完結したマンガの感想・レビュー16065件<<386387388389390>>戦後を舞台とした空手格闘漫画暴拳 みね武 東史朗名無し暴挙は戦後の日本を舞台としたサバイバル格闘空手漫画です。主人公は徒手空拳で空手を武器として立ち回り戦後の日本を生き抜きます。武に生きる主人公の誠実さとその苦悩がドラマチックに描かれています。 時代背景はかなり古く、ボクシングが拳闘と呼ばれていた時代で、現代ではあまり見れないとても硬派な漫画であり、アクションシーンが物凄く派手で読んでいてスカッとします。 空手の蹴りでボクサーを倒す拳士が最高にカッコよかったです。 タイトルの「暴拳」は「冒険」とかけているのかなと思って読んだのですが、主人公の「拳士」が沖縄空手を奮い、暴れまわる物語だとは思いませんでした。楽園までどのくらい?いや、目の前に。純水ルミネッセンス かずまこをあうしぃ@カワイイマンガこの単行本の後半は『純水アドレッセンス』の追加エピソード。養護教諭×生徒のカップルの、生徒が卒業まで逢瀬を止めようと悩んだり、結婚式とその先を考えたり、卒業後に学校に残される教師を想ったり……次々と訪れる「区切り」と向き合い、精一杯に恋を生きる物語が、爽やかに鮮やかに描かれている。 『純水アドレッセンス』を読んでいる人は、これは絶対読みたいはず! そして前半は『楽園まで、あと…』という作品。『楽園』誌で中村明日美子先生が連載されていた『おはよう楽園くん(仮)』の二次創作に勤しむ同人作家とその恋人の百合。因みに『おはよう楽園くん(仮)』はBLである。 二人の「区切り」は同人誌即売会。印刷所の締切を巡ってアレコレしたり原作の新展開に萌えたり推しカプで微妙な感じになったりと色々あっても、怒涛の即売会を乗り越えて二人は……という感じのお話だ。 ♡♡♡♡♡ 遠い将来を考えると、同性カップルでなくても、不安になる。だからまずは目の前の「区切り」を一つひとつ、精一杯に満たされる。それの積み重ねが、確かな将来なのかもしれない……そんなメッセージが全体を貫いていると感じた。 楽園まであと、どのくらい?という問いには「先ずは目の前のオアシスで喉を潤そう」と答えたい。 ♡♡♡♡♡ そしてもし興味がおありなら、『おはよう楽園くん(仮)』も一緒に読んでみると面白い。二人が何を見て悶えていたかとか、二人の繰り出すセリフの元ネタなど……色々分かって面白い。そして中村明日美子先生の引く美しい曲線と、カワイイ楽園くん(仮)の、微妙に醸し出されるエロスが癖になりそう。 BLは守備範囲外の私でも楽しめた、愛らしい小品!アニメ化〜!かくしごと 久米田康治名無しかくしごとアニメ化〜!しかも声優神谷さんとのことでほぼ勝手に改造なので読んでください巨大なキノコに囲まれた街の平和で不思議な癒し系漫画!ベニテングダケ2本目プラント工場前菓子店1-キノコ鐵道の夜 Fe Fe名無しキノコ鐵道の夜という何とも幻想的な雰囲気に満ちたタイトルとタッチにひかれて読み始めました。 お菓子屋の少年二人が商工会の人に頼まれて名物になるお菓子を開発するため、鉄道にのってきのこを採取しにいくといった展開です。 沢山の大きなきのこがそこかしこにはえている幻想的な世界を探索し、大きなきのこを手に入れたり、暗くなったら光るきのこを手にとって帰ったりと、バトルのようなものはありませんが、独特な世界をそれとマッチした絵柄で楽しく見させてくれる独自性の強い作品です。 バス釣りの基本が学べますバス・ハンター渡【合冊版】 金井たつお 吉田幸二名無しブラックバスに魅了され腕前とともに人間としても成長していくストーリーです。確かに小さい頃はバスプロという存在にあこがれていました。タックルもなかなか高価ですし、ましてやボートなど高嶺の花でした。とにかくいろんなルアーの特徴やアクションの付け方など学べるマンガです。ただ、時代的にキャッチリリースが美徳として描かれていますが、現在は害魚としてのイメージが大きく、リリース禁止の地域が多いようですので、これからバス釣りをする人は注意が必要です。ただただ妄想が膨らむ僕の妻を抱いてください~寝取らせ夫の歪んだ愛情《合本版》 ひなたみわ名無し※ネタバレを含むクチコミです。