大切な人の死の哀しみ方がリアル

配偶者と離別した場合はバツイチだが、 死別した場合を「没イチ」と称し、それがタイトル名になった本作。 妻が眠りながら急死し、突然、独り身になってしまった主人公。 葬式だとか親族挨拶だとか日常業務とかで、あれよあれよと忙しく過ぎる日々に、妻の死に対する感情が薄れていってしまう。 哀しみ方を忘れ、そこに違和感を感じながら日々を過ごしていると、 ひょんなことで友人に誘われた婚活パーティーである女性と出会う。 彼女もまた配偶者と死別していた。 同じ境遇に同調した2人は、彼女の誘いで、45歳ながら若者にまじってシェアハウスをするという流れ。 本作が魅力的なのは、大事な人が死別した後、残された当事者の感情の変化を丁寧に描いていて、非常に共感がもてるんです。 すごくよくわかるんです。 年月をともに重ねた人の死は、簡単に整理することはできないし、 涙でごまかせるもんでもないと思うんです。 だけど、ふとした瞬間、ホントに何気ない瞬間に、 喪失感を感じて涙が溢れる。 こういった描写が描かれていて、おそらく経験に基づくものなんだろうなとリアリティを感じさせます。 主人公が、シェアハウスで多くの人と過ごすことで、少しでも哀しみが癒え、次の一歩を踏めることを応援したくなります。 ただ、3巻(2021年11月時点で2巻)で終わるみたいなので、とても残念です。 じっくり丁寧にすすめている作品だっただけに、願わくばキレイに終わってほしいなと思います。

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