不死身のフジナミ

邪悪な武器商人が大暴れするアクションコメディ #マンバ読書会

不死身のフジナミ 押川雲太朗
toyoneko
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今度のマンバ読書会のテーマは「5巻くらいのマンガ」とのこと。 https://note.com/manba/n/n219412b5c087 そこで「不死身のフジナミ」(全6巻)を紹介します。 実は既にV林田さんがマンバ通信でガッツリ紹介してはいるのですが,もっと皆さんに読んでもらうべき作品なので改めて紹介。 本作は,「ロドリゲス藤波」という凄い名前の武器商人が大暴れするアクションコメディです。 2巻冒頭のあらすじを読むとどんな話かわかるので引用します。 「私,武器商人の藤波と申します。街が平和じゃ武器は売れませんので,情報屋の田村さんやお人好しの山下さんをけしかけて,この街をさらに物騒にしちゃいました。」 おおむねこんな話です。武器を売るために騒動を起こしまくる藤波が暴れまくります。 こいつ,邪悪で冷徹なサイコパスで良心の欠片もないのですが,なぜか魅力的で色気のある不思議なキャラクターで,次は一体何をするんだろう?と思わせてくれる,素晴らしい悪党です。 ライバルキャラの「タイガー」をはじめ,濃いキャラクターも大勢出てきますし,まぁ基本的に悪い奴しか出てこないので,その中でのドンパチはとても楽しいです。 そしてこの作品の良いところは,全6巻で綺麗に終わるところ。 そして,全巻アンリミで読めるというところ! 読んだことが無い方は是非この機会に読んでみてください

ゴールデンカムイ

一生、ナコルルに支配されるはずだった僕のアイヌ知識を更新してくれた

ゴールデンカムイ 野田サトル
名無し

僕と同世代でゲームに夢中だった人間は、少しだけアイヌ語を知っているものです。「アムベヤトロ」とか「アンヌムツベ」とか、意味は全くわからなくてもなんとなく言えてしまうのは、格闘ゲーム『サムライスピリッツ』の美少女・ナコルルのおかげなのです。このままでは一生、ナコルルに支配されるはずだった僕のアイヌ知識を更新してくれたのが『ゴールデンカムイ』です。  『ゴールデンカムイ』の舞台は日露戦争直後の北海道。主人公である杉元は、一攫千金を狙って砂金掘りをしています。戦争中、鬼神のような戦いぶりから「不死身の杉元」と呼ばれた杉元が、なぜそのようなことをしているかというと、戦死した親友の妻の病気を直すため、どうしても大金が必要になったのです。  そんな杉元に、酔っ払った男が北の大地のどこかに隠された「金塊」の話をします。そして、大金の隠し場所を示した暗号が、網走監獄から脱走した死刑囚の身体に刺青として掘られていることも…。酔が覚めた男は「しゃべりすぎた」と杉元を殺そうとします。そこで杉元はこの話が与太話ではなく真実であると確信し、謎を追うことになります。  杉元の相棒となるのがアイヌの少女アシリパ。彼女の父は「金塊」のために殺されていて、その仇を探しています。アシリパのアイヌ猟師としての知恵と知識と、杉元の不屈の精神で、彼らは北の大地を巡っていくのです  それにしても『ゴールデンカムイ』の良い所は次から次に話が展開していくところですね。3巻の時点で杉元が戦った相手は熊→熊→囚人→屯田兵→集団屯田兵→熊→ベテラン猟師…大自然の脅威から新撰組まで次々と二人に襲いかかり、それを知恵と勇気で乗り越えていくのです。  『ゴールデンカムイ』にはサスペンスとド派手なアクション、異文化の知識と、面白い要素がたくさん詰まっています。中でも料理漫画としての要素を見逃してはいけません。戦い、追い、逃げる二人はとにかくよく食べます。鹿や熊はもちろん、兎やカワウソまで、捌き方から料理法まで詳しく書かれていて、なんだかとても美味しそうなのです。  脳みそから目玉までおいしく頂くアイヌの料理に戸惑う杉元や、味噌がうんこにしか見えないと拒否するアシリパさんの異文化交流ぶりも楽しく、料理が『ゴールデンカムイ』という作品の壮大さにもつながっているのです。  厳しい自然との戦いや、骨太のサスペンス、それていて生活感があるという『ゴールデンカムイ』不思議なエンターテイメント巨編なのです。