キュンとなるシーンが満載好きっていいなよ。 葉月かなえ名無し子供の頃の出来事のせいで人を信じられない主人公・めいの前にあらわれた男の子はイケメンでモテモテだけどちょっと変わり者です。彼と出会い、ひょんなことからアプローチを受けるうちにまた人を信じてみようかなと思い始める、そんなめいを応援したくなりますし、めいを守ってくれる男の子にキュンとなります。いじめ問題も少し描かれていて、普通の恋愛まんがとはちょっと違うなと思いました。 ブリキの迷宮〈ラビリンス〉大長編ドラえもん 藤子・F・不二雄nyaeのび太のパパがテレビの前で居眠りしていたら、砂嵐のなか不思議なCMが流れはじめてこちらに語りかけてくる…という奇妙な始まり方が子供心に妙に印象深く刻まれてます。 あとは、客が自分たち以外に居ないけど設備の整った大きなホテル。でも地下にだけは絶対に行かないでね… 導入だけでいうと「ホラー」のやつですよ。 作品全体のイメージとしては、のび太たちとブリキのおもちゃたちの戦い!というものでしたが そもそもの原因は、人間が楽をするために生活の全てをロボットに任せようとしたせいであり、その結果ロボットたちに支配されてしまうという展開に、読者に伝えたいメッセージがあったんだなと思った次第です。 物語の約半分ほどの間は、ドラえもんが反乱軍に捕まって海の底に沈められてしまってます。なので初めはのび太たちだけで立ち向かうも力及ばず。 その後ドラえもんをなんとか助けてからの巻き返しの凄まじさったらないです。 ロボットに頼りすぎて崩壊した王国に対し、やっぱりドラえもんが居ないとダメなのび太達、という構図には何かメッセージは込められているのだろうか?ラブストーリーとして名作では!?4月の東京は… ハル名無し結論から言うとBLで、再会モノで、ラブストーリーで、名作だと思います! ラブストーリーの要素として必ず隔たりとか障害がミソになってくると思います。BLの場合やっぱり男と男で世間体とかマイノリティとかそういうのが一番の障害でそれを解決して結ばれる流れだと思うんですけど、この本読んでるとその障害とかに正面から向き合ってる感じがしていいなと思えました。 つまりBLなんだけど骨太ラブストーリーとして読んでいただきたい! 特に中学時代の一夜からのすれ違いがうまくドラマチックにでも丁寧に書かれててすごいなと言う印象です。ルーツの追求が未来のハルマゲドンに繋がるというドラマ赤い鳩〔アピル〕 小池一夫 池上遼一名無し新撰組の若き隊士・馬庭実行は池田屋で捕縛された ユダヤ人宣教師・ヘボンの打ち首役を命じられる。 斬首直前、ヘボンは実行に問いかけてきた。 「カゴメの唄の意味を教えてください」 日本人として国のために生きて死のうと 新撰組隊士になった実行は、思いがけずも ヘボンとともに日本人のルーツを探り、 さらに150年後の世界の命運を左右する冒険に 身を投じることになっていった。 「日ユ同祖論」という、日本人とユダヤ人の祖先は同じである、 という論説があり、原作者の小池一夫先生は その論を研究されていたようです。 この漫画では、新撰組が活動していた幕末の時代という 個人も日本も明日はどうなるかわからない、という時代に、 「日ユ同祖+ハルマゲドン・論」とでもいうべき 日本人のルーツを探ることが未来の日本と世界の 運命を左右することになるという大問題を被せてきます。 個人の生き方や国のあり方などの価値観が大きく揺らぎ、 変化しつつあるタダでさえ色々とテンパッテいる時代に、 それゆえに民族の過去を解明しなければならないという 重すぎる命題を背負ってしまう実行とヘボン。 そこに余命が僅かな沖田総司や坂本竜馬、 秦国の末裔や北の大国からの刺客らも絡んできます。 儚く散る命達、それらの積み重ねで繋がる歴史。 SF的ではあるが壮絶なドラマが展開されます。 「眼差し」と「間」で描く恋愛の強度名前はまだない かずまこをあうしぃ@カワイイマンガかずまこを先生の作品は、登場人物の強い「眼差し」にやられることが多い。 