目つき悪い子かわいい子

これは恋なのか?

目つき悪い子かわいい子 ハミタ
六文銭
六文銭

三白眼、ジト目、メカクレ、などなど目にまつわるキャラクター描写は数あれど、どれも自分は好きだったりします。 特に三白眼や、猫目とかジト目なんかは、ツボだったりします。 総じて、目つきが悪いキャラが好きなんですが、本作はマンマ自分の性癖を刺激して最高でした。 そして、そういう目つきの悪いキャラって、基本、性格が良くて。キツくみえるけど実は優しかったりするもんじゃないですか? でも、本作は、意外と性格もキツいというから、まずココが面白い。 最初は、そのままヤンキー路線にいくかと思ったら、実はタダのアホの子だったようで、一周回って新しい感じになってます。 強気にこられても、ちょっと注意すると 「え?そうなの?」 みたいな感じで、誰もが知っていることをただ知らなかっただけ、みたいなアホの子な感じ。嫌いじゃないです。 性格がキツくなる背景なども、少しずつにじませてきて、結局、目つき悪くても良い子へと戻るかな?という感じで進んでいきます。 主人公もストレートに告白をするなど、こっちも大概変わっていて面白い。 本当に好きなのか?不明な感じが、恋なのか何なのか気になります。 なんにせよ、目にまつわる新しいキャラクターとして、私の中で刻まれるのでした。 この関係も見逃せません。

チンギス・ハーン

横山三国志のチンギスハーン版です。

チンギス・ハーン 横山光輝
酒チャビン
酒チャビン

チンギスハーンといえば、北海道名物の料理名にもなってるほど日本ではお馴染みなので、知らない人はいないと思いますが、かの有名はモンゴル帝国を築いた方です。 個人的に空前絶後のチンギスハーンブームがきているため、こちらも読みました。中学生の頃、近所の本屋にハードカバー版が置いてあって、当時も少しチンギスに傾倒していた私は1巻を購入したのですが、その後2巻がその本屋に入荷されることはなく(売れ行きが微妙だったのでしょうか・・・)、続きが気になっていたという因縁があります。 今はそういう点では、24時間いつでも欲しくなった瞬間にポチりできるので、いい時代になったものですね。 さて、マンガの感想ですが、横山三国志の読み味と同じく、すごくシンプルに、いい意味で尖ったところなく、ストーリーを紡いでいただけるので、大きな筋のところがスッと入ってきました。 欲を申せば、三国志や水滸伝などのように、超主要人物以外にも個性的なキャラとかが出てきて欲しかったのですが、それは横山先生の取材の怠慢というよりは、そもそもモンゴルには紙とがなかったようなので、三国志とかと違って記録や資料に乏しいことが原因なのかもしれません。 今読んでいる北方謙三のチンギス紀は、逆に誰が誰だかわからなくなるほどキャラが出てきますが、多分に創作の部分もあるとのことです。

中間管理録トネガワ

昨今のスピンオフ祭の鏑矢!

中間管理録トネガワ 福本伸行 萩原天晴 橋本智広 三好智樹
酒チャビン
酒チャビン

昨今、人気作品を面白おかしくパロったスピンオフが雨後の筍のごとく刊行されてますが、その鏑矢となった作品です! スピンオフ自体はもっと前からあったのかもしれませんが、ここまでブームを起こしたきっかけとなったのはこちらの作品の影響かと思います! 他のスピンオフ作品と比べても、このトネガワとハンチョウは完成度が段違いで、圧倒的な面白さがあると思います! 絵の完成度も高いし、キャラクターも崩れてないし、元ネタへの深い敬意がありながらもイジって、なおかつチョぴっと世間もイジる。とにかくセンスが抜群です! 特にすごいのが、スピンオフという作品形式でありながら、高いオリジナリティを感じさせる点です!切り口がよく、それ単体として話が抜群に面白いので、本作品を知らなくても十分に楽しめる完成度だと思います。 他のスピンオフ作品はギャグ部分がありきたりな切り口だったり、「なんでやねん!」「〇〇なんか〜〜い!!」みたいな、なんの捻りも感じられないツッコミで勢いで乗り切ろうという部分が散見されがちですが、トネガワはそうではないきちんとした笑いを組み立てられているところが、本当にすごいと思います。終わってしまって残念!

火の鳥

「未来編」の感想です!!!

