I【アイ】
東北の地より、生と死の意味を問う。宮城県の田舎町に生まれ、身寄りのないイサオ。一方、医者の息子である雅彦は、小学生の頃から、自分が生きていることの意味についてひそかに、深く悩んでいた。二人が中学生になったある時、イサオは恩師の臨終の場で、人の魂を己に乗り移らせたかのような不思議な力を見せた。そして、次第にイサオに惹かれいった。雅彦は、高校入試の日に、二人で旅に出ることを決意する。目的は、イサオが産まれた瞬間に目撃したという神様のような存在=トモイを探すこと。これが、二人の長い長い旅の始まりだった。
よるくも
この[世界]には、上・中・下、がある。富めるものの住む[街]。貧しいものの住む[畑]。その下に、深く、暗い[森]――。[畑]でうまい飯を出す高岡飯店。看板娘のキヨコは、母をささえながら店を切り盛りするはたらき者。ある日、店の常連の“裏の仕事の手配師”中田の頼みにより、[森]からやってきたという殺し屋「よるくも」の毎日のメシの面倒をみてやることになった。「よるくも」は[森]に使い捨ての子供として生まれ、感情を持たず、痛覚を持たず、読み書きの知識を持たないままに育ち、中田の指示により殺しの仕事を日々こなす青年。キヨコとよるくもが出会うことにより、[世界]は少しずつ壊れはじめる――圧倒的に鋭利な新才能が描く、愛と暴力の悲劇、開幕!!
土星マンション
中学卒業を迎えた少年・ミツは、地球の35,000メートル上空で周囲をめぐる、上層・中層・下層からなる巨大な建造物・リングシステムで産まれ育った。卒業と同時に亡き父と同じ職業「リングシステムの窓を拭く仕事」に就いたミツは、父の死に対する疑念を抱きながら、超ベテランのパートナー・仁とコンビを組むことに…。
今日を歩く
晴れの日も雨の日も雪の日も、あるいは実母が亡くなった翌日も、毎朝同じ道を散歩する著者。いつもと同じ人とすれ違い、いつもと同じ犬を見る。でも、考えることはいつも違う。新たな発見が、毎日ある。『ぼのぼの』『かむろば村へ』『I【アイ】』で、世代を問わず注目を集めているいがらしみきおによる日常哲学エッセイコミック!
華のお江戸を闇が包む!魑魅魍魎がうごめく街で、暦屋を営む若者・星次。陰陽師である星次は、世のため人のため、式神を操り邪悪を討つ!だが、彼はけっして誰にも素性を語らない。自らの胸に刻まれた呪詛のあざと闘いながら、与えられた“使命”の全うに命を賭ける!平成の魍魎絵師・森田信吾が熱筆する、心に染みわたる時代絵巻。
「カンジ悪い」と評判の転校生・阿童(あどう)ぐりまの笑顔が見たい一心で、彼に告白をした尻井コダマ。しかし、他の女子が言い寄ったときと同様に、冷たくあしらわれてしまう。思い込んだら止まらない性格の彼女が、諦めきれずに再び告白すると、わずかに心が動かされた阿童は、突然その姿を変え始めて…?
週刊ビッグコミックスピリッツ誌上にて1986年から連載された、ホラーの巨匠の名をほしいままにする、楳図かずおが満を持して描く、ホラーコミックの決定版! 悪夢、不条理、スプラッター、人間のすべての恐怖の本質を抉り取り、すくい上げたエッセンスが凝縮され、提示される。連作短編の体裁をとった本作は、全4巻だった文庫版に対し、UMEZZ PERFECTION!では全2巻とし、戦慄の内容を息つく暇も無く一気に読み進めることができるジェットコースター・ショッキング・ホラーとしてリリースする。第1集では、錆びたハサミ、消えた消しゴム、女王蜘蛛の舌、の3編を収録。
ハピネス
ある日、いじめられ、傷だらけで河原に佇んでいた中学2年生の拓也は、自分と同じように体じゅうに傷を負った美少女・ルカに出会う。「私にはわかるよ。君もこっち側の人間なんでしょ?」と語りかけてきた彼女が立っていたところは、かつてロックバンド・オキシドールのボーカル・聖夜が飛び降り自殺を遂げた場所で…。美才・古屋兎丸の連作短編集!!収録作品:嬲られ踏まれそして咲くのは激情の花/ロリータ7号/あくまのうた/もしも/ハピネス/雲のへや/インディゴエレジィ/アングラ★ドール
1989年『ハーツ&マインズ』、1990年『ザ★ライトスタッフ』…バブル崩壊前夜に奇跡のように出現した二作品が、堂々の復刻版になって登場! 『ハーツ&マインズ』…▼モルタルパーティー▼シークレットライフ▼徳永家の興亡▼CITY NIGHT▼岡田の日曜日▼非情の町▼何卒、省吾!!▼忘れられた島▼青年の主張▼ケイゾウ▼中野の友人▼ジャスティ!▼キャンパスクロッキー▼岡田のアルバイト▼ジャスティII▼`84男おいどん▼達人▼刑事課長・島耕助▼厳冬▼銭王▼激突▼LIVE!ヤマギシ▼愛と誠▼省吾のH大作戦▼ハーツ&マインズ 『ザ★ライトスタッフ』…▼こんにちは▼剣客往来▼流星号消ゆ▼大いなる眠り▼子亀のワルツ▼月月火水木金金(前編)▼月月火水木金金(中編)▼月月火水木金金(後編)▼ナイス・トゥー・ミーチュー▼HAGOROMO▼悲しみのチンコマンコ作戦▼2001年 ボトルの旅▼太陽がいっぱい▼追跡▼野球小僧▼サマータイムブルース▼渚にて 〈単行本未収録作品〉…▼アホ族の男▼ランラン青果店▼美奈子と先生▼ピアノの先生●あらすじ/都会で独り暮らしをする男達シリーズ。高層ビルの見える街に住みたいと言って、西新宿のアパートを借りた佐藤くん。1年後には取り壊して新築ワンルームにするとの大家の計画のために、なかなかにシブい趣の部屋だ。だが、ひとつ許せないのは……共同トイレが「洋式」なこと(「モルタルパーティー」)。●本巻の特徴/時代を予見した魂の漫画家が描いた幻の名作に、その後の単行本未収録作品も収めた豪華な一冊。江口寿史・浦沢直樹らが、刊行に寄せて綴った「祝辞」も見逃せない…!! 充分すぎる読みごたえ! 総ページ数680ページにも及ぶ、いましろたかしの魂の叫びを聞け!! 笑い、そして泣け…!!
