あらすじ「世間ってのは優等生なんか望んじゃいねえ、モンスターが見てえのさ――」森文太郎は教師・大西の導きでクライミング大会に出場。独りで登るソロクライミングを望みながら、登る技術を求めて周囲と距離を縮め始めた…。しかし、新設されたクライミング部で訪れた山での無謀な登壁を記者・黒沢にゴシップとして報道され、彼の運命は大きく揺らぎ始める―!!
登山マンガです。最初の高校生編の面白さは後に比べるとそれほどでもないのですが、常に孤独であろうとする主人公に対して「山は一人では登れない!」と教えようとしてくれた懐が深くて優しい先生が、雪山で遭難した主人公の捜索中に亡くなるんですね…。主要人物の死によって読者としても山の危険性に身が凍ってよりリアルに感情移入していき、そこからは登る山のレベルが上がるほど没入感がハンパなくなっていきます。 荒れ狂う雪山の描写はもちろんですが、仲間を看取るシーンでの死に際の表情なんかはマジで鬼気迫ってて脳にこびり付いてます。こういった命の駆け引きのようなところが、後のイノサンのテーマにも繋がっていったのでしょうか。 孤独だった主人公が結婚して子供が産まれてようやく幸せを掴んだのに、それでもK2を登ることになった時は妻目線になって「終わった…」と思いましたが、タイトルの『孤高の人』の意味そのままのベストなラストでした。 登れたのか生きて帰れたのか…それは最後まで読んで自分で確認したほうがいいと思う。