あらすじ

洋菓子職人を目指す安藤奈津は、就職活動中に和菓子職人の梅吉・竹蔵と出会う。彼らの働く「満月堂」は、江戸時代から続く老舗でありながら、跡継ぎを失い、若い職人を求めているというのだ。体と心にやさしい和菓子の味と、厳しくも温かい職人の世界に魅せられた奈津は…。
あんどーなつ 江戸和菓子職人物語 1巻

洋菓子職人を目指す安藤奈津は、就職活動中に和菓子職人の梅吉・竹蔵と出会う。彼らの働く「満月堂」は、江戸時代から続く老舗でありながら、跡継ぎを失い、若い職人を求めているというのだ。体と心にやさしい和菓子の味と、厳しくも温かい職人の世界に魅せられた奈津は…。

あんどーなつ 江戸和菓子職人物語 2巻

「満月堂」に修学旅行の中学生たちが訪ねてきた。父親の思い出の味を探しに来たという一行は、梅吉や竹蔵の作った饅頭の出来ばえに感激し、一方で女将は子供である彼らに対しても態度を変えることなく接客する。奈津は「満月堂」という店の深みに触れ、その歴史と名に恥じぬ職人になろうと決意するが…。

あんどーなつ 江戸和菓子職人物語 3巻

会期中盤を迎えた「江戸和菓子老舗展」では、今年も「獅子屋」が売り上げ1位となっていた。一方、「満月堂」も奈津の奮闘により、順調に売り上げを伸ばす。さらに、茶道の家元・一ツ橋あやめの来店がテレビ取材班の目に留まり、「満月堂」は注目を浴びることになったが…。

あんどーなつ 江戸和菓子職人物語 4巻

「満月堂」の女将・光子のもとに、日本橋の老舗百貨店の社員がやって来た。なんでも年末に行うイベントへの参加をお願いしに来たという。そのイベントとは、選び抜かれた5軒の老舗和菓子屋の女将や女職人が、最中の皮に餡を詰める実演販売をし、競い合うというもので…。

あんどーなつ 江戸和菓子職人物語 5巻

近江屋百貨店でついに始まった『花のお江戸菓子祭』。大勢の来場者に、梅吉と奈津は緊張してしまった上、「獅子屋」に人気をとられてなかなかお客が来ない「満月堂」。そこにお得意様である「越前屋」の大奥さんが友人を連れてやってきて、さりげなくお店をアピールしてくれ…。

あんどーなつ 江戸和菓子職人物語(6)

竹蔵が福引で「鹿児島ペア旅行」引き当てたことから、鹿児島へ葛粉の勉強に行くことになった奈津。さっそく五八様(おとくいさま)の喜八郎に同行を頼んで快諾をもらう。喜八郎にしてみても、思いがけず孫の奈津と旅行へ行けることになり、内心感激していて…。

あんどーなつ 江戸和菓子職人物語(7)

いよいよ明日に迫った屋形船の会。茶道の名門・一ツ橋流の家元で奈津の祖母であるあやめが、会に参加する条件として提示した「奈津が拵えた新しい和菓子」も完成し、あやめの参加を無事取り付けた奈津。だが、明日に迫ったとたん、白小豆餡の出来が心配になった奈津は…。

あんどーなつ 江戸和菓子職人物語(8)

日本菓子大博覧会・東京予選に出品する工芸菓子の意匠を探しに、女将さんの兄で「深川鈴々軒」の旦那である鈴村さんと上野動物園へやってきた奈津。様々な動物を見て回り、ふたりが決めた意匠は、ピンク色が鮮やかな美しい鳥の「ショウジョウトキ」で…。

あんどーなつ 江戸和菓子職人物語(9)

一ツ橋流家元で実の祖母・あやめとのふたり旅。最終日は、奈津の故郷である福井県へ。家元継承40周年の記念に、全国の弟子たちに贈るという若狭塗りの箸の発注のため、ふたりは小浜市にある箸舗「ヤマ勘」を訪れる。箸職人の仕事ぶりを真剣に観察する奈津の姿に、あやめは満足そうに目を細める(第1話)。