とんがりタナトス
千葉から片田舎に引っ越してきた主人公・モロハ。周りと馴染めずに、恋も青春の謳歌も諦めようとしていた… ところに 突如、頭にできたコブ“タナトス”。好意を寄せている隣の席の女子は、その地方のお姫様的存在。姫様を守る憂国の志士や、よそ者を嫌う不良たちなど邪魔者は大勢いるは、その娘を諦めようとしたらコブは大きくなるは、そもそもコブがあったら告白なんかできないはで、八方ふさがりのモロハ… でもいくっきゃないっ!! 田舎の伝統も頭のコブも、恋の前ではたいした障害では無い… のかっ!?
わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は“妖精さん”のものだったりします。この7月からアニメ放送開始の田中ロミオ・作の大人気ライトノベル『人類は衰退しました』(ガガガ文庫刊)を、新鋭・見富拓哉が独自の解釈でコミカライズ。原作ともアニメともひと味もふた味もちがった、不思議な空気感があふれます。「コミックアライブ」にて連載中の吉祥寺笑氏の漫画による『人類は衰退しましたようせい、しますか?』(メディアファクトリー刊)とあわせて、原作ファンなら絶対にそろえたい一冊です!
ダーリンは55歳
見た目は若い、でも20歳年上――。自由業で55歳のダーリンと「年の差結婚」してみたら、こーだった! 35歳の嫁(筆者)がリアルに描く、日常実話マンガ。“20の年の差”ならではのギャップ、結婚観、両親の反応、子作りへの苦悩、そして将来(主に老後)への不安まで――。あらゆる日常をユーモアたっぷりに描く実録エッセイ。55歳のダーリンが繰り出す、マイペースで余裕たっぷりの言動の数々にも要注目!
よく「動物を擬人化させたマンガを描くひとは捻くれ者だ」と言われることがありますけど、なかなか本質を突いた言葉だなぁと思います。動物ではないですけど、実はアンパンマンなんかはかなりグロテスクですよね。それを戦中餓死しかけたこともあるというやなせたかしさんが描いたとなればこと尚更。まあ、おそらく、そういうひとたちは人間の目線では物事をみていない。というのは人間に絶望しているのか、人間が嫌いなのか、それはわかりませんけども、とにかく人間の外側からの目線を獲得したいという強烈な意志を感じます。 いがらしみきおも擬人化動物マンガを描いたひとりですけども、『ぼのぼの』は凄まじいです。第一話目からいきなり、ぼのぼのがただ川を流されてゆくコマが四つ続くという過激さ。起承転結という四コマ漫画の定石をまるで無視して四コマとも何も起こらない。ただ、ぼのぼのが川を流されているという事実だけが浮き彫りになる。この何も起こらなさを過激と捉えてしまうのは人間の目線でものをみているからなんでしょうけど、ぼのぼの以前のいがらしみきおは全人類を燃やし尽くすかのような過激でブラックなギャグをやっていたひとですから、やっぱり衝撃なわけです。 しばらくの休載期間を経てはじまった『ぼのぼの』ですが、休載期間に何か転機があったのか、おそらく、否定に否定をどこまでも重ね尽くしたひとにしか到達できないある種の肯定に辿り着いたのだと思います。まあ、菩提樹の下で悟りを開いたブッタのようなものです。 そして『ぼのぼの』で悟りを開いて、しばらく山籠りしていた仙人が俗世に下りてきたのが『Sink』や『I』になるかと思います。だから『ぼのぼの』の過激さがもっと分かりやすく描かれている。動物ではなく人間ですからね。といっても『I』ではほとんど動物めいた人間がおぞましく描かれている。そういう意味ではジョージ秋山の『アシュラ』に近い作品なのかもしれません。『アシュラ』も『I』も醜さや穢らわしさが一周まわって何か神聖めいた肯定的なものにみえてくる。この「一周まわって」というのがとても重要なことのような気がします。