広島マンガの感想・レビュー53件「ヒロシマのおばちゃん」を読みたくて購入特装版「女が叫ぶとき~戦争という地獄を見た~」 曽根富美子ひさぴよhttps://www.shogakukan-cr.co.jp/book/b110795.html 『漫画が語る戦争 焦土の鎮魂歌』(小学館クリエイティブ)で読んだ曽根富美子の短編「ヒロシマのおばちゃん」が衝撃的だったので、もう一度読みたいと思って電子書籍版を探してたら、この短編集に収録されていた。 「ヒロシマのおばちゃん」以外の短編は、戦争の話というよりちょっと昼ドラっぽい話が多いものの、それでも表題作を読むためだけに買っても損はないと思う。 作品の詳しい時期は分かってないのだが、状況からして1990年代頃の設定と思われる。広島での戦争体験を語り継ぐの”一人のおばちゃん”を通して、戦時中の自身の半生を振り返るところから物語は始まる。巧みな語り口と、曽根先生お得意の、不幸で陰湿な心理描写にグイグイと引き込まれてゆく。そしておばちゃんは不幸のドン底と同時に、原爆の日を迎えるのだが…。 変わり果てた広島の街を、怨念そのものとも言える鬼気迫るタッチで描き出し、一度目にしたら忘れられないような光景がこの漫画にはある。おばちゃんは最後に「あれは地獄だったよ」とだけ語る。と同時に、この出来事が教科書の中のたった数行に収まってほしくない、と願うのだった。 個人的には「はだしのゲン」と同じく、ぜひ読み継がれてほしい戦争漫画の一つだ。狂気女神の鬼 田中宏starstarstarstarstar山下真司色んなヤンキー漫画読んできたけど鬼子ってほんといるんだな。こいつらが1番ヤバイ。想像以上の作品この世界の片隅に こうの史代starstarstarstarstarこめつぶドラマにもなりましたが、皆が助け合って生きていた時代のお話。 戦争を知らない世代ではあるけれど、戦争は二度と起こしてはいけない。と強く思う作品。子供たちにもぜひ読ませてみたいです。戦争の怖さはだしのゲン 中沢啓治starstarstarstar_borderstar_bordermotomi小学校の頃、図書館で読んだ思い出があります。 戦争がどれだけ愚かか、恐ろしいものか、失うもの、日常を取り戻すための凄まじい生き方、全てが描かれています。 全員に読んでほしいと思います。 今戦争を語れる人が減ってきているのでしっかり漫画からも学んでほしいです。 お好み焼きが食べたくなりました平太郎に怖いものはない スケラッコstarstarstarstarstarママ子いきなりのSF展開?大きな手が平太郎を握って異世界へ?!一つ目の子どもが出てきたり主人公たちの幻想なのか想像を掻き立てられます。冒頭のごんちゃんは何に怒っていたのか。「うちのこと…」の先はなんていうつもりだったのか展開がわからず試し読み終了。続きが見たい!怖いものってなんだろう平太郎に怖いものはない スケラッコstarstarstarstarstar野愛無愛想で淡々としていてお好み焼きを焼くのが上手で怖いものがない少年・平太郎。 ある日突然身の回りに怪異が起こり始めるが、怖がるそぶりはまったく見せない。 お世話になってる叔父さん叔母さんにも、めんどくさい先輩にも、彼女のゴンちゃんにも、妖怪にも、平太郎は変わらぬ温度感で接している(ように見えてしまう)。 平太郎が誰に対しても距離を取るのは、傷つけたり傷ついたりしないように、これ以上失うものがないようにという感情なのだと思う。 怪異を怖がることはないけれど、怪異以外の恐れているものがだんだん見えてくる。 次から次へと出てくる妖怪たちとクールな平太郎の温度感を楽しんでいるうちに、平太郎を応援する気持ちが湧いてくる。 実は誰よりも人想いで優しくて頼り甲斐があって、平太郎に惹かれたゴンちゃんの気持ちがよくわかる…! 上下2巻、たったひと夏の短い物語だけど読み応えは充分。また夏に読みたい!拳豪伝の感想 #推しを3行で推す拳豪伝 津本陽 横山まさみちマンガトリツカレ男・読んだ直後に思ったこと ※一番大事!