あらすじ

空海と最澄の関係が徐々に崩れ始める… その豊富な知識が大きな魅力となり朝廷内にもファンを増やしていく空海。彼の魅力は最澄の「信頼」していた弟子・泰範さえも魅了してしまう。一方九州、東北へと旅をする最澄はより深く天台法華の世界に入っていく。そんな彼を東北で待っていたのは法相宗の僧・徳一が作り上げた完璧な「しあわせ」の帝国だった… 揺らぐか!? 最澄…
阿・吽 1巻

日本仏教の要である、比叡山延暦寺の開祖である最澄、弘法大師の名で日本人なら誰もが聞いたことがある空海。レオナルド・ダ・ヴィンチにも匹敵するといわれる日本史上、比類ない天才である、最澄と空海がまさに華麗に、繊細に、そして豪快に描かれる人間ドラマです! 平安の世、当時のニッポンを変えた! といっても過言でないこのふたりは、その青年期は人も羨むエリートコースを歩んでいたが………… 本作『阿・吽』は、『サプリ』『&―アンド―』で女性の心情を美麗な筆致で、細やかに描いてきた著者の新境地です!

阿・吽 2巻

山籠りを続ける最澄。正しさを説く彼を慕う者たちが次々と集まるが、ある日、その正しさを揺がす事件が起こります。一方、都ではサプライズ人事で王になるべく生まれていない、桓武が帝になります。不安が蔓延してゆく日本の中枢で、人々に求められたものは果たして何か―― 空海、最澄ふたりの天才を描く話題作、待望の第2集の登場です! 世界を変える男たちの物語がまた一歩、動き始めます。

阿・吽 3巻

空海がまだ空海となる前…… 荒行を繰り返す真魚(まお・空海の幼名)に危うさをみた師・勤操(ごんぞう)は真魚を成長させるため、虚空蔵求聞持法(こくうぞうぐもんじほう)を教える。それは、ただ経を100万回唱えるという単純で、かつ想像を絶するほど厳しい修行だった…… 「生きては戻れない」やもしれぬ修行の先に、真魚は何をつかむのか!? 真魚が「空海」となる青年時代を描く、第3集!!

阿・吽 4巻

仏教の真髄を求め、最澄と空海は奇しくも同じ地・唐を目指すことに。だが、遣唐使となるには、それぞれに高い壁が立ちはだかり… 一方、桓武天皇とその息子・安殿親王との間に、決定的な確執が生まれ… 各人の思惑が絡み合い、最澄と空海、二人の天才の運命を変えていく衝撃の第4集!!

阿・吽 5巻

遣唐使に選ばれ、世の注目を集める最澄。その選に漏れ、更なる荒行に邁進する空海。仏教史に名を残す二人の天才が遂に運命の邂逅を果たす… 果たして彼らの思いは海を越えるか!? 物語の舞台はいよいよ中国へ! 激動の第5集!

阿・吽(6)

遣唐使として遂に唐に渡った空海と最澄。天台で研さんを積む最澄と、長安で様々な出会いを繰り返す空海。日本仏教の2大巨頭が唐の地でそれぞれつかんだものとは!? そして、二人に重大な岐路が訪れ―― 運命と選択の第6集!!

阿・吽(7)

夢枕獏、絶賛! 唐に渡った空海と最澄は!? 弘法大師の名で日本人誰もが知る男、空海。比叡山延暦寺の開祖、最澄。遣唐使として唐に渡った二人の人生は、岐路を迎える! 遣唐使の任を終えて、帰国した最澄を待っていたのは… 策略入り乱れる朝廷! 一方、長安に残り、密教の深奥部へ突き進む空海もまた巨大な存在にぶち当たる… 激動の展開を見せる“刮目の第7集”登場!!

阿・吽(8)

空海と最澄! 激動の時代に立ち向かう二人 既刊重版続々! 唐で留学生として学ぶ空海は期間20年の決まりを破って、日本帰国を目指す! 一方、ひと足先に帰国した最澄は桓武天皇の崩御による政変に巻き込まれていく… 8世紀の平安期、二人の天才・空海と最澄をおかざき真里が華麗かつ剛胆な筆致で描き出す圧倒的歴史大河ロマン第8集!