『純粋アドレッセンス』のななおの向こう見ずさ、『ディアティア』の睦子の、純粋に相手を知りたい感情、『さよならフォークロア』の二人の、現状を乗り越える意思etc……彼女達の「眼差し」が伝える強い感情に胸を打たれ、動悸が止まらなくなる。 彼女達に見つめられた者は、時に目を逸らし、時に見つめ返す。表情を僅かに変えながら、その「間」で思考を巡らせ、言葉を返す。 交わす気持ちの、伝わらなさがもどかしかったり、ふと通じる瞬間にときめいたり……いずれにしても、二人の「間」そのものが愛おしい。 かずまこを先生の作品の描く「眼差し」と「間」は、この短編集『名前はまだない』の各掌編に端的に描かれている。 まずこの短編集で、かずまこを先生の「眼差しと間の強度」を知るのもいいと思う。連載作品にも全く同じ強度があるという、その贅沢さをお伝えしておきたい。 ●3秒ルール 相手の言葉に、返事するまで3秒以内。言葉に詰まったら負け。 ●uracoi 睨んでからコミュニケーションする女子の、佇まいに惚れる。でも告白してくれたら、眼を逸らすなんて……。 ●恋はお静かに わたしが頭を打ったら、寡黙な委員長の饒舌な脳内がダダ漏れ? ●消し去る恋と願いごと 片想いしている先輩が、急に明日スイスに引っ越し!?先輩は私の秘密の願いを知りたがる。 ●名前はまだない(recalculation、interim solution含む) 本心を隠して周囲との距離を楽しむ優等生女子は、ぶっきらぼうな孤独女子が気になる。気を引き、距離を縮め、駆け引きするも、彼女はなかなか厄介で……。 ●匿名プロローグ 保健室の先生と女子生徒の恋物語『純粋アドレッセンス』の冒頭エピソード。大人同士の友情があたたかい同居物語。恋にならないシェアハウス 望月桜名無しまったく接点のなかった20代の男女が、ある一軒家で共同生活をする物語です。もともと男性2名と女性1名が住んでいた家に、主人公のOL・真奈が引っ越してきます。最初はごくごく普通に生活している4人なのですが、話が進むうちにそれぞれが持っている事情が明らかになるところが面白いです。 人生の中で思いがけないことが起こったり、捨てられない過去があったり、登場人物それぞれの気持ちに共感できるところがありました。4人それぞれに違う事情があるので、誰かしらに感情移入できるんじゃないかと思います。恋になりそうでならない瞬間があるのもドキドキ。丼なのに重たくない丼なモンダイ! 花形怜 吉開寛二野愛重ための作品に疲れたらなぜか読んでしまう丼なモンダイ!人は死なないしめちゃめちゃ悪人も出てこないし適度に困難が訪れて美味しそうな丼と人柄の良さでちょうどよく解決してくれる。 米の消費量を増やすべく、農水省の役人・米野と栞が丼料理屋を運営し丼ブームをもたらすお話。それっぽいけどよく考えたらめちゃくちゃなお話だけど丼がとても美味しそう。 飯がうまけりゃだいたい解決するのが飯漫画。主人公の性格がよければなおよし。ちょっと嫌なやつとか気難しいやつが改心するエピソードがあればさらによし。 めちゃくちゃ面白いわけじゃないけど適度に満たされる感じが気持ちいい漫画だと思います! 出てくる丼は再現しやすそうに見えてなかなかハードル高いけど!かまぼことかオイスターソース手作りするのすごい。 自分で揚げた天ぷらを卵でとじる度胸はないので、天玉丼は天かすで作るといいですよ。もはや別な料理だけど。 素直でかわいい。こんな人と友達になりたい!カズン いくえみ綾名無し高校を卒業してフリーターになった、つぼみ、通称「ぼんちゃん」が恋を知っていくお話。ぼんちゃんが素直でいい子で、特に何か変わったところがあるわけじゃないけど、人の話をよく聞いて、人の気持ちを考えて、自分のメイクやおしゃれも、マイペースで前向きにがんばれる子。こういう人と友達になりたいなーって思える人です。だから、ぼんちゃんをかわいいなって思ってくれる年上のバツイチ男性とか、バイト仲間の男子とか、まわりに恵まれるんだろうな。いい人がたまたまいたんじゃなくて、ぼんちゃんがいい子だから、まわりに愛されるっていう気がします。読んでいて、すごく応援したくなるストーリーとキャラクターです。 