あんどーなつ 江戸和菓子職人物語(10)

師匠も走るほど忙しい師走。満月堂も例外ではなく、鏡餅や切り餅の注文で大忙し。そんな中、亡き若旦那の大学の後輩にあたる学生から、茶道部の来年の初釜で使うお菓子を注文される。新作お菓子をと考える女将さんは、亡き夫の菓子日記に記された「芋大福」を提案するが…!?(第1話)

あんどーなつ 江戸和菓子職人物語(11)

鎌倉源月堂で働き始めた竹蔵。先輩・今岡からの辛いちょっかいにもめげず、竹蔵は源月堂のために心を配る。一方、竹蔵が去った浅草満月堂に、関西弁のおばさんが「おはぎ」を買いにやってきた。最短で明日の朝に出来上がると伝えると、作る様子を見せて欲しいと言い出して…!?(第1話)

あんどーなつ 江戸和菓子職人物語(12)

銀座のデパート・丸屋の主催する「一ツ橋流と全国老舗和菓子屋展」という大イベント。北は北海道、南は九州・沖縄まで…全国の老舗和菓子店が名門・一ツ橋流の茶菓子の座を目指して、鎬を削る。満月堂の和菓子職人・安藤奈津は自ら「埋み火大福」という和菓子を発案して、催事に臨んだが…一ツ橋流の茶菓子に選ばれるのは!?四季折々の変化を巧みに写し取り、豊かで美しい思いを探し求める和菓子職人の世界。その厳しい世界の中で一歩一歩成長する安藤奈津の姿を描いた9編を収録。大人気、江戸和菓子職人物語の最新刊です。

あんどーなつ 江戸和菓子職人物語(13)

●提灯職人の松宮から、満月堂に依頼が。それは、自分の姪っ子が働く浅草の小学校で行われている「総合学習」という授業で、和菓子の拵え方を教えてほしいというものだった。「浅草の地元の伝統と文化を子供達に伝える」という責任をしょって、小学校に出向いた安藤奈津だったが、そこには手強い子供達と先生がいて……?●桜祭りの催事中の桜橋で、満月堂の桜饅頭をめぐり、地元の小学生・健太と、角力取り・隅田川がちょっとしたいざこざを起こしてしまう。怪我のため番付が落ちてしまった十両の隅田川は、次の場所で勝ち越さないと幕下への陥落が決まってしまう。そんな隅田川を一生懸命応援する健太。そして浅草の面々。奈津も「大手鞠」という和菓子を拵え、隅田川を激励するのだが、現実はそれほど甘くなく……?

あんどーなつ 江戸和菓子職人物語(14)

●十四連敗で千秋楽を迎えた角力取り・隅田川。安藤奈津や浅草の面々の激励を背に、最後の取り組みに臨んだが…?●ある梅雨の晴れ間、満月堂の梅吉の元に、中嶋香里と名乗る若い女性が現れ、梅吉のことを「お父さん」と呼ぶ。仰天する奈津。事の真相は?●香里が愛媛で結婚式を挙げると聞き、梅吉はお祝いの蓬莱饅頭を拵えようとする。そんな折、一ツ橋流の家元・あやめから、あるお茶会に出す和菓子を拵えてほしいという依頼が満月堂に舞い込む。梅吉は結婚式への出席をとりやめようとするが、奈津の熱意と説得に折れ、お茶会の和菓子は奈津と竹蔵に任せ、店を空けることに。そしてお茶会当日。張り切る奈津だったが、それがあだとなりとんでもない大失態をしでかしてしまうのだった。一ツ橋流にも満月堂にも泥を塗ってしまった奈津は、その責任をとろうと、満月堂から姿を消してしまう。奈津を愛する浅草の面々は、必死で彼女を捜すが………

