モンゴルマンガの感想・レビュー16件トマトスープ先生の可愛さと残酷さ天幕のジャードゥーガル トマトスープさいろくダンピア〜も読んでて素晴らしく可愛かったし、何よりこの時代(というか文明)の野蛮さに現実が見える。 そんな中でも崇高であれ、尊さを知ろうとする彼女らはとても魅力的で、今はとても恵まれているなとも思いつつ、文明なんてなくても幸せだった気がしてくる。読みやすい天幕のジャードゥーガル トマトスープ名無し絵柄がデフォルメチックでアーティスティックだからでしょうか!読みやすくてわかりやすい! こんなに文化が違う所の話はなかなか頭に入りづらいはずなのに不思議です。 話もちゃんと大人向け、説得力あります。 おすすめ南モンゴル(内モンゴル自治区)の民族弾圧を知るモンゴリアンメッセージ二〇二〇 清水ともみ名無しウイグル民族への弾圧を描いた「私の身に起きたこと」は、以前に読んでいて知ってたけれど、内モンゴルにも激しい弾圧の歴史と現在も同化政策が取られていることは、恥ずかしながらこの漫画を読むまで知らなかった。 作中では、文革の時代にモンゴルで起こったこと、現在進行系で起きていることが強いメッセージ性で描かれる。文革時代に起こったことについて詳しい描写はなされてない。気になったので、ネットで検索していくつかのニュース記事を読んでみたけど、あまりの残酷さに言葉を失うほどだった。 https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65762 「私の身に起きたこと ~とあるウイグル人女性の証言~」と共に、世界に広まってほしい漫画である。 ちなみに「マンガを買ってる余裕はない!」という人は、マンガ図書館Zで広告付き無料で読めるのでどうぞ。 https://www.mangaz.com/book/fin/209271次の巻が気になる!早く読みたい!天幕のジャードゥーガル トマトスープstarstarstarstarstarこめつぶ2023年話題作!という本屋さんのポップがあって結構推されていたので気になったこちら! 設定が13世紀のモンゴル帝国。 ファーティマがこれまで培ってきた知恵や元々の地頭の良さをこれから発揮していくのか~!と思うと次巻が楽しみ! 日本史は愚か、世界史なんて全く理解できていない私ですが、13世紀のモンゴル帝国が舞台ということもあり、 歴史も自然に知れてその当時の世界観も知れるので、面白みが増します! けっこう完成度高いです。虹色のトロツキー 安彦良和starstarstarstarstar_border酒チャビン安彦先生はガンダムの人というイメージで、マンガ家というイメージはなかったのですが、この作品はすごく完成度が高く感じました。 まったく奇を衒ったところがないなかでこれだけちゃんとマンガを書いてくるので、マンガ家としてもすごく実力が高いのですね。。。ガンダムの人と思ってて失礼しました。というかそんなに急にマンガって書けるもんなんですか??それとも元々マンガ家の方だったんでしょうか??すごいです! テーマは昭和初期の満州で、それも興味深かったです。五族協和(日・韓・満・蒙・漢の五つの民族が協調して暮らす)を目指した満州で、日本とモンゴルのハーフの主人公ががんばります。 主人公のキャラもすごく正統派で好感が持てました。 人間ドラマ系の作品が好きな人は面白く読めると思います。このマンガがすごい第1位!!天幕のジャードゥーガル トマトスープかしこオンナ編第1位を受賞されていたので読んでみました!第一印象は「王様ランキングみたいなマンガかな〜(キャラクターっぽい絵柄だけどテーマが深い)?」でしたが、読んでみて世界情勢なんかを考えると天幕のジャードゥーガルは更に身につまされる話だなと思いました。