ケータイとかはちょっと時代を感じるけど、高校卒業の前後の女の子の気持ちは今読んでも色褪せないので、自分磨きとか出会いに臆病になってたり、一歩踏み出せないっていう人は、読んだら共感できるんじゃないかな、と思います。『のび太と竜の騎士』の思い出大長編ドラえもん 藤子・F・不二雄名無し地球空洞説ってめっちゃロマンありますよね。スネ夫が地底で恐竜を発見する見開きのシーンの衝撃とワクワク、よく覚えています。 地底世界がどうやって出来たのか判明するオチも大好きで、スケールの大きさにシビレました。 地底世界の「政治」にのび太たちが巻き込まれていくストーリーも緊張感がありますが、なんと言っても竜の騎士のバンホーがかっこいい! 本来相容れない立場ののび太たちに対する真摯な姿勢と、自分の属する地底世界への責任感、まさに騎士道を体現した芯の通ったキャラクターです。 個人的に本作で一番心に来るのが逃げ出したのび太たちが捕まったあと、バンホーに「きみたちはどれだけ迷惑をかければ気が済むんだ」みたいに詰められるシーン。 自分が怒られてるような気がしてマジでヘコんでしまった…。ピュアな愛情男子高校生を養いたいお姉さんの話 英貴名無し隣人に当たる男子高校生を見返りを求めたり、何か下心があって尽くそうとするのではなく、純粋に日々の生きる糧として年下の男性を養ってあげたいとする気持ちに、思わず惚れ惚れしてしまいました。現実世界だと、男性側としては、絶対裏があるんじゃないかと危険を察知しますが、そうした不安を感じさせず、ピュアな男女の展開が繰り広げられる点で好きな漫画です。 原作が未読でも全然大丈夫和田ラヂヲの火の鳥 手塚治虫 和田ラヂヲ名無しいつもの和田ラヂヲ先生といった感じが逆にいい。テヅコミの人も火の鳥を誰にお願いするかは相当迷ったんじゃないかと思いますが適任でしたね。和田ラヂヲ先生って他の漫画でも芸能人をネタにしたりしますが、ちゃんとリスペクトを感じるので好きです。正直に言うと自分は火の鳥と全く関係ないとこで一番笑ったかな…。出産、育児で夫婦の関…産後クライシス【合冊版】 矢野ゆなaico出産、育児で夫婦の関係ってまた変わるんだなって予習になる本。幸せなことも多いだろうけど、問題もみんな色々抱えて生きてるのかも。恋とマシンガンヤング・アライブ・イン・ラブ 完全版 西島大介野愛この世界を憂えているふりして、お前らとは違う世界の真実に気づいているんだなんて本気で思っていて、そんな自分が痛いことも知ってるけどかっこいいとも思ってる、みたいな人に刺さるやつ!そんなやついるかよ、って自分だよ。大人になっても厨二病のままだしそんな自分可愛いって思ってる。 3.11をモチーフにした作品がぶっ刺さるような時代がまたやって来た。3.11の傷も癒えてないうちに。 非日常を受け入れて見ないふりするのが得意な私達だから、放射能だろうとウイルスだろうと幽霊だろうと当たり前のように日常に馴染ませて一丁前にこわいねえなんて言って生きている。 その中で真実が見えているマコトとマナが出会うのは運命だし必然で。最高にキュートで痛くて愛おしい!!!!霊霊霊霊!!!! なすすべもなく絶望するだけなら主人公じゃなくてもできるけど、ちゃんと開眼して世界を救おうとしてくれるのが西島作品の少年少女たち。世界の果てで絶望しながら愛を育むボーイミーツガールだったら面白くない。 かっこよく立ち向かって、虚構とリアルが混ざり合ったところで、虚構すぎて虚構大爆発なラストシーン。 最初から本当の話なんてしてないってわかってるのに、憤りを覚えるほど気持ちよく終わってしまう。このハッピーな突き放し方がわたしは好きです。 こんなむちゃくちゃな世界で生きてるんだ、好き勝手想像して創造して、思い通り描き変えてしまえばいい。 デビュー作の凹村戦争から揺らがない、やけっぱちな世界のぶち壊し方が最高です。現代を生きる上で読んどいたほうがいい!!闘える!! マナはゲロを吐くシーンが多くて最高にかわいい。かわいい。 ストーカーホラー男、不気田くん不気田くん 犬木加奈子名無し犬木先生のストーカーホラー男、不気田くんの不気味な愛のお話。 最初は不気田くんに理不尽に破滅させられる女の子たちが可哀想で胸糞な話なのですが段々と純愛になっていき、不気田くんの悲恋物語に変わっていきます。 