あらすじ

孤独な青年・森文太郎は転校初日、同じクラスの宮本にけしかけられ校舎をよじ登ることに。一歩間違えば死んだかもしれない、だが成し遂げた瞬間の充実感は、今までになかった「生きている」ことを確かに実感するもの…。文太郎はクライミングへの気持ちを加速させはじめた――!!
孤高の人(1)

孤独な青年・森文太郎は転校初日、同じクラスの宮本にけしかけられ校舎をよじ登ることに。一歩間違えば死んだかもしれない、だが成し遂げた瞬間の充実感は、今までになかった「生きている」ことを確かに実感するもの…。文太郎はクライミングへの気持ちを加速させはじめた――!!

孤高の人(2)

「世間ってのは優等生なんか望んじゃいねえ、モンスターが見てえのさ――」森文太郎は教師・大西の導きでクライミング大会に出場。独りで登るソロクライミングを望みながら、登る技術を求めて周囲と距離を縮め始めた…。しかし、新設されたクライミング部で訪れた山での無謀な登壁を記者・黒沢にゴシップとして報道され、彼の運命は大きく揺らぎ始める―!!

孤高の人(3)

風雪にしだかれ、寒さと空腹に苛まれ、それでも頂へ向う者よ――!!森文太郎はクライミングに出会い、周囲に心を開き始めた。だが山での事故を背徳行為として報道され、仲間達は散逸。失意の文太郎は導かれるように八ヶ岳に向かい、独り登り始める。そして捜索に向った大西と黒沢は奇しくも山の因縁を明かすが…。山頂目前で3人を待つ運命は!?

孤高の人(4)

岩と氷で鎧い、嵐と深淵に囲まれた、人類未踏の氷壁へ――!!森文太郎は初めての雪山を独り登頂するが、捜索で山に入った教師・大西が事故に遭ってしまう。それから2年後、山に没頭する生活を送る文太郎を黒沢が来訪。手引きにより人類未踏の氷壁「K2東壁」遠征部隊に誘われる。文太郎は生き方を貫きながらも、静かに火が起こり始めた…!!!

孤高の人(5)

森文太郎は決して恵まれずとも山に没頭する生活を送っていた。しかし同級生・夕実に迫られ、深き迷いに陥ることに。山への専心を求め「K2東壁」遠征チームへの参加を決意するが、部隊は彼の苦手な縦の人間関係。そして選り抜きのクライマー達は結束なきまま冬期登山に突入して…!?

孤高の人(6)

森文太郎は人類未踏の氷壁「K2東壁」遠征部隊への参加を決意する。だが選り抜きの部隊は結束なきまま、K2東壁をシミュレートする北アルプス全山縦走に突入。功を焦る新美のミスで加瀬が負傷し、文太郎と新美は吹雪の中、貯蔵物資回収に向かうことに。執念の男・新美を前に文太郎は…!?

孤高の人(7)

K2東壁をシミュレートする北アルプス全山縦走に突入。森文太郎はこの部隊で「人付き合い」を克服することを己に誓う。だが文太郎は白馬岳で合流した二宮隊長に評価され、隊員たちの反感をかってしまう。そして縦走最大の難所・不帰嶮を容赦ない虐げを受けながら登ることになり!?

孤高の人(8)

俺もアイツと一緒に、死ぬつもりだったんです――。北アルプス全山縦走、下界では「部隊遭難」のニュースが広がる。その中で、森文太郎は一人、町に辿り着き、山行の全容を刑事たちに語り始めた。部隊は縦走終盤の烏帽子岳で雪崩に遭遇、文太郎は新美を救出し、孤立無援のビバークに。死と向き合い、生を営んだ極限の時間とは!?

孤高の人(9)

人には人の行く道があり、俺には俺の行く道がある――。北アルプス全山縦走、部隊は鳥帽子岳で雪崩に呑み込まれた。森文太郎は隊員たちの無情な死と向き合うことに。だが冬山で打ちひしがれた孤独を乗り越え、登り続けることを己に誓った彼は、単独で全山縦走踏破へ向かった。そして4年後、文太郎は富士山頂で生活を始めていた!?

孤高の人(10)

富士山頂で生活していた文太郎のもとに、仕事の依頼主である足立から連絡がくる。急きょ下山した文太郎を待っていたのは山に関わる定職の報せだった。希望を胸にアパートに戻る文太郎。しかしそこには決して彼を解放しない現実が…。そして文太郎の前に現れた因縁の男とは!?

孤高の人(11)

絶望の淵で、生き残る道は、前進のみ――。文太郎は旧友・宮本との再会を果たす。だが、昔を懐かしみながらも、どこか不自然な宮本。さらに夕実から宮本の真実を知らされ…。失意の文太郎は富士山頂に一人引きこもってしまう。しかし3か月後、その地に迷い込んだ女性・花を救うことで、文太郎の運命が変わり始める…!?

孤高の人(12)

君は何処へ行くんですか――?文太郎は富士山で遭難した女性・加藤花を救う。その出会いは文太郎の生き方を大きく揺るがした―…。3年後、文太郎は8000m峰ナンガ・パルバットで人類未踏のクライミングに挑む。生死の領域で文太郎はかつての人生を省み、温かく迎え入れてくれる花に思いを巡らせるが…!?

孤高の人(13)

人は一人じゃ生きていけない―…。花と結ばれ、「加藤」と姓を変えた文太郎は、長女・六花に恵まれる。仕事と家庭…社会に身を納め始めた生活は文太郎にとっては心を満たすもの。やがて文太郎はK2への挑戦を否定するようになる。だが山に没頭し続けた建村の誘いを契機に、心に息づく「雪山」は文太郎を責め続けた…!!

孤高の人(14)

あのリッジもオーバーハングしたセラックも…もう全部知っている…。文太郎は加藤花と結ばれ、長女・六花に恵まれる。家庭を手に入れた生活は心を満たすもの。だが後輩・建村の誘いを契機に、ついに文太郎はK2へ旅立つ。憧れ続けた未踏の氷壁にとりついた文太郎だが、パートナー建村との登山志向の違いが徐々に顕れ始めて…!!

孤高の人(15)

永遠に孤独である覚悟がないなら…一人で山を登ってはならない――!!!人類未踏のK2東壁に挑む文太郎と建村。しかしペースを乱した建村が7000m超地点の難壁で滑落、自力で這い上がる氷壁上で自失してしまう。文太郎は懸命に建村の救出に向かったが、無情な選択を迫られることに。極限の雪山、生と死の狭間で文太郎の眼前に現れた光景とは――!?

孤高の人(16)

俺は山を愛しているもうここで死んでも構わない──。文太郎は建村と共にK2東壁に挑んだ。しかし建村が登山続行不能になり、その下降路で氷壁崩落に遭遇。氷河の果てで文太郎はかつて自らを単独行に導いたクライマーの骸と出会う。日本では文太郎の生還を待つ者…。だが文太郎はすべての喧騒から離れ、憧れ続けた雪山登攀に向き合い…!?

孤高の人(17)

俺は下りる生きて家族のもとへ帰るんだ──。K2東壁に単独で挑んだ文太郎は、遂に人類未踏の領域に到達。しかし悪天候が兆した…。文太郎は撤退を決意。だが生還を焦ったことで、“死の領域”で重大なミスを犯してしまう。極限の雪山で文太郎が迎えた運命とは!?現代に生きる「加藤文太郎」の生き様を描いた山岳ロマン、遂に完結!!