あらすじ恋人や友人や肉親までもが吸血鬼と化した町で少年たちは言いようのない孤独感を味わっていた。無人の町から食料を集め教会に立てこもった11人は、生き延びるためのあらゆる可能性を試みる。夜の闇の背後から、嫉妬と欲望を刺激して彼らの分断を謀ろうとする侵略者・灰(アッシュ)…。まずは身を守る安全な場所を確保することが先決だ。少年たちは砦を築く尖石原野を捜し始めた。
東京の空に謎の発光体(=UFO)が出現。これを目撃した11人の少年達はその発行体を追い、高陣山へ向かう…。こんなオーソドックスな導入部にも関わらず、続く話の盛り上げ方の上手さにびっくりしてしまいました。ピクニック気分の探索から場面は一転、どしゃぶりの雨の下に笑い声とともに佇む美少女が…、と、きたらもうこの先が気になって仕方がない。うまく書けなくてもどかしいですが、対比のさせ方と波紋の投げかけ方が絶妙で、ドキドキ感が途切れないんですね。少年達の中にひとりだけ謎の美少女を入れ、冷静沈着なリーダーにはライバルの野性味あふれる少年を絡ませる。そしてそのリーダーにも本能的な面があることを描写。敵は神のようでもあり悪魔のようでもあり、精神的に少年達を追い詰めていく。これらのエピソードを積み重ねることにより、キャラの特徴はどんどん際立ち、サスペンス要素はますます深まっていきます。さすがに名作といわれることはありますね。これを読んだら昨今のパニックSF漫画って、亜流にしか見えなくなってしまうなあ。