犬木先生は少女ホラー漫画家というイメージがありますが男性が主役というのも一風変わって面白いです。サイコロ賭博で人生を賭けたゲームが始まった死神サイ殺ゲーム 大前貴史 門馬司 エイリゾ名無し※ネタバレを含むクチコミです。人でありグールでもある少年の物語東京喰種トーキョーグール リマスター版 石田スイ名無しトーキョーグールに出てくるグールには人間を餌としか見ていない者たちと、人間と共存しようとしているグループに分かれています。主人公のカネキは後者に分類されます。 カネキはとても気の弱い少年ですが、ヒロインであるトーカを追い抜く戦闘能力とメンタルの強さ、知性、敵対しているグールたちの信頼を得るカリスマ性...最強のグールへと成長してく姿が読者の心を鷲掴みにして離しません。 巻末で作品中にでてきたちょっとしたグールの話がギャグテイストで書かれていて少しほっとしました。そんなギャップも好きです。 漫画が好きな人はもちろんのこと、大人にも読んでほしい近代バトル漫画の名作です。 養護教諭が生徒に貰う、恋の熱純水アドレッセンス 完全版 かずまこをあうしぃ@カワイイマンガ教師を呼び捨てにする、不躾で、でも真っ直ぐな女生徒。養護教諭はその怒り顔と、愚直な愛を気に入る。密かに付き合い始める二人だが……。 ♡♡♡♡♡ この作品で印象深いのは、教師の松本律子のスカした表情に対する、女生徒・奥村ななおの真っ直ぐ見つめる怒りの表情だ。 そこにあるのは、どこまでもブレない恋心。 年の差百合の、『星川銀座四丁目』『草薙先生は試されている。』等でも見られる、気の強い年下女子の突破力……なのだが、それにしても、ななおの目力と言葉の強さが凄い。見ていると目眩がして来るその圧力で、ななおは二人の恋を強力に主導していく。 一方松本は、大人っぽくななおを翻弄するようでいて、実は先行きを考えすぎて、恋に二の足を踏む。二人の恋愛で起こる、力関係の転動が面白い。 真っ直ぐな心が、考えすぎて混乱する心を救う図式は、幾つかのサブストーリーの中にもあり、特に過去の恋を引き摺る女教師の話など、切ない。 サブストーリーも含め、『純水ルミネッセンス』という単行本の後半に追加ストーリーがあるので、併せてご覧いただきたい。当時と現在とでは同じ受け取り方ができないストップ!! ひばりくん! コンプリート・エディション 江口寿史hysyskひばりくんは身体的には男性で女性として生活しているのだが、悩むでもなく性差別を是正しようとするでもなく、ただただそうすることが当たり前であるように振る舞うところがいい。「変態」だの何だの言うのは周りだけで、今の目にはそっちが異常に映るほど。 同性を好きになることの何が駄目なのか。異性の格好をするのに問題はあるのか。作者はギャグとして描き、時に差別的な突っ込みを入れているが、根源的にはそういった疑問を持っているのだろう。 同性愛自体は紀元前からある訳だし、進んでるとか遅れてるとかいうのはあんまり意味がない。ただ、1980年代の日本てこんな感じの意識だったんだなというのはよく分かる(「外人」は良くない「外国人」と言うべきみたいな描写はあったりする)。 最終回がこんな途切れ方(コンプリート・エディションで加筆されてはいるものの)なのも逆に良くて、時代が違えばもっと違う展開がありえたかも知れないという可能性についても考えさせてくれる。<<386387388389390>>
暴挙は戦後の日本を舞台としたサバイバル格闘空手漫画です。主人公は徒手空拳で空手を武器として立ち回り戦後の日本を生き抜きます。武に生きる主人公の誠実さとその苦悩がドラマチックに描かれています。 時代背景はかなり古く、ボクシングが拳闘と呼ばれていた時代で、現代ではあまり見れないとても硬派な漫画であり、アクションシーンが物凄く派手で読んでいてスカッとします。 空手の蹴りでボクサーを倒す拳士が最高にカッコよかったです。 タイトルの「暴拳」は「冒険」とかけているのかなと思って読んだのですが、主人公の「拳士」が沖縄空手を奮い、暴れまわる物語だとは思いませんでした。