あんどーなつ 江戸和菓子職人物語(15)

浅草・満月堂で和菓子職人の見習中の安藤奈津。六義園で催された一ツ橋流の茶会に供する和菓子を任されたが、初歩的なミスによってひびの入った和菓子を供してしまう。責任を感じた奈津は、置き手紙を残して満月堂を去り、叔母の住む福井へと向かう。満月堂の面々は奈津の身を案じて探すが、行方は分からないままだった。一方、福井での奈津は、やはり和菓子を拵えたいとの思いを新たにし職場を求め始める。満月堂で培った力は、福井の和菓子に通じるのか。年の瀬を控えた慌ただしい中、奈津の心は……。

あんどーなつ 江戸和菓子職人物語(16)

生まれ故郷の福井から、浅草・満月堂に戻ってきた奈津。そして帰京早々、竹蔵と美鈴の結婚式にお祝いの「紅白饅頭」を頼まれた。悩み抜いた末、ふたりの名前から「笹竹」と「福鈴」をモチーフにした紅白饅頭を拵え好評を博す。その後、アメリカ人の祖父と孫が先々代の満月堂主人・才太郎を訪ねてきた。祖父のジェイムズ・カープは、60年前に先々代に預けた貴重な軍用カメラ「スピードグラフィック」を返してほしいと迫る。だが、満月堂の店内には60年前のカメラなど影も形もなく…加えて、奈津が持つ母の形見「井戸茶碗」を狙う怪しげな骨董商まで出現。このWピンチを、奈津はどう乗り切るのか…!?

あんどーなつ 江戸和菓子職人物語(17)

浅草の老舗菓子舗・満月堂で立派な和菓子職人になるべく修業の毎日を送る安藤奈津。そんな中、一ツ橋流がデパートで主催する催事に、久々に満月堂も出店させてもらえることに。名誉挽回の絶好の機会を得た奈津は、涼しげな新和菓子「金魚葛饅頭」で宿敵・銀座獅子屋に勝負を挑む。一方、母の形見である井戸茶碗を狙う骨董品店の店主・中村清太郎は、事あるごとに井戸茶碗を売るよう奈津に執拗に迫る。奈津の身辺を探っていた中村は、とうとうあやめとの複雑な関係に気付きはじめて…国宝級の井戸茶碗を巡って、登場人物の人生が複雑に交錯する、大人気コミックスの最新第17集!!

あんどーなつ 江戸和菓子職人物語(18)

浅草の老舗和菓子舗・満月堂で働く見習い職人の安藤奈津は、美味しい和菓子を拵え、お客様の心に温もりが届けられるようにと日々修業中!新年の初釜の後、奈津の目の前で一ツ橋流家元・あやめが過労で倒れた。その後、あやめは心身を癒やすため、温泉地・神奈川県湯河原町に逗留することに。奈津は、あやめのお世話係として急遽随行することとなった。温泉街を散策する二人は、偶然「湯けむり屋」という地元の和菓子舗に入ることに。その店の主人から、なぜか湯河原町の「新名物菓子」作りの手伝いを頼まれてしまう。ゆったりと温泉を楽しむ「湯治の旅」が、一転あわただしい「新菓子作りの旅」になった奈津。あやめの目の前で、果たして立派な「新名物菓子」を作り上げることはできるのか…!?大人気コミックスの最新第18集!!

