あらすじ東京の郊外の夜空に忽然と現れたラボック光。それを偶然目撃した11人の少年は、高野山にUFOの捜索に向かう。だが仲間の一人が行方不明となって死体で発見される。その傍らには「囁き子」と名乗る不思議な少女が佇んでいた。テレパシーで交信する彼女はどうやら地球外から来たらしいのだが…。「月の出とともに凶兆が起きる」との彼女の予言どおり、夜になって、信じられない出来事が起こり始めた。
東京の空に謎の発光体(=UFO)が出現。これを目撃した11人の少年達はその発行体を追い、高陣山へ向かう…。こんなオーソドックスな導入部にも関わらず、続く話の盛り上げ方の上手さにびっくりしてしまいました。ピクニック気分の探索から場面は一転、どしゃぶりの雨の下に笑い声とともに佇む美少女が…、と、きたらもうこの先が気になって仕方がない。うまく書けなくてもどかしいですが、対比のさせ方と波紋の投げかけ方が絶妙で、ドキドキ感が途切れないんですね。少年達の中にひとりだけ謎の美少女を入れ、冷静沈着なリーダーにはライバルの野性味あふれる少年を絡ませる。そしてそのリーダーにも本能的な面があることを描写。敵は神のようでもあり悪魔のようでもあり、精神的に少年達を追い詰めていく。これらのエピソードを積み重ねることにより、キャラの特徴はどんどん際立ち、サスペンス要素はますます深まっていきます。さすがに名作といわれることはありますね。これを読んだら昨今のパニックSF漫画って、亜流にしか見えなくなってしまうなあ。