月刊少年マガジンの感想・レビュー150件<<34567>>「数学」×「料理」の熱烈なマリアージュ『フェルマーの料理』フェルマーの料理 小林有吾兎来栄寿『アオアシ』の小林有吾さんの新作。料理マンガとしては過去作品の『てんまんアラカルト』も面白かったので期待していました。旧来からのファンにはより楽しめる要素も。 本作では、料理に「数学」という要素を掛け合わせているのが目新しく、面白味となっています。考えてみれば料理も「理」。レシピには必ず数字が必要ですし、数学的なアプローチを料理に取り入れることは非常に理に適っています。 そして『アオアシ』でも存分に見せてくれている「熱さ」を感じさせてくれる描写も、そのまま踏襲されています。純粋に挫折から始まる主人公の再起の物語としても面白いです。また「この緻密に計算され尽くした料理をぜひ実際に食べてみたい!」と強く思わせられる魅力的な料理がどんどん登場し、料理マンガとしても秀でています。 少年マンガの熱いノリを持った作品の中で特に最近のお薦めです。古代ローマが舞台の重厚ポリティカル・アクション秘身譚 伊藤真美ANAGUMAカラカラ帝崩御直後の古代ローマの混迷を、ローマ属州の軍指揮官ポリオと謎めいた“少年”エラの視点で描く歴史ファンタジーマンガ。 エラは月の満ち欠けがもたらす特殊な身体能力が備わっているバトル担当。ツインテールがかわいい。 細っこい身体から素早い身のこなしで次々敵を倒していく見ていて気持ちいいタイプのアクションが確かな画力で描かれてます。なかなか攻めた設定のキャラなのでこれは読んで確かめてほしいですね…! 一方のポリオはエラの力を利用しながら政争の渦中に飛び込んでいき、様々な関係者をときには懐柔、ときには暗殺して帝国内で成り上がるのが目的。 巻末の注釈と考証も充実していて、ローマ帝国の政治情勢、社会状況がたっぷり学べるマンガです。 1巻ではエラの能力の秘密などさまざまな謎が散りばめられて、ポリオの政治的駆け引きと合わせて「これからどうなっちゃうの!?」というところで終わるのですが…。 2019年7月現在2巻が出ていないんですよね…! そんな…どうにか、ならんのか…!! (作者の伊藤真美先生は本作以外にストリートファイターのマンガなど描かれているようですので、望みを捨ててはいけない…?) 読み終わったら巻末予告の「2011年夏、2巻発売」の文字を凝視してしまうこと必至の「未完の秀作」です。この作品のすごさボールルームへようこそ Sweep over the Dance hall. 竹内友温泉屋音楽の助けのない漫画で こんなに躍動感とリズムをかんじる作品は他にはないと思っています◎ あと、キャラクターたちの高揚感を感じる表情が好き!好きすぎて殺意が芽生える今夜は月が綺麗ですが、とりあえず死ね 榊原宗々 要マジュロ名無し※ネタバレを含むクチコミです。 音楽マンガである以上に、季節をめぐる、とりわけ夏のマンガとして…BECK ハロルド作石影絵が趣味数年ぶりにハロルド作石の『BECK』を通して読んだら、もういい歳のくせに、ページをめくるそのたびに泣き腫らしてしまった。まだ青春時代と呼ばれる十代の頃、自分も『BECK』を読んでそう思うまでもなく、すでに社会の爪弾き者として、自身のインスピレーションに従って生きて行くしかないと心に誓ったものだったのが、いつしか歳を重ね、つまらない反骨精神だけは相変わらずだが、そのいっぽうでは自身は社会によっても生かされていると思うほどには大人になった。ようするにある程度の分別がついたのである。いまだに社会人などいう言葉には虫唾が走るが、ふいに気がついてみれば、あの頃にはあんなにも嫌悪していた社会の構成員としての大人になっている自分がいる、そんなつもりはなくても税金を払ったり健康保険の恩恵に授かったりしている自分がいる。 つまらない話になった。単に『BECK』のように徹底的に社会の爪弾き者となり、次々と難題が降りかかり、追い詰められ、尚且つそれらを乗り越えてゆくというのはマンガだからこそ起きうる事態であり、だいたいどんなに非市民的に見える人間であっても実は社会と地続きに繋がっているという意味で凡庸さからは抜き出ていないということである。もっとつまらない話になってしまった。嗚呼、マンガとは所詮嘘いつわりの虚構ではないか、夢もへったくりもあったもんじゃない、死のうかな。とでもなりそうなものだが、まだ死んでいないのは、数年ぶりにハロルド作石の『BECK』を通して読んだら、もういい歳のくせに、ページをめくるそのたびに泣き腫らしてしまうほど感動したからに他ならない。 なんか言ってることが矛盾してるんとちゃいますか、と死亡遊戯の金本くんばりの関西弁で言われてしまいそうだが、はい、その通りです、と頷くほかもない。