花井チカ、高校生。仲の良い同級生の君嶋に告白され、付き合うことになった。けれど私は、「恋愛感情」がどんなものなのかわからない。性欲もない。ノリがよくて明るい君嶋のことを、ときどき何を考えているか理解できない宇宙人のように感じてしまい、上手くいかない。恋愛一色の周囲の友人たちは、私は「まだ運命の人に会っていないだけ」って言うけれど、本当にそうなのかな。迷いながらも進学した大学で、とある人物に会って…? 恋愛感情って絶対にないといけないの?普通ってなんだろう?当たり前ってなんだろう? その先にあるものは――? 世間の言う「普通」との狭間で揺れる、少女の物語。話題作、単行本版で登場。
きみとレストラン
澄田 歌。夫のきみ君と一緒に、建てたばかりのマイホームで新しい生活が始まる…はずだったのに、そのきみ君は事故で亡くなってしまった。周りのみんなは「まだ若いし、『新しい人生』に進むべき」と背中を押してくれるけど、今はそんなこと考えられない。だって、まだきみ君はこの家にいるんだもん――。最愛の人を失った女性が、「レストランを開く」という夢を追うことを思い出し、夫(の幽霊)と手を取り合って「新しい人生」を切り拓く! 笑って泣けるおうちレストラン開業ストーリー!
真夜中にコーヒー
高校時代から続く、上杉先輩への密かな片思い。相手に彼女ができたって、彼が幸せならそれで満足、なはずだった――。大学に入学し、まだ先輩への想いは途切れないけれど、でも、時々突き放されたような気持ちになるのは何故だろう。そんなある日、カスミはちょっと感じの悪い喫茶店の店員、宮古に会う。彼はカスミと同じ大学の上級生で、どうやらカスミと同じように、ある女性に対して叶わぬ思いをずっと抱いているようで…。「好きってだけで、十分」。他人からは理解されなかったお互いの「片思い」を分かち合って、共感していく二人。でも、それぞれが抱く思いの、微妙な違いに気づく時が来て――。こじらせきった片思いを抱える二人が、真夜中の喫茶店で出会って始まる、静かで切ないラブストーリー、開幕。
大学時代からの腐れ縁の男・菊田のゲーム実況動画配信を手伝う仕事をしているヒカル。菊田にのめりこむガチ恋系のフォロワーを、菊田から遠ざけるのも仕事の一つ。菊田に対しては恋愛感情はなく、それどころか最近は恋愛自体がご無沙汰。そんなヒカルが最近ドハマりしたのが、お絵描き系動画の配信主で……。
お隣に越してきた環野光子さんは、パーティーを愛してやまない。今日も招待状を持って、僕の家にやってくる――『これからパーティーしない?』 四季折々、光子さんの思い付きで開催されるパーティーたち。“いい雨”が降ったから開く「雨の日パーティー」って? 夏のガーデンハーブパーティーはちょっと大人な雰囲気…? 飾り付け担当の光子さん、料理担当で光子さんの弟の顕くん、そしてデザート担当の僕・黒江雪春。3人がお贈りする、何でもない日が楽しくなる、パーティーフリークの世界にようこそ! 新感覚・癒し系ショートラブが単行本版で登場★
中学の養護教諭・莉生のもとにかかってきた一本の電話。「あなたの学校には時限爆弾が仕掛けられている」 支離滅裂な内容に、いたずら電話だと思った莉生だったが…。しかし莉生は、かつてこの学校で行われていた性暴力について知り、さらに今また、そのおぞましい行為が進行中であることを知る。被害の連鎖を食い止めるため、そして過去に被害を受けた人間を地獄から救い出すため、莉生の孤独な闘いが始まる――!
すべての女子におくる、五感にまつわる恋愛オムニバス! 私の視界、君の声、思い出の匂い、あの人に触れたい、あなたと食べるごはんの味…そして今は亡き彼の気配。毎回違った“感覚”をテーマに繊細な描写、リアルな会話で綴る珠玉のストーリー。女は五感で恋をする☆
痴漢から助けてくれたイケメンと、お見合いで再会! 食事の約束もして、いい雰囲気…だったはずなのに、まさかのお断り!! 「そもそも結婚する気なんてないんです」という彼に、怒り沸騰するけれど、彼がネット上の知り合いかもしれないことが発覚! 現実での嫌な彼、ネット上での優しい彼、どっちが本当? 彼のことをもっと知りたいと思ったハナさんは、勢いで彼の勤める会社の中途採用に応募。するとラッキーなことに採用されて、彼と同僚になれちゃって…!? 愛情重すぎ女子×恋愛に興味がない男子の全力ラブチェイス、単行本版で登場!!