あんどーなつ 江戸和菓子職人物語(19)

浅草の老舗和菓子舗・満月堂で働く見習い職人の安藤奈津は、美味しい和菓子を拵え、お客様の心に温もりが届けられるようにと日々修業中!ある日、満月堂の前に大荷物を抱えた冬実を見つける奈津。父親の外崎に、ボビーとの結婚を反対され、激怒して実家を飛び出してきたというのだ。そこで、女将の光子が外崎との話し合いの末、光子が冬実を満月堂に住まわせ「花嫁修業」を課すことになった。花嫁修業を最後までやり遂げれば、外崎はボビーとの結婚を許すというのだが、果たしてワガママ娘は光子の厳しい修業に耐えられるのか…!?その後、浅草のホテルで開かれる日本茶と菓子の祭典「日本各地の銘茶とスイーツ展」に出展することが決まった満月堂。奈津が新菓子のアイデアを考え出すのだが、それを冬実が盗み聞きしていた…波瀾必死!?付録に、先日亡くなられた原作者・西ゆうじ氏の『あんどーなつ』第1話の原作を全文収録!大人気コミックスの最新第19集!!

あんどーなつ 江戸和菓子職人物語(20)

東京・浅草を舞台にした、江戸和菓子職人物語『あんどーなつ』が、8年の歳月を経てついに完結!浅草の中学校に転校してきた美少年・市川橋蔵。彼は、家業である旅芸人一座で女形役者をやっている男の子だった。ふとしたきっかけで橋蔵と知り合った奈津は、満月堂に誘い自慢の「満月堂饅頭」をふるまう。その美味しさと、満月堂の職人たちの温かさに触れた橋蔵は「旅芸人役者」への道を捨て、和菓子職人になるべく女将の光子へ弟子にしてほしいと頼み込む。一方、息子・橋蔵の和菓子職人への気持ちが本物だと理解した父・千代之助は、ある「賭け」を提案する。次の舞台で、橋蔵がお客様を満足させる芝居ができたら、和菓子の道へ進むことを許可する、という内容だった。だが、その舞台までは、あと2日しかない。奈津は橋蔵の相手役となり稽古を手伝うが、その結果は…!?特別付録として、原作者・西ゆうじ氏が病床で語った今後の物語の構想を元に、作画のテリー山本氏が描いた「幻の第177話」を収録。見習い和菓子職人・奈津の最後の活躍ぶりを目に焼き付けてください!!

あんどーなつ 江戸和菓子職人物語

洋菓子から転向!下町と修行と人情と

あんどーなつ 江戸和菓子職人物語 テリー山本 西ゆうじ
たか
たか

「パティシエールを目指していた女の子が、和菓子職人の弟子になる物語。「そんなん面白いに決まってんじゃん…!」と読んだら、案の定面白かった! (違う世界に挑戦する話が大好きなんです…Real Clothes、スピナマラダ!、空手小公子 小日向海流みたいな) まずこの絵柄がいい! キラキラした少女漫画やシュッとした少年漫画じゃ出せない「素朴さと温かみ」が下町の義理人情を引き立ててたまらない。 そして職人の在り方・心構えをガッツリ丁寧に描いてるところがいい! 和菓子を作るには、材料から日本の四季と文化に精通しなくてはならない。よって親方や女将さんがなっちゃんを育てるために、あれやこれや手を尽くすし、なっちゃんも期待に応えるために真剣に努力する。 店には親方、兄弟子、店を取り仕切る女将さんがいて、和菓子の道を極めるうえで主人公彼らとは「師弟関係」という線引きがある。 尊敬と愛情で繋がる「親しいが馴れ馴れしさはない」、職人の世界の人間関係がすごくよかったです。 そして何より、全く道の厳しい世界でもヘコたれない、主人公の真っ直ぐな心とタフな根性が読んでいて気持ちがいい! こういう子好きです。 何も知らずに読み進めていたところ、20巻のあとがきで衝撃を受けました。 作者の方がご病気で逝去されており、その遺志を継いで未完のまま完結させるというお知らせでした。 アメリカから来た新しい弟子となっちゃんの関係がどう決着するのか本当にワクワクして読んでいただけに、「ここでなっちゃんの世界は終わり」といきなり知らされショックで呆然としました…。 未完ではありますが、作中の下町人情や美味しそうなお菓子、日本の伝統文化は本当に最高。 最初から未完であると知ったうえで楽しんで読んでほしい名作です!