完結したマンガの感想・レビュー16033件<<608609610611612>>難解な原作のための鑑賞の手引きを目指したようだが、それに留まらない面白さがあった。死者の書 近藤ようこ 折口信夫地獄の田中原作の同名小説は未読だったんだが、むしろそういう人のために描かれた『死者の書』の鑑賞の手引きを目指した、とあとがきで近藤ようこが書いているためむしろ私のような人間のための漫画だったのかもしれない。実際かなり難解な小説のようで、通読を断念した人も多いようで小説から入ってたら読み通せなかったかもしれない。 鑑賞の手引きを目指したからか、この漫画にわかりにくさを感じることはほとんどなかった。だからちゃんと面白さが伝わってきたんだと思う。 ストーリーは、斎き姫にあがる娘として大事に育て得られた藤原南家の娘(郎女)が写経や機織りなどを通して神の存在を確かにし奉仕しようとする姿が描かれている(と思う) 郎女はかなり才能のある女性だったようだが文物を全く与えられない(女に知識を与えるものではないという風潮もあったようだ)中で育てられたが、ひょんなことから法華経を手に入れて、それを習い始めて知識というよりも神という認識に目覚めて彼女の信仰が始まっていく。その姿が淡々としているんだが、写経を1000部行ったりして激しい。 時系列が整理されているようでその点も原作よりも読みやすくなっている点だとか。信仰の神秘さを保ちながら文化的な背景が骨太で面白かった。原作は頑張って読もうと思う。ギャグとして始まり、リリカルな青春漫画として完結した異色の学園ドラマあしたの弱音 タイム涼介ジュークボックス初めは、持て余した男子中学生・弱音のドタバタコメディ。モノローグが詩のよう、くらいの印象だった。 しかし、中盤以降この詩的モノローグが加速し、展開もギャグっぽさを残しながらも恋やら進路やら己の生き方やらに悩むハードな青春漫画に変貌。きっかけは、3年生に進級してヤンキーっぽい女の子が登場したことかな。 終盤は弱音がどんどんハードボイルドになって言って、セリフやモノローグの力も増していき、ちょっとした切なさと優しさを残して幕を引く見事な終わり方。 当初は単行本化の予定もなく苦しい連載だったようでその様子があとがきで語られている。このあとがきもいいので、本編読み終わったら是非読んでもらいたい。忍びの者シリーズ西岸良平名作集 西岸良平starstarstarstarstar_borderマンガトリツカレ男自作の手裏剣で相手を倒して行くのだが、相手が一方的な悪人ではなく、主人公から喧嘩売ったりと、正義の味方の感じはない。 途中で仲間になるガンマンもそんな感じで、個人的な恨みをはらしているだけにしか見えない 西岸良平は鬱屈した精神状態の青年を書くが上手いと思う。説教とグルメTHE 大市民 柳沢きみお名無しある時代の日本の、ある価値観を強烈に反映した作品であり、それ故に人によって評価は分かれるだろう。ここに出てくる作者の「美学」は2017年の日本のネット上に晒されたら確実に炎上する。連載当時(2002年くらい)ならカウンターとして有効だったかも知れないが、今の感覚からするとびっくりするような表現だらけで、改めて時代の移り変わりを実感した。いつか「こんな時代もあったんだな」と面白く読める日が来ることを願う。 名作 御用牙の続編...レイザー 小池一夫 伊賀和洋starstarstarstar_borderstar_borderマンガトリツカレ男※ネタバレを含むクチコミです。政争物かと思ったら戦争物の様相を見せてきたイムリ 三宅乱丈名無し※ネタバレを含むクチコミです。ある意味怪作というか、よくヒットしたよなこれ…冴えない彼女の育てかた 丸戸史明 守姫武士 深崎暮人mampuku※ネタバレを含むクチコミです。 