平々凡々と生きてると知らない方が幸せなこともあるよな〜なんて思っちゃうこともあるんですが、やっぱりピンチな時に自分を助けてくれるのは知識ですね。勉強せねば!2巻からは王位継承問題で波乱の展開が起きそうなので続きがめちゃくちゃ気になります。横山三国志のチンギスハーン版です。チンギス・ハーン 横山光輝starstarstarstarstar_border酒チャビンチンギスハーンといえば、北海道名物の料理名にもなってるほど日本ではお馴染みなので、知らない人はいないと思いますが、かの有名はモンゴル帝国を築いた方です。 個人的に空前絶後のチンギスハーンブームがきているため、こちらも読みました。中学生の頃、近所の本屋にハードカバー版が置いてあって、当時も少しチンギスに傾倒していた私は1巻を購入したのですが、その後2巻がその本屋に入荷されることはなく(売れ行きが微妙だったのでしょうか・・・)、続きが気になっていたという因縁があります。 今はそういう点では、24時間いつでも欲しくなった瞬間にポチりできるので、いい時代になったものですね。 さて、マンガの感想ですが、横山三国志の読み味と同じく、すごくシンプルに、いい意味で尖ったところなく、ストーリーを紡いでいただけるので、大きな筋のところがスッと入ってきました。 欲を申せば、三国志や水滸伝などのように、超主要人物以外にも個性的なキャラとかが出てきて欲しかったのですが、それは横山先生の取材の怠慢というよりは、そもそもモンゴルには紙とがなかったようなので、三国志とかと違って記録や資料に乏しいことが原因なのかもしれません。 今読んでいる北方謙三のチンギス紀は、逆に誰が誰だかわからなくなるほどキャラが出てきますが、多分に創作の部分もあるとのことです。 久しぶりの先が気になりすぎるマンガ天幕のジャードゥーガル トマトスープstarstarstarstarstar_border酒チャビンとにかく読んでいて先が気になるというか、ワクワク感が止まらなかったです。 まだ1巻ですが、舞台はチンギスハーンの時代のモンゴル帝国周辺で、主人公はホラズム出身の奴隷の少女。1巻では主人公がモンゴル帝国と接点を持つあたりで終了しますが、これからどういう物語になっていくんだろう!!!!というワクワクが止まらないです!早く続きが読みたい!!! ちょうど北方謙三の「チンギス紀」を読んでいて、モンゴル帝国に並々ならぬ興味を持っていたということを差し引いてもすごく名作になっていく予感がしてます!笑顔で闘う少女のモンゴル帝国史 #1巻応援天幕のジャードゥーガル トマトスープあうしぃ@カワイイマンガ屈辱の中で少女は、溢れる怒りを抑えて笑う。その時彼女は歴史物語の主人公として、闇の魅力を放つ。 虐げられた者の歴史を、強烈に印象付ける。イランで学者家系の家に奴隷として連れてこられた少女は、そこを失いモンゴルに送られ、王子の妻に仕える。いつも大切な基盤を奪われながら、移動先で厚遇されてしまう彼女の尊厳は、複雑に引き裂かれている。 悲しみ、強い怒り、嫉妬。そんな彼女の暗さを押し込めたしたたかな笑顔に、心臓を掴まれる。 彼女を支えるのは学問。それは人生の指針でもあり、出世の道具でもあり、知らない世界への好奇心。数学や科学をモンゴルに持ち込む彼女が何を起こすのか……揺れるモンゴル帝国で彼女の心も、かなり大きく揺れ動きそうな予感がある。アンゴルモア 元寇合戦記の感想 #推しを3行で推すアンゴルモア 元寇合戦記 たかぎ七彦starstarstarstarstar_borderマンガトリツカレ男・読んだ直後に思ったこと ※一番大事!※ 昔3巻ぐらいまで読んでいたが今回一気に全部読んだがむちゃくちゃ面白かった ・特に好きなところは? モンゴル側のただ残虐な集団と扱いではなく組織構成や内部の争いなども含めて描かれているのがいい ・作品の応援や未読の方へオススメする一言! 