※ 多分かなり昔に読んだ覚えがあるが久しぶりに読み返したみたがちょうどいい面白さだった。「げんこつ和尚」武田物外の怪力具合やその他エピソードがちょうどいい ・特に好きなところは? 「げんこつ和尚」の強さを知って挑戦してきたが、掃除するのでちょっと待ってくれと言いながら軽く動かした石の大きさ。漫画の中で写真がついていてみたが動かせる感じのするものではなかった ・作品の応援や未読の方へオススメする一言! これを読むと決めて読む感じではなく何気なく読んでもう少し続いてもいいんじゃないかなと思いながら読むのがいい感じマンガでした ナニワ金融道の名シーンナニワ金融道 青木雄二starstarstarstarstarかしこ全巻読むからメモっとこうと思って https://www.sukima.me/bv/t/BT0000342956/v/5/s/13/p/1金融漫画の金字塔ナニワ金融道 青木雄二名無し人生は紙一枚で簡単に終わる。 借金が全て悪いとは言わない(企業はみんな借金しているし)けど、悪い借金は本当に人生を狂わすし、知識がない人は皆騙される。 この漫画で騙されている人を見て、学ぶことが大事。 絵が下手で、キャラの顔がギャグ漫画っぽいけど、金融に関しては非常にわかりやすいです。 騙される人の顛末というよりも、金融側でどうやってその人から金を取り立てるか?という部分にフォーカスを当てているのが面白いです。非常識が常識になるあとかたの街 おざわゆき名無し昔の常識が今の常識とは限らず、逆も言えます。 常識と思っていたことが今読むと全然違う。 夏のこの時期に読んで戦争とは人間をどういうものにするか考えるのが良いですね…。 思考も思想も変えてしまうし皆苦しむし悲しむ。 漫画になってるとすごくわかりやすいので頭にスッと入ってきます。 説教臭くなく、考える部分は読者に委ねられてる感じが好印象です。 おざわゆき先生のお母さんの実体験あとかたの街 おざわゆきstarstarstarstar_borderstar_borderかしこ名古屋大空襲を生き延びたおざわゆき先生のお母さんの実体験。空襲の前後に大地震があったことなども描かれていて、実際にそこに住んでいた自分と同じ庶民の感覚での戦争体験を感じることが出来た。主人公の家は貧乏だから仲が良かったクラスメイト達が進学した女学校に自分だけ行くことが出来なくて劣等感があったんだけど、学徒労員でも優遇されて戦闘機を作ってる三菱の工場で働いていた女学校の生徒達は真っ先に空襲で狙われて亡くなってしまったエピソードが悲しかった。おざわゆき先生のご両親はそれぞれに過酷な状況を生き抜いて来られたんだな…。5巻の巻末にはこうの史代先生との対談も収録されていました。神ですら分からない現代の欲望ゴールデンゴールド 堀尾省太hysysk『刻刻』も大好きで本作も本当に楽しく読んでるのだが、先が気になり過ぎて我慢していたコミックDAYSを購読してしまった。今なら遡れば7巻の終わりから最新話まで途切れず読めるしめちゃくちゃ盛り上がってるから今ですよ今! 物語は終盤に差し掛かってるような気がする。7巻で「フクノカミは現代の人間の欲望や価値感覚が分からないのではないか?」という仮説が出てきた。我々は歴史を学ぶ時などに、過去を現在の感覚で捉えて「昔の人はこんなものを信じてたんだなぁ」などと上から目線になってしまいがちだが、実は「過去から現在がどう見えるか」という視点こそが重要なのだ。人間は昔からお金に振り回されてきただろうけど、今のように庶民がお金で頭がいっぱいな時代(株、FX、不動産、インフルエンサー、保険、仮想通貨…)ってあったのだろうか。 そういった「当たり前に過ごしているけど、よくよく考えたら変だぞこれ」っていうものを象徴的に表現するのに、ファンタジックな現象をうまく利用している。細かい描写に一貫性とリアリティがあって安っぽくならない。 堀尾先生自体はあんまりSNSとかやってなさそうなのに、IT系の話題もしっかり消化して小ネタに挟んでて面白い。あと個人的に恋愛描写が好き。心理戦とか駆け引きを描くのがうまいからかな。