マンガ的感動に涙するプレイボール2 コージィ城倉 ちばあきお影絵が趣味コージィ城倉がおそろしく優れた漫画家および漫画原作者であり、その両端の活動を、誰もがその早すぎる自死を惜しんでやまない天才漫画家の大名作を継ぐという史上もっとも美しい形で引き受けたことへの敬意をまず述べておきたいのですが、この際そんなことはどうでもよくて(ぜんぜんよくない! ほんとうにありがとう! コージィ城倉)、じつに38年の時を超えて、谷口が、丸井が、五十嵐が、ほかにも愛おしいすべてのキャラクターたちが、コマのなかでバットを振り、白球を投げる、もうそれだけで涙がはらはらと頬をつたって止まらないのです。 これが映画だったらどうか、小説だったらどうか、あるいは、大友克洋の出現以降おそろしいまでの発展を遂げた現代のマンガだったどうか。どれをとってもこの感動は生まれないと思うのです。白と黒の線とコマで描かれた「記号」の集積物としてのマンガ、このもっとも基本的であり、もっとも美しくもあるマンガ本来のスタイル、これだからこそ為しえた奇跡だと思うのです。手塚治虫いらい編み出され共有されてきたマンガ的記号、この幾ばくかの記号のうち、ちばあきおが好んで使用したものをコージィ城倉が受け借りてここに再現する、これをマンガ的感動と言わないで何と言えばいいのでしょうか。郷里のある幸せと父子のわだかまりを描いている父の暦 谷口ジロー名無しあとがきでも語られるが、谷口ジロー自身の体験が物語にかなり反映されている。それもあってかやり取りや心理描写が細かくてリアル。 ストーリーは結婚の挨拶以来実家に帰っていない男が父の死を機に里帰りをする話。通夜で昔世話になった母方の伯父や姉から、家に帰らなかった間の父の姿や、幼い日には理解できなかった父の心情などが語られて、後悔とともに父とのわだかまりがほぐれて行くという話。 読み終わると、実家に帰るかという思いになる。あとがきも結構いいので是非呼んでもらいたい。天才・中村明日美子、王道を征く鉄道少女漫画 中村明日美子mampuku タイトルを読んでそのまんま鉄道と恋愛の2つが作品のメインテーマ。正直私には鉄道のことはよくわからんのですがとても面白かった。 オムニバス形式の1巻でいちど完結したのち2巻から新展開となるので、まずは1巻について。グルメ漫画における美味しい食べ物のようなノリで鉄道ネタが出て来る。斬新過ぎてはじめは戸惑うが、後半の鉄道模型の話はたぶんいちばんわかりやすく共感とか感動を得られると思う。続く終電の話でおおっと感嘆。 1巻のあるエピソードの続編が2巻以降つづく。ここでも鉄道が重要なファクターになっているのには違いないけれども、青春漫画として少女漫画として普通に超最高なので、1巻を枕として楽しめたらもうあとは4巻まで一気に読んで泣くまでいくのがよいかと。 オールバックから始まりオールバックで終わる、アツい魂を感じる漫画でもあった 蜃気郎シリーズは無茶苦茶いいな西岸良平名作集 西岸良平starstarstarstarstar_borderマンガトリツカレ男裏社会では「悪の帝王」と呼ばれる怪人「蜃気郎」が芸術的な犯罪を計画して実行するのだが、その際に犯罪に利用した人物や関係者に対して「蜃気郎」が協力者への謝礼という形でなんかしら報いるので、みんなが幸福になる良い短編集 「街角のブルース」/「二つの顔の女」/「復活の日」が特に好みだ。 西岸良平は「三丁目の夕日」のイメージが強くて、今まであんまり読んでいなかったけど「西岸良平名作集」を読んで他のも読みたいって気になった ちばあきおの名作『プレイボール』の続編をコージィ城倉が描くプレイボール2 コージィ城倉 ちばあきお名無しちばあきおの代表作『プレイボール』の続編。『プレイボール』は作者の体調不良により最後の夏大会を前にして完結。その後、急逝により物語はそこで終わってしまっていた。それをコージィ城倉がちばあきおの画風と作風を再現しながら続きを描いている。 1話目には導入もなく、『プレイボール』の最終話からそのまま読める。この構成から、「新作」ではなく「続編」であるという、コージィ城倉の意気込みが伝わってくる。 