主人公や脇役、モンゴル側も含めていいキャラだらけなのでおすすめ ゴーストオブツシマ(GoT)の舞台アンゴルモア 元寇合戦記 たかぎ七彦さいろく舞台は対馬。 蒙古に攻め入られた対馬の村々は侵略による略奪でモノだけでなく命すらも全て奪われていた。 実際の元寇(げんこう。蒙古と高麗による実際にあった日本侵攻のこと)を描いた漫画で、罪人として島流しされて流人となった主人公が義を貫いていく。 なんというか、こいつがゴーストオブツシマの主人公なのかと勘違いするぐらい日本の侍としての気持ちの良い活躍を見せる。ただ、もちろん一人がどんだけ強くてもどうにもならない時がある。そんなときの脇役たちは各々光って魅せてくれる。 漫画としてもバタバタ人が死ぬしよく考えるとかなりグロい。 ただ、ダークヒーローのようなスタートを切る訳あり主人公の迅三郎が対馬の人々を護る戦いを繰り広げていく様は読む手が止まらない。 博多編はまだ読んでない!12世紀モンゴルを舞台に絡み合う史実とファンタジーフェンリル 赤松中学 大西実生子sogor25主人公は12世紀モンゴルのある部族の少年テムジン。彼が湖で「フェンリル」と名乗る美しい女性の姿をした"何か"と出会った所から物語は始まる。 世界史に明るい方なら"モンゴル"そして"テムジン"というキーワードである程度察するかもしれない(私は全くピンときてなかったけど(´・ω・`)) そんなテムジンが主人公の物語で、基本的には彼がその地を股に掛け躍動する大河ロマンなのだが、フェンリルの存在により、テムジンが当時ではあり得ないような知識を身につけていくことで徐々に史実から物語が分岐し始めてゆく。ファンタジーとフィクションに史実と現代の知識が折り重なり、先の読めない一大戦記へと物語が拡がっていく予感がある。 1巻まで読了シュトヘル読んでシュトヘル 伊藤悠名無し現代と昔のモンゴルを行き来してなおかつ西夏の文字がテーマなので複雑です。 でもその複雑さと読むのが煩わしいと一瞬でも思わない表現力、さすがとしか言いようがありません。 バトルのスピード感のある筆の運び、めちゃくちゃ好きです。 チンギス・ハーンの一生が大まかにわかるチンギス・ハーン 横山光輝starstarstarstarstar_borderマンガトリツカレ男チンギス・ハーンの一生が書かれている漫画 子供の頃苦労して、良い仲間に会い、ライバルとの戦い、同盟や裏切りがあり最終的にはモンゴルを統一して、諸国を攻めまくって亡くなると言う内容だが、出来事のきっかけがほとんど「恩と恨み」で構成されている。 最後の方のテムテングリがらみのエピソードが特に好き 滅亡した国の文字を守る、壮大な歴史ロマンシュトヘル 伊藤悠starstarstarstarstarひさぴよ現代日本の男子高校生が、13世紀初頭のチンギス・ハーンが生きた時代のモンゴルの世界へと繋がり、西夏文字をめぐる壮大な戦いに身を投じるお話。 祖国の西夏を滅ぼされた女、シュトヘル(悪霊という意味)と意識が同居する形で、当時のモンゴルへと接続する高校生スドー。 西夏の文字のすべてを記した玉音同を奪いたいチンギス・ハーンと、西夏の文字とシュトヘルに魅せられ、それを守ろうとするハーンの息子ユルールを中心に、登場人物の様々な思惑が複雑に絡み合う。 歴史モノとしての骨太さはもとより、戦闘シーンの迫力はさすが伊藤悠先生という他ない。 特にハラバルの戦いぶりは必見。ややファンタジックな弓使いであったが、個人的には一番カッコいいキャラだと思っている。 読みすすめるうちに、自然と文字が持つ「歴史の重み」のような物に思いを馳せるようになった。 ある意味「文字」そのものが主役とも言える異色の作品。 ぜひモンゴル人に読ませて感想を聞いてみたい。死して後も残る価値を、この世に刻め『シュトヘル』シュトヘル 伊藤悠兎来栄寿『シュトヘル』は、自分が何の為に生きて闘うかを強烈に問うて来る作品です。 