じっさい『BECK』ほど嘘くさい話もないというか、あたかもマンガのように次々と問題が降りかかり、どうにか乗り越えたと思ったら、もっと大きな問題にぶち当たり、それら問題-解決は回を追うごとにどんどん雪だるま式に大きく膨れあがり、とうとうコユキはスターにまでのぼりつめる。そこで、ああ嘘くさい! 言い切ることができるのなら今すぐにでも自殺して楽になれるのだが、そうはならないのは『BECK』というマンガがめぐる季節の内部にあるからではないのか、という仮説が立つ。とりわけこのマンガは夏という季節から始まり夏という季節で終わる、すなわちこのマンガは夏という季節の内部にある。だいたい音楽マンガであるくせに、ライブハウスとかスタジオのコマなんかよりも釣り堀とかプールとかコインランドリーとか夏の一部を切り取るようなコマが多すぎはしないか。そして何よりも、あの夏の、膨張して怪物のように膨らんだ白い雲。それが問題-解決的なものの契機のたびに大きなコマで挿入される。だいたい雲というのは気体であるくせに、なんであの夏の雲というやつはくっきりとした輪郭をもっているように見えるのか、それこそ、ずいぶんと嘘くさい話ではないか。 私たちは誰もが皆めぐる季節の内部にいるが、その内部にいればこそ真偽の答えは常にその外部にしかない。とりわけ夏休みという季節がそうで、夏休みのあいだはすべてのことが何がなんだかわからないのが常である。そして夏が過ぎてから、そこに夏があったということを、さながら夢でも見ていたように悟る。季節はめぐり、夢は募る。あの夏の雲を見上げるたびに、私たちはまるで嘘のような夢に魅入られたひとだと気づく。ちばプロのこだわりがすごすぎるあしたのジョーに憧れて 川三番地なまこデラックス川三番地がちばてつやのアシスタントをしていた頃の漫画だけど、ちばてつやはもちろんアシスタント含めたちばてつやプロダクションすごすぎるなって何回も思う。 作画のデジタル化が進むけど、これを読むとアナログも生き残って欲しいって思う。超お嬢様ラッパー爆誕!Change! 曽田正人 冨山玖呂 晋平太名無し今流行のラップバトルに、深窓のご令嬢がハマってしまうというインパクトのあるストーリー。 過去、何人もの天才キャラを描いてきた曽田先生の実力が遺憾なく発揮されている。 しかし、いかにも悪そうな(?)若者のクラブシーンを描きつつも、その根本にあるのは『日本語』という語学への深い造詣。 言葉をうまく使いこなすこと=コミュ力の向上、ひいては恋や友情など人間関係の構築にも繋がるというテーマが面白い。 べらぼうに上手くはないけど堪らん魅力のある絵の作家さんアライブ 最終進化的少年 あだちとか 河島正mampuku 「ノラガミ」あだちとか先生作画による、壮大な能力バトルSF少年漫画。結構いい作品なのにアニメ化には至っていない。 ヒロインと主人公が世界の命運を握ったり軍隊と戦ったり"あの方"と呼ばれる人がいたり、といい感じに中二でセカイ系。さらにはある美少女キャラが最高にツンデレな負けヒロインぶりを披露していて、「あの夏で待ってる」の谷川柑菜 (たにがわかんな)とタメを張る芸術的完成度でした。一途さも素晴らしい。八百万の神々によるご町内バトルノラガミ あだちとかmampuku※ネタバレを含むクチコミです。今日子天才掟上今日子の備忘録 浅見よう 西尾維新しん西尾先生、最高です。 チンミは最強!!!!鉄拳チンミ 前川たけししん前川先生の傑作!!!チンミ最強!青春は短い。「全2巻」は決して短くない。新装版 さよならフットボール 新川直司mampuku 「四月は君の嘘」新川直司の、これが出世作ではないでしょうか。現在連載中の「さよなら私のクラマー」の前日譚にあたりますが、これ単体で非常に素晴らしい作品なので推したい漫画です。 女子中学生のサッカー少女が男子に混ざり圧倒的にフィジカルで劣るなか、持ち前のセンスと負けん気で果敢に挑んでいく。この先、高校生にもなってしまえば、子どもの頃からのライバルである男子と一緒のピッチで戦うことはできなくなる。「さよならフットボール」はそんな恩田希の最後の挑戦であり、刹那の輝きの物語だ。これが感動せずにいられるか!ラ●ライブサンシャインとか、横浜フリューゲルスとか、そういうのに弱いんです私の涙腺は。内臓と骨のバーゲンセールだよぅ今夜は月が綺麗ですが、とりあえず死ね 榊原宗々 要マジュロmampuku すごいタイトルだけど中身も大概だった。漫画アプリのバナー広告でよくあるようなグロ系の中ではかなり気合はいってるほうではなかろうか(紙の雑誌に掲載されているだけあってクオリティはそれなり) ヒロインが魅力的なのと、グロとびっくり展開を頭空っぽにして楽しむ漫画かなと 義経編修羅の刻 陸奥圓明流外伝 川原正敏名無しやはりこれは外せない。 