まとめ読みでわかる面白さゴールデンゴールド 堀尾省太libro堀尾先生の前作「刻々」もそうだったのですが、ある程度まとめて読むとこの世界観の奥深さや物語の展開のダイナミックさがわかるのでお薦め。一人の小さな欲望が他の人の欲望に火をつけ、多くの人を巻き込む経済発展につながり、逆にその発展に振り回される人たちがスピーディーに描かれています。昭和の経済発展とはこういうものだったのではないかと思わされると同時に、みんなが満足する発展とは何かを考えさせられます。 どん底から抜け、出会うはずのなかった仲間と走る!!ましろ日 香川まさひと 若狭星たか白黒の紙面に色が見えるマンガは初めてで胸が一杯になった。 5巻の表紙に惹かれて手にとったけど、純平と山崎が握ったロープが鮮やかな赤に見えた瞬間、これはすげえ作品を読んでるなと感じた。 山崎がブラインドマラソンに出会い、健常者だった頃と同じ風を切って走るという感覚を取り戻したように、読者も白黒の世界でランナー2人を繋ぐロープだけが色がついて見える体験は、簡単には得難い素晴らしい追体験だと思う。 そして単行本しか読んでない自分としては、正太郎の只者じゃないオーラがメチャクチャ気になる...! お前は一体何者なんだ〜!!表紙とずいぶん絵が違う水すまし源五郎 かわぐちかいじマンガトリツカレ男内容は主人公が海上保安士なのでシージャックや船の保険金詐欺などの話になる。峰と源五郎の暗い友情と言えばいいのか微妙な関係で物語が進んでいくが明るい話はなく全編通して暗い。現在連載しているかわぐちかいじのマンガと全く違う感じだった。まあ俺はこれはこれで好きなんだよね。 絵的に麻雀漫画の傑作プロとかより前の感じかな 福をもたらす神が、離島で巻き起こす騒動ゴールデンゴールド 堀尾省太名無し※ネタバレを含むクチコミです。 前後編の2巻でスッキリできる素晴らしい物語平太郎に怖いものはない スケラッコさいろく平太郎に怖いものはない、と言う。 怪異がバンバンいたずらを仕掛けてくるが彼は怖いと思わない。 平太郎はあんまり喋らないが、人がよく、16歳とは思えない魅力があり、人に好かれ、道は平坦ではないようだが周囲に恵まれ広島で温かい人々に囲まれてお好み焼き屋をやっている。 最後の最後まで読まなくてもなんとなくそういう感じになるのかなとは思っていたけど、最後まで読んでスッキリして「よかったー」と思える素晴らしい作品でした。スケラッコ先生好き。ポスト「はだしのゲン」夕凪の街 桜の国 こうの史代なかやま学校に置いてあるマンガは人生に大きく影響を与えると思う 『マンガで作ろうマンバ学級文庫』学校に置きたいマンガを語るマンバ読書会開催! ということで真っ先にこの作品が思い浮かびました。 第二次世界大戦後の広島の被爆者とその家族をテーマとした作品です。 すべての地域・年代かはわかりませんが、私の学校には中沢啓治先生の「はだしのゲン」が学級文庫に常備されており、それこそ読み漁ったものです。 その影響は凄まじく、戦争の悲惨さ無残さが私の中に深く刻まれました。 ただ、一部のニュースや投書を見ると「はだしのゲン」は「内容がグロすぎる」という意見があるようです。 (私はそのグロさも含めて知る必要がある事実として捉えていますが、この意見に対して否定はしません) この作品はこうの史代先生の優しいタッチもあり、表現こそマイルドではありますが読後の心に刻まれる気持ちはゲン同様だと思います 是非学級文庫へ生口島JKの釣り×自転車ライフ #1巻応援しまなみくるくる 多平優香あうしぃ@カワイイマンガ尾道市に属する生口島(いくちじま)に引っ越してきた自転車好きのみかは、釣りをしているみうと出会う。不思議な因縁で巡り合う二人が、釣りを通じて意気投合し、自転車×釣りに興じる日々のお話は、始終明るく楽しげ。 この明るさ、舞台の生口島にも要因がありそう。瀬戸内海に浮かぶこの島は、レモンの産地でサイクリングも盛ん。島全体で現代アートを展示していたりと、楽しそうな所。 海は美しく、釣りには最高のロケーション。