IKKIコミックスの感想・レビュー97件<<12345>>予測不能の人生。美咲ヶ丘ite 戸田誠二Pom 美咲ヶ丘駅に住む人達の人生を1話完結で。 どんな話かなとおもいきや、意外にじんわりと心に響く作品。 話ごとに内容も濃く、読み応えがありました。 忘れかけてる感情を引き出してくれたような、そんなお話の数々でした。 (でも、最初の話はある意味中々衝撃的)妖怪多めSF(少し不思議)系短編集入り勝ち 西尾雄太名無し同人誌に掲載された短めな作品が多いんだけど、妖怪が出てきたり設定がどれもちょっと変わってて面白かった。単行本のタイトルにもなってる「入り勝ち」だけ商業誌IKKIに掲載されたらしい。でもこれも異類婚姻譚的な話だった。 個人的には「ハーピア」が好き。世界の終末に備えて科学者のお姉ちゃんが自分の身体のデータを使ってアンドロイドの試作品を作ったんだけど、シスコンの妹のところに逃げちゃう話。1巻分くらいの長い尺で読みたいんだけど連載化してくれないかな。最高の1冊(個人の感想です)LA QUINTA CAMERA ~5番目の部屋~ オノ・ナツメサミアド大好きな本です。 作者さん初期の作品ですが、1番好きです。 セリフや描写に無駄が無く洗練されています。 男性4人+短期留学生がルームシェアする話で、穏やかで暖かいストーリーです。 お涙頂戴の派手な演出は少なく、登場人物の表情や飾らない言葉に心を打たれます。 特に好きなのは本編最終話の最後のページ。 なんて事ない言葉なのに、彼らが本当に楽しく暮らしてきたのが伝わってきて、心の底から感動しました。 登場人物は個性的だけど良い人ばかり!安心してスイスイ読めます。1冊で過不足なく綺麗に完結しています。 特徴的な絵柄なので合わない人は合わないと思います。そこだけはご注意ください。内容は個人的には文句無しです!母と娘の関係の真理をついてる洗礼 楳図かずおstarstarstarstarstar_borderかしこ絶世の美女として有名な大女優・若草いずみには誰にも言えないコンプレックスがあった。それは普段はドーランを塗り固めて隠している顔にできた大きなアザと、どうしても抗うことのできない老いである。しかし主治医からある提案をされたことにより、彼女は女の子を産む。そして芸能界を捨てて表舞台から姿を消した…。数年後、大女優だった面影がないほど醜くなった母親は、昔の自分のように美しく育った小学生の娘・さくらを襲う。そして娘の身体に自分の脳を移植する手術を行うのだった!美しい身体を手に入れた母親は、これまでの人生では手に入れられなかった平凡だけど幸せな生活を送る為に、新婚だった担任の家に潜り込み、その妻を殺そうとする…。 母親と娘の関係って怖いですよね。仲が良くても悪くても怖いよな〜って、自分を見ても、他人を見ても感じます。やっぱり似てしまうからしょうがないってところもあるんでしょうけどね。脳移植後の見た目は少女だけど中身はオバサンっていう恐怖は「エスター(映画)」にも似てるなって思いましたが、オチは「洗礼」の方が怖かった。自分が娘だからより怖く感じたんだと思う。これを少女コミックで連載してたってヤバすぎる。笑!人間の生死の危うさと霊峰富士の底知れなさ富士山 さそうあきら名無し電車の運転手たちの間には「天気が良くて富士山がはっきり綺麗に見える日には人身事故が起きる」という迷信があり、実際にそんな日に運転していたところ今にも飛び込んできそうな女がホームいたが、飛び込んできたのは女ではなく隣にいた男だった。しかし実は女にも死にたい理由があって…。人間の生死の危うさと霊峰富士の底知れなさが不思議とマッチしていて、今までに読んだことがないような感覚になりました。どの話も奥深いんですが、個人的には人身事故が起きてしまった運転手さんはどんな気持ちになるんだろうと常々思っていたので、一話目が印象に残りました。 やっぱり土田世紀いいなぁ土田世紀短編集 ノーサンキューノーサンキュー 土田世紀starstarstarstarstar_borderかしこ各短編に作者のコメントがあるのがいいですね。