阿・吽(9)

炎の男・坂上田村麻呂が立ち上がる!! 桓武帝崩御後、暗雲立ち込める朝廷。そして、平城天皇が退位、嵯峨天皇の御世となる。そんな中、空海は嵯峨帝と歴史的な出会いを果たす。一方、最澄の状況は、ますます厳しいものに…!? 朝廷内を揺るがす“平城上皇の変”(薬子の変)で坂上田村麻呂が見出した「正義」とは――――!? そして、空海と最澄、二人の天才が刻み付ける生き様とは!? 絶望と希望を抉り出す、第9集!!

阿・吽(10)

最澄と空海が、再び出逢う…!! 東大寺別当となり南都の間でも、その力が認められる空海。後継者にと目をかけていた、泰範が比叡山へと降りてしまい、失意のどん底に落ちる最澄。しかし、二人の心はより強く惹かれ合い、最澄は空海の待つ乙訓寺へ…

阿・吽(11)

理想と現実の狭間で巨人達がぶつかり合う! 強烈に惹かれ合う、最澄と空海… 密教の灌頂式を受けるため 空海の元を訪れた最澄は言う「自分を弟子にしてほしい」と… 一方、坂上田村麻呂の死の裏には藤原冬嗣の影がちらつく…

阿・吽(12)

空海と最澄の前に、権力者が君臨する!! 平安、嵯峨天皇の御代。最澄は空海の密教を貪欲に学ぼうとするが… 法の真実を追求する二人に、権力者・藤原冬嗣が絡み、状況は思わぬ方向に…

阿・吽(13)

空海と最澄の関係が徐々に崩れ始める… その豊富な知識が大きな魅力となり朝廷内にもファンを増やしていく空海。彼の魅力は最澄の「信頼」していた弟子・泰範さえも魅了してしまう。一方九州、東北へと旅をする最澄はより深く天台法華の世界に入っていく。そんな彼を東北で待っていたのは法相宗の僧・徳一が作り上げた完璧な「しあわせ」の帝国だった… 揺らぐか!? 最澄…

阿・吽 14巻

二人の天才の旅路、奇跡のクライマックス! その才能を開花させ真言密教を広めていく空海。天台法華を苛烈に求めるあまり孤立さえ恐れない最澄。互いに強く求めながら違う道を進むふたりだがいよいよ「最後」の時が…

阿・吽

『火の鳥』の鳳凰編を継ぐもの也

阿・吽 おかざき真里 阿吽社
影絵が趣味
影絵が趣味

おかざき真里さんの『阿・吽』を読んで驚いた。冒頭からいきなり『火の鳥』の鳳凰編で観音像のモデルになったあのブチが、さながら火の鳥のように時空を超えて、いままさに読みはじめた漫画のコマに現れたからだ。 鳳凰編の狂言回しとして物語を運んでいたブチは、最後に茜丸の骨を持って我王のもとを訪れている。そして、意味深げな未来を示唆するモノローグとともに鳳凰編は幕を閉じる。そう、確かに鳳凰編は幕を閉じた。しかし、私たちは幸か不幸か、火の鳥が"永遠のいのち"として万物を流転しているのを知ってしまっている。 茜丸の生き写しのような最澄が『阿・吽』に現れたとき、ブチもまたそこに現れずにはいられなかった。すぐに野盗に殺されてしまうブチの生き写しは、しかし、姿を変えながら幾たびも最澄のもとを訪れている。あるいは、もしかすると『阿・吽』とは、茜丸を追うブチの愛の物語なのかもしれない。 とすれば、ブチは最後には、我王の生き写しのような空海のもとへ落ち着くのだろうか。史実ではやはり、最澄が志半ばで先に息絶え、空海は持ち前の野生の力で教理をさらに深めてゆく。そして、ブチはまた現世を我王のもとでやり過ごし、来世で茜丸を追ってゆく、そんな途方もない未来を想像せずにはいられない。