あらすじおいどんに優しかったスケ番の京子が死んだ。集団乱闘の末の事故だった。こんな辛い形で別れが訪れるなんて!形見となってしまった京子のカサを眺めつつ、おいどんは大四畳半に籠り哀しみの涙を流す。別れと同じ数だけ出逢いもある。下宿館も新たな入居者を迎えたが、今までの同居人とは一寸違った人ばかり。コワ~イ緒方に男勝りの林さん。そして薬屋の娘・岡田螢子。おいどんに劣らぬ個性的な仲間の登場で、大四畳半は大賑わいだ!!
昔、といっても1990年代あたりまでは、おいどんみたいな学生ってけっこういたものです。大学時代の私の周りにもそんな人たちが集まっていました。無芸大食人畜無害。キノコが生えそうな湿度の高い部屋に住んでいたり、人がよくてすぐだまされたり、曲がったことが嫌いで馬鹿を見たり…。まったく同じではないですが、みんなおいどんの一部をもっていたんですよ。だからかもしれません。大学生のとき、初めて最終巻まで読んだあとは喪失感でいっぱいになりました。おいどんのことをもう他人とは思えなくなっていたんですね。劇中の下宿館のバーサンみたいにしんみりしてしまいました。今ではあのラストについてはこう思っています。おいどんも私の友人たちのように、進むべき道をみつけたからあんな行動に出たのだ、と。きっとどこかであのサルマタの怪人は元気に暮らしているのでしょう。でもやっぱり、何度読んでも古い写真を見返しているようで、少し寂しくなるのは変わらないんですけどね。