前中後期それぞれの作品の要素が凝縮されているような気がするので、土田世紀を何から読んでいいか迷っている人はとりあえずこれから読んでみるのもいいのではないでしょうか。全1巻ですし。私は「HOT MOON」が一番好きでした。それについてのコメントもよかった。ここ最近読んだ漫画の中でダントツ「自分も頑張ろう」って励まされた。「龍宮殿」読んでみた龍宮殿 松永豊和かしこ松永豊和の漫画を初めて読みました。恥ずかしながら最近まで存在を知らなかったのですが、マンバの書き込みでバクネヤングが面白いというのを見かけて気になりました。先に手に入ったのが龍宮殿だったのでこちらから読んでみた次第です。失礼になっちゃうけど…知識も期待もゼロの状態で読んだので、読み進めていくごとに「お、思っていたより面白いぞ…!」となりました。傑作というにはあと少し何か物足りないような気がしますが、また読みたい作品であるのは間違いないです。 タイトルと表紙で「あ〜男の子が竜宮城に行くんだろうな」というのは分かっていましたが、深海の遊郭「龍宮殿」ではメスは人間の姿で産まれるけど、オスは頭が魚の形をしている魚人の姿で産まれて、ある事情でオスは産まれたらすぐに殺されることになっている…という事が判明してから一気に面白くなりました。ちなみに主人公兄弟がうさぎの着ぐるみを着てますがストーリーとあまり関係なかったです。 作者さんがホームページで公開してくださってるので、次は「パペラキュウ」を読んでみようかな。自伝小説?「邪宗まんが道」も気になったので早速kindleもダウンロードしました。奇想天外!何でもありの楽しい漫画フライングガール 笠辺哲名無し子マンバで笠辺哲先生の評価が高いので気になっていたのですが、表紙がわりと地味なのでスルーしっぱなしになっていました…。でも!読んでみると 奇妙奇天烈 摩訶不思議 奇想天外 四捨五入 出前迅速 落書無用〜♪みたいな何でもありの楽しい漫画でした! お人好しでドジだけど役所に勤めている山田が上司から新しい仕事を命じられます。それが山奥に住んでいるトッド博士の研究を監視する「トッド番」です。さっそく新担当として挨拶に行ったところ…助手の磯貝さんにゾッコン一目惚れしてしまいます。こうして山田はトッド博士の発明品と恋の受難に振り回されるトラブル続きの日々を送るようになるのです!! 下ネタというか…キャー!のび太さんのエッチ的なお色気ネタもあるんですが、それがフフッと笑えるところが面白かったです。とくに山田とヤギの件(笑)最高に面白い連作短編ニッケルオデオン 道満晴明狐優曇華1話完結の短編集がそれぞれ繋がっているタイプのやつ。こういうの個人的に大好物。 ちょい(?)エログロ、ちょっと切なかったり、ちょっと感動したりしながら3冊読むと、また最初から読みたくなって、3冊読んでしまう、そんな宝石のような作品ですね没入感が半端なかったフリージア 松本次郎starstarstarstarstarかしこ一日中フリージアを読んでたら脳が疲れた…。でも途中でスーパーに行っても世界観が頭から離れなくて、現実でも敵討ち法が適用されている気がしながら夕飯を買ってました。一度読んだくらいじゃストーリーを把握できないけど、没入感は半端なかったです。主人公の叶ヒロシがすごくいいキャラクターだったから、幽霊殺しの時みたいなカッコいい戦闘シーンがもっと見たかったけど、そこはストーリーの本質ではないということなんでしょうね…。ケイコのこととオチには上手くハメられました。面白かったです!! 山崎紗也夏先生のダーリンは泉晴紀先生ダーリンは55歳 山崎紗也夏名無し作中ではっきりと旦那さんが泉晴紀先生だと描かれている訳ではないのですが、各話の終わりに挿入されてる旦那さんが描いた漫画を見ればそうだと分かります(Wikipediaにも載ってたし、私が知らなかっただけで有名なのかも?) 歳の差は20歳だそうですが、それほど離れているように感じさせないお似合いのご夫婦です。