あすにひとふで!

王道を詰め込んだ青春書道部ストーリー #1巻応援

あすにひとふで! 矢神うた 葛原昏
兎来栄寿
兎来栄寿

近年「甲州和紙」として新たにブランド化されてきている、山梨県市川三郷町とその隣の身延町の伝統産業である市川和紙と西嶋和紙。身延といえば『ゆるキャン△』で非常に有名になった町ですね。 近い将来この『あすにひとふで!』の力で市川三郷町も有名になるかもしれない、いえ、なって欲しい! と感じる書道部マンガです。実在の大門碑林公園なども登場(コスプレ好きの方にはお馴染みの場所かもしれません)し、『ゆるキャン△』との聖地巡礼ハシゴも楽しそうです。 本作はとにかく、王道で正統派。少しだけ特徴的なのは、主人公がアメリカ人の女の子サラ・エイミスであるということでしょうか。 ワインの仕事を営む父親が山梨県担当になったことでアメリカから日本に転校してきたサラの原体験は、書道家のヒナギクこと明日見雛菊の書に出逢って一瞬で恋に落ちたこと。 しかし、サラが意気揚々と入ろうとした書道部は廃部寸前。イケメンで女子にモテモテな部長の上浦ここのと、ここのにそそのかされた書道初心者である副部長の大門寺ふみの2年生のふたりのみ。部員は少なくとも、憧れの書の道を真っ直ぐな熱意で進んでいく物語となっています。 書道部マンガといえば、金字塔的な存在として『 とめはねっ! 鈴里高校書道部』がありますが、本作の清由(すみよし)高校書道部では書道パフォーマンスが活動の中心となっていることが特徴です。身長より大きく重い筆を一生懸命に振り回すサラの姿は、応援したくなります。 「書道なんか大嫌い」 と言い放つ訳あり顔なクラスメイトの牡丹ちゃんなど、王道オブ王道な構成ですがそれがいい。 既に、私の頭の中ではアニメーションとして声と色と動きが付いてサラたちが動いている様子が展開されています。ぜひ、このまま続けてアニメ化して人気を博して欲しいです。 書道に興味がある方、美少女部活ものが好きな方、山梨県民の方にお薦めです。

ザコ姫さまは生きのびたい!~処刑の危機は、姫プレイで乗り切ります~

姫プレイで逃げ切ります!

ザコ姫さまは生きのびたい!~処刑の危機は、姫プレイで乗り切ります~ おみおみ 木場健介 焦田シューマイ
ゆゆゆ
ゆゆゆ

いや、あなたお姫さんだから、姫プレイっていうか、姫だよ!姫としての振る舞いだよ!! と思わず作中にツッコミをしてしまった。 なろうテイストの副題&転生系なので少し忌避したものの、「やり直し姫は夫と恋したい」と似たタイトルに惹かれて読んだら、絵もよし話の展開もよし、楽しめる漫画だった。 姫なのに姫プを思いつくのを始めとして、主人公はものすごく真面目にあれこれするものの、元の女子高生による影響かちょっとズレている。 そこがまた、おもしろい。 あらすじは以下のような内容。 最大手ガチ攻略ギルドのギルマスを務めるほど廃ゲーマーの女子高生が、廃になっていたゲームの世界のお姫様へ転生! 辛くも生まれ変わりと気づいたのは、処刑される3年前のこと。 現在の状態はレベル1のザコお姫様。 そしてお姫様といっても、蝶よ花よとされた姫でなく、蛮族姫と蔑まれ嫌われ、周囲の人も近寄らない第三皇女。 嫌われすぎて毒を飲まされても負けない! なんとか生き残るため、シナリオをねじ伏せるくらい強くなろうと決意し、思いついた方法が「姫プレイ」?! あらすじ、ここまで。 転生モノだけど、なろう等Web公開作品ではなく、焦田シューマイさんによる原作書き下ろしとのこと。 おみおみさんによる作画がとてもきれいで、キャラクターもかわいい&かっこいい。 主人公セスリアの可憐でか弱そうな風貌も、第四皇女マリアンヌの太眉勝ち気な雰囲気も思わず見惚れてしまう美しさ。 さらに、構成も入っているせいか、とても読みやすい。 手っ取り早く展開を知りたいくらい気になるのだけど、原作は公開されていないので、続きを待つしかない。 追記 タイトル間違えた。副題は逃げ切るじゃなくて、乗り切るだった

Mint Love ミントラブ ‐薄荷之夏‐

中国発のピュア少女マンガ #1巻応援

Mint Love ミントラブ ‐薄荷之夏‐ 火禾
兎来栄寿
兎来栄寿

中国では2021年にドラマとして放映された、『薄荷之夏』のコミック版です。全編フルカラーで右開きとなっています。 タイトルや表紙からも、淡くてキラキラしていて爽やかな印象が伝わってくるかと思います。実際に中を読んでみると少し想像と違った要素も混じりながらも、概ねファーストインプレッション通りの物語が展開されていきます。 空気感としては90年代〜00年代前半頃の少女マンガを思い出すようです。主人公・童夕(トンシー)と最初は険悪な感じで関係が始まるツンデレイケメン・林南一(リンナンイー)の存在がそうさせるのでしょうか。あの頃私たちは羽山秋人や道明寺司といったツンデレを日常的に浴びながら育ってきましたからね。 あるいは絵柄は現代風なのに「燃えろ小宇宙!」などの古き良きネタが飛び出すところがそう感じさせるのかもしれません。中国でも星矢は大人気と聞き及んでいますが、その影響が令和になってもこういうところに出てくるのだなと。 ともあれ、このラブコメに漂う懐かしい香りを嗅ぎ分けてしまうのはオールドなマンガファンだけで、今の子が読んだら新鮮に純粋な青春ラブストーリーとして楽しめるのかもしれないとも思います。10代の子がこの作品を読んだ際の感想など逆に聞いてみたいですね。 海外マンガに興味がある方、キュンキュンするラブコメを読みたい方にお薦めです。