性別「モナリザ」の君へ。

男と、女と、オマァさん

性別「モナリザ」の君へ。 吉村旋
ゆゆゆ
ゆゆゆ

主人公のひなせは、性別が決まっていない「準モナリザ症候群」の高校3年生。 性別を持たない子どもは、通常12歳から14歳で肉体的に男か女に変わっていくはずなのに、変わらないままでいる。 変わらない理由はわからない。 気にならなくなっていた無性別の状態。 でも幼馴染二人の思いを受け、18度目の春は激動のものへと変わり始める――。 読みながら、こういう存在がオマァさんなのかと思った。 オマァさんというのは、昔々、予備校の先生が授業で「ここに、男と女とそれ以外の性別。仮にオマァさんというのがあるとしよう」と言っていたのをきっかけに覚えている単語だ。 なんのくだりで、そんな話をしたかはわからない。 謎の音を発していたので「オマァさん」は私が聞き取れた音で、先生が本当は何と言っていたのかもわからない。 とにかく、男と女以外の、肉体的に存在している性別。 半陰陽でもなく、精神的にでもなく、難しいことは置いておいて、第3の性別であるオマァさんがあるのが当たり前の世界を考えてみようと、先生はいった。 この漫画におけるオマァさんは、無性別という性別になるんだろう。 ふんふんと読み進めていくと、無性別のひなせという存在があるからこそ、男らしさや女らしさ、恋愛について考えさせられると思った。 ひなせは男らしくも見えるし、女らしくも見える。 本人はどちらでもないのに、周囲の反応で性別が見えるような気がしてくる。 今、4巻ほど読めたところなのだけど、私には「ひなせ」の性別が今後どうなるのか、想像がつかない。 ひなせの恋愛感情に対する葛藤、幼馴染ふたりの恋の行方。 残り6巻、どのような展開になるんだろう。

ザコ姫さまは生きのびたい!~処刑の危機は、姫プレイで乗り切ります~

姫プレイで逃げ切ります!

ザコ姫さまは生きのびたい!~処刑の危機は、姫プレイで乗り切ります~ おみおみ 木場健介 焦田シューマイ
ゆゆゆ
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いや、あなたお姫さんだから、姫プレイっていうか、姫だよ!姫としての振る舞いだよ!! と思わず作中にツッコミをしてしまった。 なろうテイストの副題&転生系なので少し忌避したものの、「やり直し姫は夫と恋したい」と似たタイトルに惹かれて読んだら、絵もよし話の展開もよし、楽しめる漫画だった。 姫なのに姫プを思いつくのを始めとして、主人公はものすごく真面目にあれこれするものの、元の女子高生による影響かちょっとズレている。 そこがまた、おもしろい。 あらすじは以下のような内容。 最大手ガチ攻略ギルドのギルマスを務めるほど廃ゲーマーの女子高生が、廃になっていたゲームの世界のお姫様へ転生! 辛くも生まれ変わりと気づいたのは、処刑される3年前のこと。 現在の状態はレベル1のザコお姫様。 そしてお姫様といっても、蝶よ花よとされた姫でなく、蛮族姫と蔑まれ嫌われ、周囲の人も近寄らない第三皇女。 嫌われすぎて毒を飲まされても負けない! なんとか生き残るため、シナリオをねじ伏せるくらい強くなろうと決意し、思いついた方法が「姫プレイ」?! あらすじ、ここまで。 転生モノだけど、なろう等Web公開作品ではなく、焦田シューマイさんによる原作書き下ろしとのこと。 おみおみさんによる作画がとてもきれいで、キャラクターもかわいい&かっこいい。 主人公セスリアの可憐でか弱そうな風貌も、第四皇女マリアンヌの太眉勝ち気な雰囲気も思わず見惚れてしまう美しさ。 さらに、構成も入っているせいか、とても読みやすい。 手っ取り早く展開を知りたいくらい気になるのだけど、原作は公開されていないので、続きを待つしかない。 追記 タイトル間違えた。副題は逃げ切るじゃなくて、乗り切るだった

悪役令嬢は今日も華麗に暗躍する 追放後も推しのために悪党として支援します!

ペンライトを手にする悪役令嬢(1巻表紙イラスト)

悪役令嬢は今日も華麗に暗躍する 追放後も推しのために悪党として支援します! 高松翼 春が野かおる 道草家守
ゆゆゆ
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ゲーム内登場キャラクター悪役令嬢エルディア。 その中の人が、そのゲームの大ファンであるアラサー喪女になってしまう、悪役令嬢系恋愛ストーリー。 最推しアルバートとともに、ゲームに登場する数々の推しキャラクターを愛でる生活をするため、世界線を崩壊させないため、エルディアは密かに奮闘する。 よくこんな人を主人公にして書き進められるなあと思うほど、エルディアはすぐに萌え悶える。 原作小説からぶれない、エルディアによる推しの尊さを噛みしめる頻度。 推しがきらめくときの、心中のはしゃぎよう。 小説版も萌え踊る心を落ち着かせるためになかなか忙しいエルディアだったが、エルディアが可視化されるマンガはさらに忙しい。 落ち着いたエルディアの最推しアルバートにひどく安心できる。 しかし、アルバートのコミカライズイラストは、読者をも萌え踊らさせようとする意志を感じる。 読者も試されている。 概要だけでは、この作品のハイテンションは伝わらないと思うので、まずは一読を。 これほど熱愛するゲームがあった、中の人の喪女さんが少し羨ましい。