泉先生が友人達と飲んでる時にご機嫌になって作った「嫁の歌」を自分の個展のライブでも堂々と歌っていたのには思わず笑っちゃいましたが、優しい人なんだろうなと思いました。食事もほとんど泉先生が作ってくれるらしく、それについて不満はないのかと山崎先生が聞いたら「ジョンも主夫だったことがあるから…」と返していたのが面白かったです。さすがに歳の差を感じましたが。ぜひノロケ話の続きを描いてほしいなと思います。優しい気持ちになれるすみれファンファーレ 松島直子猫あるく優しさと大人のどうにもならない微妙な関係性を絶妙なバランスで描いていて、ポジティブに物語は進んでいきます。すみれちゃんの優しさに温かい気持ちになったり泣けたりできる素敵な作品です。スタンドアローンでも夢想する世界ナツノクモ 篠房六郎ナベテツ自分はネトゲの経験はないのですが、TVゲームで寝食を忘れた経験はあり、この作品が描いていた「依存」に関して納得できました。 スタンドアローンであってものめり込むのだから、ネットで誰かと繋がることはメリット・デメリットどちらも大きいのだろうな、と想像します。 恐らく、作者の構想した最後までは描けなかったのだろうとも思います。ただ個人的に、この作品は読後に強い印象を残しています。それは恐らく、ヒリヒリとした感情を与えるネットの暗部が、まだ存在しているからなのではないかと(勝手に)思っています。 ネトゲにはまった人の感想も知りたいと思う作品です。 変人達が、愛しいチナミの風景 野本明照ナベテツ表紙を見て、良さそうな作品だと思ったのですが、実際に読んでみて、その良さを伝えることを少し難しく思ったりもしました。 主人公のちなみちゃんは、町の変人達に巻き込まれペースを乱されますが、本人も十分「変人」の素質を持っています。 作者の野本先生のマンガは、この作品と短編集の「916」だけですが、どちらも不思議な魅力を持った作品です(絵柄は初期の松本大洋さんに近い気もしますし、ずれている人々の描き方は小田扉さんにも通じるものがあります)。 読むと、少しだけフワッと心が軽くなる。そんな作品でした。バッドではないがハッピーでもない恋愛漫画SWWEEET―スウィート― 青山景名無しススムは幼馴染のさくらのことが好きだけど、さくらは10歳の時に失踪した双子の弟のツトムのことが好きだという。しかしツトムはいない。なのでツトムがいつ戻ってきてもいいように、あの頃のままでいる為に、傷をふさがないように、恋愛感情を持たないまま交際するという歪んだ関係になることになってしまった。そんな時に失踪事件を調べていた男と出会い、二人は忘れていた過去の出来事を思い出していく…。 真相については二人とも無意識に忘れようとして何重にも記憶が上書きされていてるので、最後までハラハラさせられて読んでいて面白かったです。単行本の帯に書かれていた「白い闇の向こうへ閉じられてゆく物語」の「白い闇」という言葉がぴったりだなと思いました。バッドではないがハッピーでもない何とも言えない終わり方…という解釈でいいのかな。なんでタイトルが「SWWEEET」なんだろう。 「ハピネス」読んでみたハピネス 古屋兎丸名無し恥ずかしながらこれまで古屋兎丸先生の漫画を読んだことがなかったのですが、初心者でも読みやすかったです。タイトルにもなってる「ハピネス」と、表紙の女の子が登場する「嬲られ踏まれそして咲くのは激情の花」が印象に残りました。自分が好きなテイストの話は「もしも」です。女子高生のたわいもない会話劇ですが「もしも自分が主人公だったら誰に描いてもらいたい?」「私、吉田戦車!」「私は絶対楠本まき♡」というコマを本物の2人が作画協力されていて興奮しました。こんな会話する女子高生が登場するのが古屋兎丸ワールド…?ちゃんとした説明はしにくいが面白いなわたしの宇宙 野田彩子starstarstarstarstar_borderマンガトリツカレ男ちゃんとした説明はしにくいが面白いな いかづち遠く海が鳴るを読んで面白かったから「わたしの宇宙」も読んだ こんな感じ漫画 人間は誰しも罪を抱えているんだ空也上人がいた 新井英樹 山田太一名無しこれを漫画化しようと思った新井英樹もすごいですが、やっぱり山田太一はそれを上回ってくるような、何というか圧倒されました。