火の鳥 手塚治虫
酒チャビン
酒チャビン

火の鳥を時系列に読んでいくシリーズも、この未来編でラストです!!刊行順でいうと、2作目なのですが、その後の編につながる伏線の多いこと!!! 正直、刊行順に読んでいるときは、サラッと流してしまっていたのですが、かなり後半の編にリンクする要素が盛りだくさんで、この時点から連載が20年以上にわたるこの壮大な物語を構想していたのでしょうか・・・??だとするとまじマンガの神なんですけど・・・ 本当に自分がマンガ家でなくてよかったと心底思える瞬間です。 時代設定は3404年〜。人類は滅亡の危機に瀕しています。そこから超壮大な物語が展開され、最終的には、刊行順で前作であり、時系列的に一番最初である「黎明編」の場面に接続されます。。。 このラストの展開は、時系列順に読んでいた時も、一定の大円団感があり、充実した読後感を感じたものですが、時系列順でこの編をラストに読むと、さらにさらにさらに大・大・大・大円団感が感じられます!!!もう結構10回近くは再読してますが、いまだに新しい感動を味わえるとは・・・ 時系列順に読んでみようと、ひょんなことから思いましたが、やってみて本当に良かったと思えるので、火の鳥をまだ読んでいないと言う方はもちろん、読んだことあるよっていうお友達も、ぜひやってみてください! なお他の編との繋がりですが、ムーピーやロビタや猿田博士が登場します。ムーピーは過去に登場した特定の個体との繋がりはないように思いますが、ロビタと猿田博士は望郷編ラストで出てきた個体と同一と思われます。 ロビタが優しいんだよな・・・

火の鳥

「復活編」の感想です!

火の鳥 手塚治虫
酒チャビン
酒チャビン

火の鳥の中でトップクラスに好きな話です!!!火の鳥って、好きな編がそれこそ十人十色で、かなり票が割れる傾向にあると思うのですが、それだけ全てのエピソードが粒ぞろいということではないかと思います。 復活編はいくつかの時代を行き来しながらエピソードが進行します。 火の鳥はシリーズ全体からしてそういう構成をとっているのですが、復活編は一つの編の中でそれをしています。 2482年→2483年→3030年→2484年→3009年→2484年→2917年→3344年 主人公がある事故をきっかけに体の6割ほどを人工物に入れ替えられてしまうのですが、それにより、人間が無機物に、ロボットが人間に見えるようになってしまいます。 ・身体の60パーセント人工物に変えられた人間である主人公 ・主人公には人間に見えるロボット(主人公にやさしい) ・主人公には無機物に見える人間(主人公を殺そうとする) ・人間らしさとは人間と形が似ていることだと言い、人間に似せて作られたアンドロイドと愛し合う人間 ・人間とはかけ離れた容姿だが自分はかつて人間であったと信じるこけし型ロボット などが登場し、これまでの編でも何回か出てきた「何が人間を人間たらしめるのか」というテーマを考えさせられます。 他の編との繋がりですが、望郷編でちょろっと登場したチヒロがメインキャラの一人として登場します。あとラストで猿田博士が登場し、ロビタも未来編で登場します!

火の鳥

「望郷編」の感想です!

火の鳥 手塚治虫
酒チャビン
酒チャビン

スケールが壮大すぎる物語です。時代設定は明言されていませんが、増え過ぎた人類が宇宙の他の星に移住する時代となっています。 「望郷」というのは、宇宙移民した主要登場人物「ロミ」(女性)が地球に帰りたくなるストーリーからきています。 ロミは恋人と一緒にエデン17という無人惑星に移住してきますが、その直後に恋人が死んでしまいます。当時すでに二人の子供を孕っており、その子供がしばらくして生まれますが、このままではすぐに絶滅してしまうので、その子供との間に子孫を儲けようとします。 あまり詳しくかくとネタバレになってしまうのですが、すったもんだあった結果、星は一定程度の繁栄をみます。そこまでの話も十分充実感ある面白さなのですが、その後ロミが地球へ帰るべく旅をする話が続くのですが、こちらはサン=テグジュペリの星の王子さまオマージュな感じで進行します。これだけ盛りだくさんで単行本2冊程度なので、密度が濃過ぎます!! 自らの子供と子孫を残すとかもそうですが、星の王子さまパートでの各種不条理エピソードや、異星人の性質(不定形生物や雌雄単体)など、常識からはかなり外れた出来事が普通に起きます。そしてそれらは必ずしもネガティブな書き方はされてない一方で、今や我々の常識となっている酒・ギャンブル・麻薬・兵器などが生まれたことによってエデン17が滅亡に向かい始めると、結構考えさせられる内容でした。 他の編との繋がりですが、牧村飛行士(宇宙編に登場)とチヒロ(復活編に登場)が出てきます。刊行順だと宇宙編→復活編→望郷編なので、サービス出演的な感じでしょうか。