人は誰もが例外なく、死という絶対的で問答無用な消滅を迎えます。そこに至ってしまえば、それまでに築き上げた知識、技術、経験、財産、人間関係……全てがゼロとなります。 一方で、当人が鬼籍に入った後も、人の世の中で受け継がれて行くモノがあります。人の想いを紡ぎ、時代を越えて大きな影響を与え続けるモノがあります。 「それは百年先でも価値を持つか?」という問は物事を推し量る一つのものさしですが、百年千年と人の寿命の何倍も何十倍も連綿と人の世に残りその価値を受容されるモノというのは、ある種、人が人のままで人の領域を超えた部分に触れているようにも感じられます。 それは例えば書かれた物語であったり、描かれた絵画であったり、建築であったり思想であったり……勿論、漫画もその一つとなり得るでしょう。もし自分が死んでも、自分の遺したモノによって、どこかの誰かに感動や安らぎを与えられ、より良き未来を作る一助を担えたとしたら、そんな素晴らしいことはありません。 『シュトヘル』で描かれる高潔なる志と闘いを目の当たりにすると、自分もそういったモノに焦がれる気持ちを掻き立てられてしまいます。ただの歴史物とは一線を画す、魂に訴えかける叫びが聞こえて来るような漫画です。 **一風変わった、歴史物** 『シュトヘル』の舞台となるのは、13世紀初頭のユーラシア大陸。 13世紀といえば、モンゴル帝国が歴史的な躍進と繁栄を遂げた時代です。 チンギスハンがモンゴル帝国を建国してから3年経った1209年から物語は語られ始めます。 モンゴルの末席であるツォグ族の皇子として育てられたユルールは、戦を好まず書に張り付き、文字を愛する幼い少年。そんな彼は、実はチンギスハンの息子です。一方、モンゴル族の頂点に立つ大ハンことチンギスハンは、ある理由から敵国・西夏の文字に対して異常とも思える程の憎悪を持っており、地上から根絶やしにしようとします。ユルールは、そうして西夏文字が滅び行くことを嘆き、憂いていました。煩悶の末、ユルールは兄を始め一族郎党を敵に回し、西夏文字を守る為の闘いを始めます。 正直、私はこの辺りの歴史に詳しくはありません。しかし、『シュトヘル』はそんなことは関係なく、それぞれの人間の感情に移入しながら楽しめますので、歴史物は今一つ苦手、という人も食わず嫌いせずにてに取ってみて欲しいです。 **文字を巡る物語** ユルールが文字に対して語る言葉に込める熱量は凄まじく、そして美しいものです。 > 文字は生き物みたいだ。 > 記した人の思い ねがいを伝えようとする。 > その人が死んでも文字は託された願いを抱きしめているようで… > 文字は、人を憶えておくために生まれた。遠くにあっても、時を越えても、人と人とが交わした心を伝え続ける…… だから心底美しい。 > おれはあこがれる―― > この文字でしかあらわせないものがあって、この文字でしかあらわせない心がある。おれはそれと生きている。 文字という物が如何に素晴らしい創出物であるか、それがどんなに人類にとって大事な可能性であるか……。幼くも透徹した眼差しを伴いながら、折に触れて語られて行きます。普通の歴史物や戦記物であれば、家族や恋人や友人や同胞、国や故郷を守る為に闘うのが王道です。しかし、ユルールはそうではありません。彼は文字を守る為に、もっと言えば未来に存在する人の持つ可能性の為に、兄や実の父をも敵に回して闘うのです。 他方、「今日を生きる者のためでなければ、死屍を越えては往けないのだ」と語る、ユルールの兄である勇猛な戦士ハラバルの気持ちも解ります。甘い考えは捨てて闘いに身を投じなければ、自らの一族を、女子供をも死の淵に立たせることになる。最も大切なものは今生きている人間であり、その為に自分は闘う。全くもって正論です。現実を受け止め、自らの責務を全うする彼も、主人公であっても良いほどに器が大きく、魅力的な人物です。 