あらすじ上層の依頼主から招待を受け、仕事後に訪れたミツ。だが、彼を待っていたカノコという若い女性依頼主は、いきなりここで一緒に暮らさないか、と持ち掛けてきた。あまりに唐突な話に驚いたミツは思わずその場から逃げるが、翌日もカノコから家に呼ばれ…。再び逃げ出そうとするミツだったが、そんな彼を見たカノコの口から意外な言葉が…。夢には上層も下層もない。でも僕らの世界には、上層と下層がある。下層に住み、上層の窓を拭く僕は、一体何を夢見ているんだろう?地上と父への想いを抱く少年・ミツの物語、第3集。
どこか懐かしさを感じさせるタイトルだなあと、読み始める前は思ったりもしました。読み始めて、岩岡先生の優しさと激しさを感じました。 柔らかなタッチで描かれる登場人物は、皆自分の職務に誇りを持ち、日々を懸命に生きています(それは劇中で影を下ろす人物でさえも)。 この作品は、全うに生きること、仕事というのは誰かと繋がっていること、社会にいる人間は決して一人ではないということを教えてくれます。 SFとしても、人間賛歌としても素晴らしい。未読の方は是非読んで欲しい作品の一つです。