みうの家の古い日本家屋の珍しさや島のちょっとした食習慣など面白い。そしてそれらを素直に楽しむみかに、次第に打ち解けて行くちょっと内向的なみうの関係性も、既にいい感じ! ゴールデンゴールドの伏線ぽいものあげてくゴールデンゴールド 堀尾省太名無し※ネタバレを含むクチコミです。お金という理解不可能な力を、福の神という比喩で描いたマンガ。ゴールデンゴールド 堀尾省太やじまけんじ説明のつかない力に解釈をつけるのが妖怪や幽霊、神や魔法を生み出す理由だと思うのですが、このゴールデンゴールドは「お金」というものの持つ力を「福の神」という具体的な比喩を用いて描いた作品だと思いました。 お金は人を集め、羨望や憎しみや、好意という気持ちすらもコントロールする。 怖い、でもお金のもつ魔性の力が人間にものすごく強く働いた時どうなるのか、その先が見てみたい、そう思って読んでいる作品です。理屈抜きに楽しめる少年野球漫画あきら翔ぶ!! とだ勝之名無し8人しかいない島の野球チームに、ピッチャーの主人公が転校生として加わるという野球物語。 大変面白かったです。理屈抜きに楽しく、読んでいて主人公の大活躍がとにかく痛快でした。昨今の作品に見られる妙に屈折した設定が無く、少年野球漫画として王道の健全な楽しさに満ちており、読んでいると野球をやりたくなるような大きな魅力を感じます。 また同時に、瀬戸内地方独特の大らかな風土の魅力も伝わって来るのが嬉しいですね。 とだ勝之先生の絵のタッチは子供のころに読んでいた漫画のタッチと似ていて懐かしさを覚えます。 貸した金返せよナニワ金融道 青木雄二野愛面白いと言い切ってしまっていいのか悩ましいけど、間違いなく面白い! 金の貸し借りにおける駆け引きが巧妙で気持ちよくなってしまう。気持ちのよい話なんてほぼゼロなのに何故なんでしょう。カタルシス的なものなのか。 鬱々とした気分になるお話ばかりなのに、コミカルで淡々としていて、どこか感情の読めない絵柄もまた魅力的。灰原の優しいんだか冷たいんだか食えない人間性と絵柄がぴったり合っている!! 金を借りるも地獄、借りられないも地獄。真っ当に生きていてもいつどうなるかわからないのがこわいところ…。 とりあえず貯金はしなきゃ、変な気起こさないようにしなきゃ、連帯保証人にはならないようにしなきゃ、と自らの紐をかたく結ぶのでありました。 ドラマ版も久しぶりに見たくなった…読んでも暗い気持ちにならないのは心の中にウルフルズが流れるからかもしれない。久しぶりに読み返したあとかたの街 おざわゆき霧兵衛良かった点 ・友達が亡くなったシーンでの髪の毛が逆立つシーンはむちゃくちゃリアリティがった 総評 ・同じ作者の戦争ものだと「凍りの掌 シベリア抑留記」の方が淡々として好きかな <<123>>
https://www.shogakukan-cr.co.jp/book/b110795.html 『漫画が語る戦争 焦土の鎮魂歌』(小学館クリエイティブ)で読んだ曽根富美子の短編「ヒロシマのおばちゃん」が衝撃的だったので、もう一度読みたいと思って電子書籍版を探してたら、この短編集に収録されていた。 「ヒロシマのおばちゃん」以外の短編は、戦争の話というよりちょっと昼ドラっぽい話が多いものの、それでも表題作を読むためだけに買っても損はないと思う。 作品の詳しい時期は分かってないのだが、状況からして1990年代頃の設定と思われる。広島での戦争体験を語り継ぐの”一人のおばちゃん”を通して、戦時中の自身の半生を振り返るところから物語は始まる。巧みな語り口と、曽根先生お得意の、不幸で陰湿な心理描写にグイグイと引き込まれてゆく。そしておばちゃんは不幸のドン底と同時に、原爆の日を迎えるのだが…。 変わり果てた広島の街を、怨念そのものとも言える鬼気迫るタッチで描き出し、一度目にしたら忘れられないような光景がこの漫画にはある。おばちゃんは最後に「あれは地獄だったよ」とだけ語る。と同時に、この出来事が教科書の中のたった数行に収まってほしくない、と願うのだった。 個人的には「はだしのゲン」と同じく、ぜひ読み継がれてほしい戦争漫画の一つだ。