上京したあの子
生まれ育った北海道の小さな町で、東京から転勤でやってきた彼と恋に落ちた美冬。運命の彼を追って上京した矢先に、思いがけない光景を目の当たりにし―!? 『曖昧なカンケイ』で大反響を呼んだ志真てら子、待望新作登場!!!
インザハウス
新築戸建てに越してきた橙子たち瀧澤家。一家は6人家族だったが、不慮の事故で義父母を亡くし4人家族になっていた。バランスの崩れた家庭で夫の不倫を黙認しつつ酒に逃げていた橙子だったが、自分に好意を寄せる青年・ナガイの言葉により心機一転、夫の愛人とナガイ、そして二人の子供との共同生活を始めることに。すべては子供たちのため――そう覚悟した橙子だったが…!? 『溶けないし混ざらない』の小宮みほ子が新連載で挑む新しい家族像!!
リカラフル
8年前、東京都間皿駅の駅前広場で起きた毒物テロ事件。その被害に遭い、8年間もの長い昏睡状態に陥っていた馬込リカ。女子大生だった彼女は、目覚めたら28歳の誕生日を迎えていた。タイムスリップ感に戸惑うリカ。家族にも本当の気持ちを打ち明けられなかったが、同じ被害者で、同様に昏睡状態から目覚めた和田和人と出逢う。時を失った二人は共に、世間ではすでに風化しかかっているテロ事件の真相に、少しずつ迫っていく。
母親が営む大阪の食堂を手伝っていた孝一と孝一の恋人・たえこ。母親の急死によって、兄の借金返済のために食堂を手放さざるをえなくなったふたりは、その食堂のような「自分たちの幸せの場所」を求めて旅に出た。いろんな土地を巡り、いろんな人と出会いながら、ふたりは旅を続ける。
高校生の花井チカは同級生の君嶋に告白され、付き合うことになる。 しかし実は彼女は、人に対して"恋愛感情"というものを持ったことがなく、仲の良かった君嶋に対してもその"一線"を超えることができず、結果的に別れることになってしまう。 その後、大学の心理学部に進学した彼女は、ある教授との出会いから"恋愛感情"がわからない自分自身がどういう存在なのかを見つめ直し始める、という物語。 「恋愛感情がわからない」という説明で気付く人もいるかもしれないが、この作品はいわゆる「アセクシャル」をテーマとして暑かった作品。 しかし、主人公のチカが「アセクシャル」なのかと聞かれると、すぐには首肯できない作品でもある。 作中でも「アセクシャル(無性愛者)」とは「性別を問わず他社に対する性的な欲求を持たず、関心や欲求を抱かない人」という説明があり、チカも自身がこの説明と合致するという印象を抱いている。 しかし、チカは「自分がアセクシャルなのかどうか」という過程を通り、さらにその先の「自分がどういう人間なのか」という部分にまで考えを巡らせるようになる。 セクシャルマイノリティを扱う作品では、それぞれの"定義"というものが存在しているがためにその"定義"に沿った人物像という形で描かれやすく、実はそれは「男らしさ」「女らしさ」のような、本来セクシャルマイノリティとは対局に位置するはずの考え方に近づいてしまっているのかもしれない。 この作品では、登場人物が自らをセクシャルマイノリティという定義の枠組みに当て嵌めていくのではなく、定義を知ることで逆に自身がどういうアイデンティティを持っているのかを丁寧に因数分解して見つめ直すという過程が描かれていて、"定義"よりも"個"としての存在を大切に描いているような印象を受ける。 『性別X』などのエッセイマンガでは"定義"を説明しながらその定義に当て嵌まらない人も実際にはいるという説明が著者の実体験に沿う形で描かれることも多いが、もしかしたらこの作品はそういう意味でリアルに近い形でフィクションとしてキャラクターの成長の過程を描いている稀有な作品なのかもしれない。