谷口のスパルタも、丸井の谷口への深い愛も、田所さんの面倒見の良さも健在。好きだった『プレイボール』が復活したようで嬉しい。ちばあきおが描ききれなかった谷口たちの最後の大会の行く末を見守りたい。鳥肌が立つほどのリアリティを感じるマンガリウーを待ちながら 朱戸アオ鳥人間マンバ通信の記事を読んでみて興味が湧いたので読んでみた。 実在する病気って名なんだろう?と思いながら読み進めていたら、なるほど確かに知ってはいるけど実態はよく知らない病気だった。 でも手強い病原体とはいえ昔からあるものだし、治療法や対策は確立されていそうだから、パンデミックといっても人為的なミスや、政治や組織の問題で感染が広がっていって大規模になるのかなぁ?と想像していたら……それだけではないなるほどそりゃオソロシイわという展開で1巻が終わり。実際に起こりうるんじゃないか?と思わせる巧みな設定とストーリー展開に恐怖感を覚えざるを得なかった。 パンデミックを取り扱った作品はマンガに限らず数多くある中で、今後どういったストーリーが描かれていくのか?何か新し切り口が描かれるのか?いろいろと楽しみ。 続きをはよ! 賞金だけで生きていくザ・プライザー 末田雄一郎 山田芳裕starstarstarstarstarひさぴよ荒事専門の賞金稼ぎとは一味違い、地味な大会に出張っては賞金をぶんどるという仕事。 入念な準備をして勝負に挑むタイプの主人公、中郎(あたろう)は、 運にはあまり頼らず、天性の情報収集能力・計画力・実行力を活かして次々と賞金を攻略していく。 いくら勝算があっても常にギリギリの展開となるが、最後に勝敗を分けるのは、一度きりの勝負に賭ける覚悟か。 世の中に楽々ゲットできる賞金大会などありはしないのだ、と思わせてくれる。 ヒロインのビッキーは日本語をあまり話せない外国人なのだが、不思議と作中に溶け込んでいて、主人公と拳で語り合う愛憎の念が入り混じったロマンスも見どころのひとつだ。めーさく謎の彼女X 植芝理一大トロ卜部さんはかわいいし、椿くんは本当にいい子。 二人の関係が深まっていく過程が好き。 唾液コミュニケーションが生理的に無理でなければぜひみんな読んでほしい… 植芝先生の新連載の大蜘蛛ちゃんフラッシュバックも期待しています。今度は「大人青春編」ギャルボーイ! 中村真理子みつこ少し前に6年ぶりに読み切りが掲載されてもう当分ないかなって思ったら、反響があったらしくまた読み切りが掲載。今度は「高校のとき、実はあいつのこと好きだったんじゃないの?」って感じで晃と友宏がちょっと喧嘩?するみたいな話。 ここまできたら新章突入とかでもいいんじゃないかなって思うけど、ひとまずまた読めて嬉しい。 単行本とかでまとまってくれないかなー 長崎尚志と猿渡哲也のタッグで新連載ZIG ジグ 猿渡哲也 長崎尚志地獄の田中『MASTERキートン』の長崎尚志と『TOUGH』の猿渡哲也がタッグを組んでグランドジャンプで新連載が始まった。テーマはテロリストとの戦いだと思うが結構大きい話になっていきそう。楽しみおもしろいけどモヤモヤする。ヒナまつり 大武政夫酢醤油ギャグ漫画としてはかなり面白いですが、頑張っている奴が損をして、能力のあるやつは怠けていても得をするという話が多くて、この作者性格わるいんだろうなぁ、、、って思います。そして、そういう話をとても面白いと感じてしまう自分も性格悪いなぁ、、、と思ってしまいます。 中学生編から高校編になりましたが、いっそうモヤモヤします。でも、おもしろいです。あと、読むとイクラ食べたくなります。2018年1月に正月ドラマ化!風雲児たち みなもと太郎名無し「蘭学事始」を題材にした内容ということで、関が原の戦いからを正月ドラマのみで描くのはさすがに無理か。 でも三谷幸喜脚本だし、楽しみなのは間違いない。 