居酒屋ぼったくり

ちょっとだけ元気を取り戻す場所

居酒屋ぼったくり しわすだ 秋川滝美
サミアド
サミアド

物騒な店名の居酒屋「ぼったくり」で女主人が皆を笑顔にする漫画です。 居酒屋ですが「ちぃちゃんのおしながき」の小料理屋に近いです。主人公が丁寧に作る料理は美味しそう。客が喜ぶ姿にほっこりします。 店名に反して値段は「店を潰す気か!?」と叱られるほど良心的。メニューは豊富ですが他にもリクエストがあれば何でも作ります。「深夜食堂」かな? 実在の色んなお酒も登場して面白いですが、メインは常連さん達との楽しいかけあいと、その悩みに寄り添う人情ドラマ! 「深夜食堂」かな? ※絵や雰囲気、客層がかなり違うので、実際読むと深夜食堂とは印象が違います。 ぼったくりに集まる客は経歴も性格もバラバラですが良い人ばかりで、客同士の交流や そこからヒントを得た主人公によって問題が解決していきます。 毎回ほぼハッピーエンドなのは深夜食堂より「おせん」に近いと思います。 原作は小説。 関連売上は100万部を超え ドラマ化もしました。 小説の絵師さんが漫画も描いているので原作読者にも違和感が少なく、原作未読でも漫画だけで充分楽しめる大満足の仕上がり。コミカライズ大当りだと思います。 主人公の穏やかな微笑みに癒される良い漫画です。

ヘルドッグス 地獄の犬たち

緊張感がスゴいヤクザ潜入マンガ

ヘルドッグス 地獄の犬たち イイヅカケイタ 深町秋生
名無し

最近の漫画、ヤクザをポップに描き過ぎでは?みたいな問題提起が起こっていたので「いや、ヘルドッグスがあるぞ!」と声を上げたくてクチコミ書きます。 原作はヤクザを描かせたら間違い無しの深町秋生先生。反社と暴力の描写にかけては個人的に絶大な信頼を置いている小説家です。イイヅカ先生の絵も半端なくリアルでスリリングな作中の雰囲気にマッチしていて最高!(時折ふっと気を抜ける表現があるのも好き) ストーリー自体は王道の潜入捜査官物ですが、とにかくヤクザや警察について提示される情報のディティールが濃くて、重みのある作品になっています。 『ヘルドッグス』の作中に出てくる暴力団設定は他の深町バースにも接続しているので、気になった人は「アウトバーン」から始まる『組織犯罪対策課八神瑛子』シリーズや『ドッグ・メーカー』『バッド・カンパニー』シリーズなんかも読んでみるのもおすすめです。華岡組や琢真会の事情など、本作の背景がより深く理解できると思います。他の作品もコミカライズしてほしいな…。 とにかく骨太なヤクザ物語に触れたければ自分の中では今はこれ!という感じです。

おとりよせしまっし!

re;東京で楽しむ北陸ごはん百合! #1巻応援

おとりよせしまっし! ちさこ
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

石川出身のアパレルデザイナー・加賀ひまり(28)は、このご時世の例に漏れず目下リモートワーク中。そんな彼女の楽しみは、お取り寄せグルメを探して賞味する事。 お取り寄せするのは、主に故郷石川、そして北陸の味。主食もお酒もおつまみも、多様な北陸グルメは美味しそうだったり味の予想がつかなかったり。 そんなお取り寄せグルメは、時に他の女性と共に食される。フェミニンで明るいひまりは、会社の後輩女子や隣人の女性、さらには宅配のお姉さんまで虜にする、なかなかの人たらし。ふわっと柔らかいひまりの笑顔と優しさに、こちらもドキッとしてしまう。ひまりと女性達の関係を追いたい、百合漫画として最高の魅力に溢れた作品なのです。 ……ところで。 主人公の名前と「北陸」と聞いて、すぐにピンとくる方もおられるでしょう。 そう、この加賀ひまりさん、同じちさこ先生の『北陸とらいあんぐる』の主人公でもあります。 『北陸とらいあんぐる』では高校生だった彼女。ちょっと雰囲気違いますよね?大人になるとこうなるんだ……というのは興味深い。そして本作でお酒を楽しむ彼女を見ると、時の流れを感じるのと北陸グルメの紹介の幅が広がるのと、両方の面白みがある。そして『北陸』の登場人物も……。 興味のある方は『北陸とらいあんぐる』も是非!

デガウザー

グロいけれどスケールや面白さは無限大

デガウザー 渡辺潤
名無し

海の上の大型船という逃げ場のない場所での パニックサスペンスかと思ったら、そんなもんじゃなかった。 まさに世界規模「以上」の壮大な物語だった。 正体不明のうえに巨大組織らしき敵になぜか命を狙われる。 状況が理解できずに翻弄されながら逃げ惑う主人公。 なぜ自分が狙われる?どうすれば助かる? なんでこんなに人が死ぬ?こんな死に方をする? 敵の正体は?狙いは?どこが安全で何が危険なんだ? 誰が味方で誰が敵なんだ? 誰を助けるべきなんだ?誰を殺さないといけないんだ? 勿論、読む人により好き嫌いが判れる物語だと思う。 嫌われるだろう部分は、かなりグロイ物語だということ。 残酷で凄惨な大量殺戮シーンが山盛り。 SFチックな話が絡んでくるのも好みじゃない人もいるだろう。 だがそれらの要素はあるものの、主人公たちが ちっぽけな存在でありながら巨大組織と戦っていくことには かなり説得力というか整合性があった。 戦う理由も、死にたくないからだけではなくなっていったし。 とかくこのての話は非力な主人公が巨大組織と 互角以上に戦っていくことに無理が生じたりするものだ。 大量殺人が行われたなら普通は世間でも大騒ぎになって、 物語の進行に非現実的なところがでてくるものだ。 けれど渡辺潤先生って、その辺にちゃんと理由付けをして リアリティを残しながら描くのが上手いですね。 好みは判れると思いますが、私は面白かったです。