公でしたが、こちらの登場人物たちはかなり痛々しさ(あえてそういう風に描写されてるんだと思われます。)があり、そこは好き嫌い分かれるところかもしれません。
洗礼
母と娘の関係の真理をついてる
洗礼 楳図かずお
かしこ
かしこ
絶世の美女として有名な大女優・若草いずみには誰にも言えないコンプレックスがあった。それは普段はドーランを塗り固めて隠している顔にできた大きなアザと、どうしても抗うことのできない老いである。しかし主治医からある提案をされたことにより、彼女は女の子を産む。そして芸能界を捨てて表舞台から姿を消した…。数年後、大女優だった面影がないほど醜くなった母親は、昔の自分のように美しく育った小学生の娘・さくらを襲う。そして娘の身体に自分の脳を移植する手術を行うのだった!美しい身体を手に入れた母親は、これまでの人生では手に入れられなかった平凡だけど幸せな生活を送る為に、新婚だった担任の家に潜り込み、その妻を殺そうとする…。 母親と娘の関係って怖いですよね。仲が良くても悪くても怖いよな〜って、自分を見ても、他人を見ても感じます。やっぱり似てしまうからしょうがないってところもあるんでしょうけどね。脳移植後の見た目は少女だけど中身はオバサンっていう恐怖は「エスター(映画)」にも似てるなって思いましたが、オチは「洗礼」の方が怖かった。自分が娘だからより怖く感じたんだと思う。これを少女コミックで連載してたってヤバすぎる。笑!