MOGUMOGU食べ歩きくま

ナガノはちいかわ作家じゃない。

MOGUMOGU食べ歩きくま ナガノ
アフリカ象とインド象
アフリカ象とインド象

ナガノ氏のすごいところは、そのバランス感覚だと思う。 「ちいかわ」で言うなら、 万人受けするかわいいキャラクターと、 少し毒のある世界観の両立。 「自分ツッコミくま」LINEスタンプで言うなら、 気軽な使いやすさと、 我を出しすぎないちょうどいい面白さ。 需要と表現の間を完璧にとらえる客観性。 そのバランス感覚がこそが氏の突出した部分である。 そしてそんなバランス感覚は本書「MOGUMOGU食べ歩きくま」でも、 遺憾なく発揮されている。 本文で語られることはあくまで作者視点の体験である。 エッセイである以上、主人公は作者自身であり、 そこで描かれる思想はストーリー漫画よりも直接的に読者に伝わり、 大なり小なり読者の思想との相違がある。 それがエッセイ漫画のクセであり味であるはずなのだが、 本作ではそういった作者の「クセ」にさえ共感してしまう。 高級店で食事をした時に隣の人を見てマナーを真似したり、 コース料理をアトラクションの楽しさに例えたり。 誰もが感じたことがあっても言葉にはしていなかった 「ちょうどいいあるある」が作中の節々でビシビシと投げられる。 それらはあくまで淡々と、しかし感情豊かに。 この落ち着いたテンポの良さに、読んでいて安らぎを感じる。 違和感なく自然に読めるのに、 「気持ちのいい引っ掛かり」は「作品のクセ」と理解した上で、 小気味よく用意されている。 究極の自己プロデュース力を持った作家、それがナガノ。 我々は常に彼の手のひらで転がされているのである。

対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~

「対ありでした」6巻について"語"るゼ…!

対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~ 江島絵理
toyoneko
toyoneko

「対ありでした」は、フラッパー連載中の「お嬢様が格闘ゲームをする」系漫画です 「ゲーミングお嬢様」と同種の漫画ですね! ほぼ同時期に連載開始した両作品ですが、「ゲーミングお嬢様」はコメディ色が強く、「対ありでした」は百合要素が強い、という感じで、それぞれ特色を持っており、読者層も異なるものだったように思います 当時、私は、「ゲーミングお嬢様」の方が好みでした …と思っていたのですが、あるとき、ふとフラッパーを読んでいると、 「対ありでした」の30話が目に飛び込んできました そこには、私の知っている「対ありでした」とは、異なる漫画がありました 30話のストーリーというのは、主人公の「白百合さま」が格ゲーの大会に出て、怒り顔の幼女と熱いバトルを繰り広げる、というものなのですが、何というかものすごーく熱血!な漫画と化していました お前…百合漫画じゃなかったのか…? 30話にあらわれるセリフを抜粋します 「"ここが強い"と明確に言えるってことは」「"対策できる"ってことやろ」 「"ようわからんけど強い"は」「"究極"…!」 「"獣"」「"獣"を"解放"しやがった」 「闘争本能という名の獣」 「まるで"世界中"に」「"響"きそーな台パンじゃん?」 「馴れ合ってる奴らなんかに負けるわけない」 「というような考えは一旦」「捨てる」「お前を認める」 「お前に勝つために」「お前を認める」 「あと少し」「もてば」「いい…」 「私のすべてをお前にぶつける」 「パナしたァーーーッッ」 なお、添付画像は「"獣"を"解放"しやがった」のシーン これを見てもらえば分かるように、文法的には完全にバトル漫画なんですよね 又は熱血スポーツ漫画。スラムダンクとか灼熱カバディに近い しかも、ものすごくクオリティが高い そして、「対ありでした」の6巻は、 1巻丸ごと、「白百合さまVS幼女(通称「メスガキさん)」のバトルなのです! 戦闘シーンはカッコいいし、 心情描写はド派手だし、 セリフ回しはキマってるし、 ギャラリーが解説して大盛り上がりするし、 何言ってるのかよく分からん格ゲー用語もミステリアスでワクワクするし、 全体的に演出がハマりまくっていて、最高です 「なんだかよく分からないけどとにかくカッコいい」の連続! あまりに良すぎて全巻揃えましたが、個人的には6巻がとにかく良すぎます いや、別に、何か特殊なことをやっているわけでは無いんですよ バトル漫画としてみた場合、わりと、「お約束」の積み重ねのようにも思える それなのに、こんなにも面白く読めるのは作者の力量としか言えないところです ということで強くおススメです いきなり6巻から読んでもいいと思います なお、7巻以降も、ちょっと先が読めないストーリが続いており、そちらもおススメです なお、この格ゲーの大会、どう見ても所十三漫画の住民が登場してるのですが(しかもチョイ役ではなく重要キャラ)、なぜか誰もツッコまないんですよね… 画像はコメント欄に添付します