年齢や性別を越えて感性で通じ合える孤独な2人の友情物語『風街のふたり』lomico.jp『風街のふたり』(カシワイ/双葉社) 『風街のふたり』は、孤独な絵描きの老人と、友だちがいない少女の心の交流を柔らかなタッチで描いたフルカラーコミック。祖父と孫ほどの年の差がありながら、一緒にいることで世界が広がっていく様を、哲学を感じさせ
『ひとりの夜にあなたと話したい10のこと』から2年。久々のカシワイさんの新刊です。 ………………沁みます。 美しい絵を眺めているだけでも、ここではないどこかへと旅立つことができて幸福を得られます。ただ、カシワイさんの作品は選ばれる言の葉もまた素敵なのが大きな魅力です。 「こんなにさ 美しいものが世界に既にあるのに描く意味って何だろうな しかも時間が流れればほとんど忘れ去られる」 といった問い掛けに対する描き方。 「雨音は 雨粒が地上で何かと出会ったときたてる音だ 雨音に耳を澄ませるとここにいる手触りがするんだ」 といった、世界の切り取り方。 凪のように静かに、極めて静かに紡がれる物語ですが、普段刺激されない心の奥底の部分にまで沁みてきて感情を揺り動かされます。 読んだ後には、読む前より今自分がいる世界が素敵でかけがえのないものであるとすら思わせてくれる、意義深い一冊です。大好きです。