あらすじ岩と氷で鎧い、嵐と深淵に囲まれた、人類未踏の氷壁へ――!!森文太郎は初めての雪山を独り登頂するが、捜索で山に入った教師・大西が事故に遭ってしまう。それから2年後、山に没頭する生活を送る文太郎を黒沢が来訪。手引きにより人類未踏の氷壁「K2東壁」遠征部隊に誘われる。文太郎は生き方を貫きながらも、静かに火が起こり始めた…!!!
登山マンガです。最初の高校生編の面白さは後に比べるとそれほどでもないのですが、常に孤独であろうとする主人公に対して「山は一人では登れない!」と教えようとしてくれた懐が深くて優しい先生が、雪山で遭難した主人公の捜索中に亡くなるんですね…。主要人物の死によって読者としても山の危険性に身が凍ってよりリアルに感情移入していき、そこからは登る山のレベルが上がるほど没入感がハンパなくなっていきます。 荒れ狂う雪山の描写はもちろんですが、仲間を看取るシーンでの死に際の表情なんかはマジで鬼気迫ってて脳にこびり付いてます。こういった命の駆け引きのようなところが、後のイノサンのテーマにも繋がっていったのでしょうか。 孤独だった主人公が結婚して子供が産まれてようやく幸せを掴んだのに、それでもK2を登ることになった時は妻目線になって「終わった…」と思いましたが、タイトルの『孤高の人』の意味そのままのベストなラストでした。 登れたのか生きて帰れたのか…それは最後まで読んで自分で確認したほうがいいと思う。