あらすじ

人間ともっけ(=妖怪)は、共に生きているのです。霊視少女の静流(しずる)は、同じくもっけを視る力を持つ御崎(みさき)に、もう少し人付き合いをよくしてみては、とアドバイスする。しかし、御崎の心に巣食うのは、あまりにも残酷な過去と悪意――。乗り越えなければならない現実は、少女たちに時に優しく、時に過酷な夢をみさせる。妹・瑞生(みずき)の成長を描く「テオイモノ」「バケジゾウ」なども収録。
もっけ(1)

「これは空想漫画(ファンタジー)ではない、本格妖怪漫画(ファントム)だ」――『百鬼解読』でおなじみの妖怪研究家・多田克己氏も大激賞、ほのぼのモノノケ物語!!田舎に暮らす静流(しずる)と瑞生(みずき)の仲良し姉妹は、他者には見えない妖怪を「見ることのできる力」と、「憑依される力」を持っていた。拝み屋の祖父の助力のもとで、もっけ=勿怪や自然と人間との共存を軸として、二人は成長していこうとする……。

もっけ(2)

もっけ(=妖怪)と人間はどこまで仲良くなれる?自然と妖怪の共存を考える、大人気ほのぼのモノノケストーリー!――霊視能力者の姉・静流(しずる)は、フードで深く顔を隠した妖怪に「仕事道具の刀を捜してくれないか」と依頼される。ベテラン拝み屋の祖父によると、その妖怪=モクリコクリは、「人の皮を剥ぐ」存在なのだという。怖い?助けてあげられる?2つの気持ちで揺れる静流は、それでも森に向かっていく……。

もっけ(3)

自然と妖怪の共存を考える、大人気ほのぼのモノノケ物語、第3巻!霊視者の姉・静流(しずる)はある日、あの橋は妖怪がいるから渡っちゃいけない、と妹に真剣に忠告する。なぜなら妹・瑞生(みずき)は、カンタンに憑依されてしまう体質なのだ……。それでも負けん気の瑞生、「霊に勝つ!」とばかり、無理やり橋を渡ろうとするが……!?読者をほっこりさせてくれる、姉妹の成長ストーリー「マジモノ」をはじめ、6作を収録。

もっけ(4)

ちまたでウワサの、本格派モノノケ・コメディ!――悩める霊視能力者・静流(しずる)のもとに、「彼岸(あちら)側のもの」にただならぬ関心を持つ少女、佐保(さほ)が急接近。一般人からは“オカルト好きのノイローゼ女”と疎んじられる彼女だけれど、静流にだけは彼女の苦しみの理由が視(み)えてしまう。佐保の身体にまとわりつく、「煙々羅(えんえんら)」という妖怪の仕業とは、なにか……。心の機微も切ない「エンエンラ」ほか、全6作。

もっけ(5)

妖怪のプロも大絶賛!田舎暮らしの霊能力姉妹が、もっけ(=妖怪)との対話を通じて成長したりする本格派モノノケ・コメディ、第5巻!――憑依体質の小6女子・瑞生(みずき)は、「桜」を撮ろうと散歩するうち、不思議な力の満ちた「杖」に取り憑(つ)かれるが……。妹の柔らかな心の成長を描く「ツエザクラ」ほか、進路と旧家の継承に悩む姉・静流(しずる)たちを主題とする「ロクサン」など、“妖怪”が導く青春の苦悩、エトセトラ!

もっけ(6)

多種多様な人間&もっけ(=妖怪)との出会いが姉妹を成長させる!本格派モノノケ・コメディ、第6巻。――高校受験が近づくなか、霊視少女の静流(しずる)は奇妙な音に悩まされていた。謎の音と、母が勧める家族のもとを離れなければならない学校への受験に対する不安を聞いた拝み屋の祖父は、彼女にある御守りを渡すが……!?新たな生活のなかで姉妹それぞれの成長を描いた「ジャノメ」「ウンガイキョウ」ほか5作を収録!