私にとってこれは史実である。 強者はおらぬか、丈夫はどこじゃ。 しのごに言わずに雷くらって読め!!少年心をくすぐられる山賊王 沢田ひろふみおにくくん戦の仕方、人情、少ない兵で、作戦を、用いて大勢を倒す。 心が燃えます。よいね海皇紀 川原正敏名無しおもしろいよ ダンスシーンに官能的な魅力のある競技ダンスマンガボールルームへようこそ Sweep over the Dance hall. 竹内友名無しダンスシーンに官能的な魅力のある(個人の感想です)競技ダンス。もちろん、踊っているところは動きがあってとても迫力があるんだけど、それ以上に表情がすごくよくてどこか官能的な魅力を感じます。 ストーリーとしては若干いじめられていて特にやりたいこともなかった多々良がかなり強引なダンス教室の勧誘にあい、競技ダンスに夢中になっていくという感じですね。(たぶん)珍しいことに、ペアになる女の子がなんども変わっていって今やっとこれからずっと一緒にやっていくだろうパートナーと出会い喧々諤々なあれこれを乗り越えようとしているところ。 ちなみに、表情の多彩さはダンスを踊っている時だけでなく、日常のギャグパートでも炸裂していてめちゃくちゃ面白いです。表現の引き出しが多い作者さんなんだと思います。そしてストーリーもしっかりしているので是非ともオススメしたいマンガです。女子高生がひょんなことからDIYにはまっていく漫画。ホームセンターてんこ とだ勝之大トロ女子高生がひょんなことからDIYにはまっていく漫画。 テンポが良くて気軽に読めます。 工具の説明が詳しくて面白いので、これからDIY始めようとしている方がいたらかなりモチベーションに繋がるのではと思います!旅、戦、仲間集めが好きな方へ遮那王 義経 沢田ひろふみよそよそおとこ旅、戦、仲間集めって聞くと男はわくわくします。 話しは、義経の歴史ですが、実は、僕たちが知っている義経は本当の義経では無かった 頭の良い義経は、自分の体となる義経に戦の仕方を叩き込み、旅で力を貸してくれる5人の仲間を集めさす。きちんと歴史通りなのもいいです。 『かってに改蔵』の頃の久米田康治が好きな人なら心に響くのではないでしょうか。かくしごと 久米田康治大トロ『かってに改蔵』の頃の久米田康治が好きな人なら心に響くのではないでしょうか。 登場人物も(今のところ)あんまり多くなくて、なんだか懐かしい感じがします。 4巻が今月出るので楽しみです。Dreamsの川三番地のアシスタント時代の漫画あしたのジョーに憧れて 川三番地starstarstarstarstar_borderマンガトリツカレ男4P田中くん/Dreams/天のプラタナスの作者のちばてつや先生のところでアシスタントしていた時の漫画 漫画の技法とかの話が多いけど、対談のちばてつや先生の漫画への情熱は何回見てもいい。 ちばてつや先生の「練馬のイタチ」とは違ったちばプロの話でよかった。 対談内で背骨の中を変な虫が這っていて、ときどきボンと爆発する経験からの運動の話って単行本未収録の「赤い虫」で書いていたな。ビッグコミックかなんかで読み切りで読んだロケットマンの人Q.E.D.証明終了 加藤元浩かずらロケットマンじゃないですよ。 QED、数学用語ですねー。 話の中で出てくる数学的な話はとんとわかりませんが、 こういう漫画は大好物です! めっちゃ面白いけど話題になってない気がするPumpkin Scissors 帝国陸軍情報部第3課 岩永亮太郎ぼんくらカウプランの特許の下り、超面白いだけど尾田栄一郎が嫉妬した漫画四月は君の嘘 新川直司アルマジロ尾田栄一郎が嫉妬した漫画は『四月は君の嘘』(実況画像あり) http://onesoku.com/archives/47361871.html 読んでないけど、興味がわいた! みんなの感想も教えてほしいです<<34567>>
『アオアシ』の小林有吾さんの新作。料理マンガとしては過去作品の『てんまんアラカルト』も面白かったので期待していました。旧来からのファンにはより楽しめる要素も。 本作では、料理に「数学」という要素を掛け合わせているのが目新しく、面白味となっています。考えてみれば料理も「理」。レシピには必ず数字が必要ですし、数学的なアプローチを料理に取り入れることは非常に理に適っています。 そして『アオアシ』でも存分に見せてくれている「熱さ」を感じさせてくれる描写も、そのまま踏襲されています。純粋に挫折から始まる主人公の再起の物語としても面白いです。また「この緻密に計算され尽くした料理をぜひ実際に食べてみたい!」と強く思わせられる魅力的な料理がどんどん登場し、料理マンガとしても秀でています。 少年マンガの熱いノリを持った作品の中で特に最近のお薦めです。