みなもと太郎「風雲児たち」NHKでドラマ化、三谷幸喜脚本で来年1月放送 - コミックナタリー http://natalie.mu/comic/news/244972 ちょっと不思議なねこ漫画このねこばなし 平井清 篠崎司starstarstarstarstarひさぴよタイトルは、主人公姉妹の妹の名前「このね」とねこをかけたもの。 このねは、そのへんの動物に勝手にアテレコしておしゃべりするという変な子で、 かなりイタいと思われるかもしれないけど、最後まで読むと奇行の理由がわかる。 全体的に、空想と現実が入り交じった表現が多いので、ちょっと読みにくい部分はあるものの、 そういった作品が好きな人には受け入れられると思う。 正直、読んで面白いタイプの漫画ではない…。 どちらかと言えば、街の風景や自然や動物の方に印象的なシーンが多くて、 私はそういうところに惹かれていて、本もなんとなく手放すことができなかった。 もう絶版で忘れ去られる漫画になるかと思ってたけど、最近になって電子書籍化されたので、猫好きの人とかに読まれるようになったら嬉しい。ともだちの正体20世紀少年 浦沢直樹けんたろう※ネタバレを含むクチコミです。都会とちがった心苦しさうみべの女の子 浅野いにおニドクイーン太田出版からの浅野いにお、少し大人なえろさ。 心が無ければできないことがあり、心がなくてもできることがある。 14歳っていう若さの中での少年、少女の悩みに、息苦しさ描かれていて、とってもいい意味で憂鬱にさせられなした。 タイトルもよく、私は、ラストシーンが大好きでした。 新展開の5巻ダンジョン飯 九井諒子starstarstarstarstarmampuku※ネタバレを含むクチコミです。日常的に繰り返される暴力ギャグ!無敵看板娘 佐渡川準starstarstarstarstarひさぴよ故・佐渡川準先生の作品の中で一番好きだったけど、 若い頃は、なんとなくおおっぴらに好きだと言えない恥ずかしさがあったな…。 看板娘の鬼丸美輝の外見と中身のギャップが凄まじく、凶暴なバイオレンス性と、狂犬のような行動についつい目が離せない。 とにかく気に入らないことがあると、大人でも子どもでも動物だろうが、容赦なく殴る蹴る。 笑いのギリギリを攻めたレベルの暴力アクションを楽しめるかがポイントである(汗) そういえば鬼丸美輝の精神構造ってどうなってたんだろう?と今更ながら考えてみたけど、そもそも内面についてあまり描かれてなかったような気がする。 でも単純そうな性格に見えて、本当のところは何を考えているのかわからない、そんな少しミステリアスな所も魅力のひとつだったと思う。 【注意】 ※この漫画には、パンチラ等のお色気シーンは発生しません。ご了承ください。<<608609610611612>>
原作の同名小説は未読だったんだが、むしろそういう人のために描かれた『死者の書』の鑑賞の手引きを目指した、とあとがきで近藤ようこが書いているためむしろ私のような人間のための漫画だったのかもしれない。実際かなり難解な小説のようで、通読を断念した人も多いようで小説から入ってたら読み通せなかったかもしれない。 鑑賞の手引きを目指したからか、この漫画にわかりにくさを感じることはほとんどなかった。だからちゃんと面白さが伝わってきたんだと思う。 ストーリーは、斎き姫にあがる娘として大事に育て得られた藤原南家の娘(郎女)が写経や機織りなどを通して神の存在を確かにし奉仕しようとする姿が描かれている(と思う) 郎女はかなり才能のある女性だったようだが文物を全く与えられない(女に知識を与えるものではないという風潮もあったようだ)中で育てられたが、ひょんなことから法華経を手に入れて、それを習い始めて知識というよりも神という認識に目覚めて彼女の信仰が始まっていく。その姿が淡々としているんだが、写経を1000部行ったりして激しい。 時系列が整理されているようでその点も原作よりも読みやすくなっている点だとか。信仰の神秘さを保ちながら文化的な背景が骨太で面白かった。原作は頑張って読もうと思う。