もっけ(7)

人間ともっけ(=妖怪)は、共に生きているのです。霊視少女の静流(しずる)は、同じくもっけを視る力を持つ御崎(みさき)に、もう少し人付き合いをよくしてみては、とアドバイスする。しかし、御崎の心に巣食うのは、あまりにも残酷な過去と悪意――。乗り越えなければならない現実は、少女たちに時に優しく、時に過酷な夢をみさせる。妹・瑞生(みずき)の成長を描く「テオイモノ」「バケジゾウ」なども収録。

もっけ(8)

妖怪を視る力を持った姉・静流(しずる)と、妖怪に憑かれやすい妹・瑞生(みずき)。心身ともに少しずつ成長した瑞生は、憑かれても祖父に頼らずとも対処できる場面が増えていく。一方で、全寮制の女子高に通う静流は、その力を友人に打ち明けたことで、かえって人間関係に亀裂を生じさせてしまう……。悩み落ち込む静流を救ったのは、今までは姉に頼るばかりだったはずの瑞生だった。

もっけ(9)

妖怪を見る力を持った姉・静流(しずる)と、妖怪に憑かれやすい妹・瑞生(みずき)。中学生になった瑞生は、憑かれても自分で対処できる場面も増える。一方、全寮制の女子高に入った静流は、同じ妖怪現象が見える柊子(とうこ)と出会い、打ち解けていく。だが、柊子の祖母の訃報をきっかけに、柊子は巨大蛇の妖怪ノヅチに憑かれてしまう。静流は祖父の協力を得て、ノヅチ落としに挑むが!?本格妖怪漫画にして姉妹の成長譚、大団円!

もっけ

怪しいというリアルな世界

もっけ 熊倉隆敏
名無し

彼方の世界の住人達、 モノノケ、妖怪、アヤカシ。 彼らは善悪や敵味方の区別も明確でないままに 突然に現れて人間に、人生に関わりあってくる。 例えそれがどんなに唐突で理不尽であろうとも。 関わらない防御術も、オールマイティな解決策もない。 そんな一見(というか普通の人には見えないが) 怪しく危険で魑魅魍魎が跳梁跋扈する百鬼夜行の世界。 なにが善悪で誰が敵味方か判らない世界。 触れるべき部分と触れてはいけない部分を 認識して守りつつ、というか守っていると 思いつつ生活するしかない世界。 「もっけ」はそういう世界という設定になっている。 だが、それはごく普通の世界だとも言える。 リアル現代社会だって実はそんなもんだ。 見えている人や見えていない人、 見えているようでいて見えていない人がいて、 見えているからといって解決できるわけでもない。 何をどうしてもしょうがなく憑かれてしまうこともある。 だから、自分が強くなるしかないのだ。 怪異な存在が見えてしまう姉。 憑かれる体質の妹。 祖父が祓いの術をもち、彼方の世界の存在も理解しているので 助けてはくれるが、けして無敵な存在ではない。 なので姉妹は互いを想い助け合う。 だが、結局は自分が強くなるしかないのだ。 家族に保護されている幼年期をへて、 学校に通うようになり、親元を離れていく。 それはリアルな世界だ。 人は誰でもいずれ、何が善悪で誰が敵味方か判らない世界へと 飛び込んでいき、一人で生き抜かねばならない。 「もっけ」は怪異が共存する異世界を描きながら じつはリアルな社会を生きていく姉妹の成長譚を 描いていると想う。 むしろ世の中が理不尽で魑魅魍魎が跋扈する世界で あることを、怪かしが干渉してくる世界に置き換えることで より判りやすく面白くマンガとして描いているように感じる。 結構ホラーな展開やシーンもあるけれど、 けして陰鬱な救いようがない気分で終わることなく読めるのは 主人公姉妹の純粋で明るいキャラによるものだろうか。 面白くて深い漫画だと想った。