あらすじたび重なる灰の心理攻撃を、機知と勇気で切り抜けた少年たちはついに砦を完成させる。力をあわせることで彼らの中に秩序が生まれ、笑顔が戻った。新たな団結と微かな希望も生まれてきた。だが灰の攻撃は執拗だった。夜を徹して繰り広げられる「魔宴(フーガ)」の前に追いつめられた少年たちは、人間として生きていることの証明に、灰と戦う決意をする。そんなとき囁き子の口から灰の正体が明かされた。
東京の空に謎の発光体(=UFO)が出現。これを目撃した11人の少年達はその発行体を追い、高陣山へ向かう…。こんなオーソドックスな導入部にも関わらず、続く話の盛り上げ方の上手さにびっくりしてしまいました。ピクニック気分の探索から場面は一転、どしゃぶりの雨の下に笑い声とともに佇む美少女が…、と、きたらもうこの先が気になって仕方がない。うまく書けなくてもどかしいですが、対比のさせ方と波紋の投げかけ方が絶妙で、ドキドキ感が途切れないんですね。少年達の中にひとりだけ謎の美少女を入れ、冷静沈着なリーダーにはライバルの野性味あふれる少年を絡ませる。そしてそのリーダーにも本能的な面があることを描写。敵は神のようでもあり悪魔のようでもあり、精神的に少年達を追い詰めていく。これらのエピソードを積み重ねることにより、キャラの特徴はどんどん際立ち、サスペンス要素はますます深まっていきます。さすがに名作といわれることはありますね。これを読んだら昨今のパニックSF漫画って、亜流にしか見えなくなってしまうなあ。