死が近い老人の最後の悪あがき、中年女性の持て余した性、青年の自分自身も追い詰める素直さ、そんな人間の〈生〉の濃いところを煮詰めていった先にあるのが…まさか恋の話だとは。巻末の対談を読む限り山田太一さんはとても物腰の柔らかい方だと思うのですが、なんとなく作中に登場する老人こと吉崎さんのイメージと重ねてしまいます。ちょっと外見を似せて描いてませんか…?吉崎さんは滅茶苦茶なことばかり言ってるように見えますが、あんな風に最後まで生きることにもがいて死ねたら幸せなんじゃないかなと思いました。私が一番好きなのは空也上人の仏像と認知症の老婆の表情が被る場面です。あの老婆の目が問いかけてくるものはそのまま新井英樹がこの作品で描きたかったことなんじゃないかな。自分はまだ答えが出せないです。どの短編を読んでも面白かったです笠辺哲 短編マンガ集 バニーズ ほか 笠辺哲かしこ笠辺哲さんの漫画を初めて読みました。今まで味わったことがない漫画だなと思いました。面白いことは間違いないんだけど、面白いの一言で片付けられないような、そういう不思議な味わい深さがありました。どの短編もオチにびっくりするんですがドヤ感がまったくなくて、そういうもんなんですよ〜って普通に終わるのが新感覚でした。シュチュエーションも様々なので読む人によって好きな話も違ってきそうですね。私が一番好きなのは「ロッカー貿易」で、次に好きなのは「島一家」かな。「ロッカー貿易」は博士の諦めのよさが好きでした。異才の原点ツノウサギ 柴本翔ナベテツ柴本翔先生の作品は、「パンデモニウム」を最初に読んだのですが、その後にこの作品を読みました。パンデモニウム~ダキニと続く柴本作品の原点であり、柴本作品以外では中々見ることの出来ない(そして近年珍しい)、西洋のお伽噺を感じさせるファンタジーだと思います。 紡がれる物語には、作者の抱えた「何か」(恐らくそれは創作の原点とも言える衝動なのではないかとも思います)を感じさせ、この世界で作者が描きたいものに一読者として強く惹かれます。 大昔、とあるゲームのコピーとして物議をかもした「竜退治には、もう飽きた」というフレーズかありました。剣と魔法という王道のファンタジーに食傷気味の方に勧めたいと思います。バイオレンス・シティフリージア 松本次郎名無しバイオレンスとセックスの間を常に行き来しているような非常に刺激的な作品。 現代日本とは異なり、外国との戦争と「敵討ち法」なるもの存在する日本の街々を舞台に、血なまぐさい銃撃戦が繰り広げられます。 少し暗めな社会描写がリアルにありそうでなさそうな感覚で、作品世界にどんどんハマっていく自分がいました。 読めば読むほど、自分自身の性格が変わってしまいそうで怖くなる。 でも、途中でやめられない不思議な中毒性がこの作品にはあるのです。そのロボットは、少年少女の命と引き換えに戦う。ぼくらの 鬼頭莫宏名無し※ネタバレを含むクチコミです。ものすごい喪失感と絶…ぼくらの 鬼頭莫宏猫あるくものすごい喪失感と絶望感。 しかしすべてを読み終えて残ったのはただ残酷な漫画というものではなく、現代社会に対する皮肉的なものでもなく、爽やかな満足感と未来への希望だったりするのは、このラストを選択した作者の力だと思います。自由に感じていい作品。九月十月 島田虎之介名無し不思議な世界観。 歩く目線で描かれた風景が、日常を感じる。 家には、沢山の想い出が詰まっている。 家を売る時も買う時も一大決心。 そして、そこからまた物語が紡がれていく。<<12345>>
美咲ヶ丘駅に住む人達の人生を1話完結で。 どんな話かなとおもいきや、意外にじんわりと心に響く作品。 話ごとに内容も濃く、読み応えがありました。 忘れかけてる感情を引き出してくれたような、そんなお話の数々でした。 (でも、最初の話はある意味中々衝撃的)