それでも、どちらにより憧れを抱くかと言われれば、私は圧倒的にユルールなのです。現実に向き合わない夢想と断じられたとしても、文字を通して生まれる奇跡のような感情の紡ぎ合いの暖かさ、ユルールが文字の力に感じる可能性は否定しようがありません。それは、『ガンダムUC』で「可能性の獣」と呼ばれた概念にも似ています。ある側面から見れば愚かしくすらありながらも、それでもより高貴なあるべき姿を追求しようとする人の心。私はそれは掛け値なしに美しいものだと思います。 西夏文字の総本山である、番大学院が焼き討ちに掛けられる時、その院長である吉祥山がハラバルとなす対話も秀逸です。 > 「殺し合いに明け暮れる者にはわからぬ。生涯をかけた仕事は命そのものになる。命をかけるべきものになる」 > 「命をかけるべきものがあるという言葉は病だ。この病が跋扈する度に大勢が死ぬ。この病の者は目の前の人間を見ない。人間をを道具とし恥じることもなく同胞・眷属を顧みない。…守るべき者を」 > 「――血や一族のみを守るならば人間は永遠に縄張りを奪い合うだけの獣ではないか」 このシーンはセリフだけでも痺れますが、それを語る表情、そしてその背後に映るものとモノローグによって示される、互いの想いの丈とそのルーツ、更にはその先で明かされる真実、全てが渾然となって心と魂に響いて来ます。それぞれにもっともだと思わせるものがある、確固たる信条のぶつかり合い、鬩ぎ合いは堪らなく面白いものです。 『シュトヘル』には、これ以外にも数え切れない程の名言や名シーンが溢れているので、苛烈な時代に生きる人々の熱き想いの数々を是非直に堪能して欲しいです。 **絵の魅力** 伊藤悠先生は、一枚絵も魅力的ですが、それ以上にアクションを描くことに秀でています。それは、全五巻以下の漫画で傑作を挙げるとすると往々にして名前の挙がる『皇国の守護者』でも証明して見せた通り。 静と動を巧みに使い分けて、これだけ動きを上手に表現できる女性作家は、とても稀有です。変形ゴマは少なく、長方形のコマが主なのですが、それでも動作が非常に栄えているのが特徴的。 ここまで全く名前を出してきませんでしたが、もう一人の主人公であるシュトヘルの獣のような動きの殺陣は、妖しくも美しいです。 そして、何よりも伊藤悠先生の絵で魅力的なのは、表情。 ゾクゾクするような相貌、射抜かれるような眼力が頻出します。もう、この魔的な表情の数々を眺めているだけで楽しめる位です。伊藤先生の漫画を読んでいると、表情の描き分けの大事さを思わせられます。その結果、シュトヘルになら噛み殺されても良いかも、と割と本気で思える程にキャラクターに魅力を感じていきます。あの荒川弘先生をして「投稿雑誌で伊藤先生のハガキだけオーラが違って当時からファンだった」と言わせるのも道理です。 **『シュトヘル』という祝福** 13世紀のユーラシア大陸を舞台にしている作品というのは貴重で、そこで少年と美女と老人と大鷲が旅をするというシチュエーション一つとっても独特の魅力を持った作品です。又、喪われた文字を巡る物語、という題材だけでもロマンを掻き立てられる人もいることでしょう。 ユルールが本懐を遂げられず文字が完全に喪われていたとしても、どこかの誰かの未来のために闘った彼の覚悟と勇気が、時間や空間を越えて人の心を奮い立たせるでしょう。そして、あるいはその人が可能性として描いた理想の未来を作っていくのかもしれません。そうなれば、それこそ人に与えられた「祝福(ユルール)」ではないでしょうか。
ダンピア〜も読んでて素晴らしく可愛かったし、何よりこの時代(というか文明)の野蛮さに現実が見える。 そんな中でも崇高であれ、尊さを知ろうとする彼女らはとても魅力的で、今はとても恵まれているなとも思いつつ、文明なんてなくても幸せだった気がしてくる。