最後は投げっぱなしジャーマンに近い終わり方だったが まぁ人生ベストの漫画
漫画はキャラだと言う言説が存在するが、この漫画はテロリストが主人公という、漫画史において前代未聞の物語は、よくこの漫画を連載させてくれたことに我々読者は漫画の懐の深さに感謝しなければならない。この漫画を暴力的だからということで嫌うのは簡単すぎる結論の出し方である。しかしこの漫画にはその暴力性や物語の筋を一瞬忘れさせられる様な瞬間のコマが存在する。線画が突出して、上手いという訳ではないが物語の世界観とマッチしてハッとさせられる瞬間が本当にいくつもあるのだ。それは決して過激な暴力シーンではなく、別の瞬間にある。この漫画が突きつけてくる命やそれと切り離せない魂や神という信仰の問題、徹底して馬鹿として描かれる大衆。重い腰をあげながらもその期待にはしっかりと答えてくれる単なる面白いでは終わらせない傑作すぎる漫画である
謎に包まれた魅力的な美女「ひな」を巡る男達の奪い合い 男達はひなの魔性の魅力に抗えず、ひなを自分だけのものにするため必死で追いかける 最終的によくわからない感情になった男達はぶん殴り合う …… … 伊藤潤二の「富江」やんけ とは言え新井英樹バージョンて事で感情爆発のアツい人間ドラマ 100ページ程の短い作品でサクッと読める素晴らしい漫画
ザ・ワールド・イズ・マインにも太眉の可愛い女の子が出てきましたよね。あの子が正気を失ってから妙に色っぽくなってドキッとしたのを思い出しました。この作品の主人公のひなもそれと似ている雰囲気を感じます。愛妻家のおじさん、人殺しのヤクザ、一目惚れした若者、全く違うタイプの3人の男を夢中にさせた魔性の女ですが、彼女が何者なのかは最後まで明かされずに終わります。でもそれがいいんですよね。お天気お姉さんでもヤマギシが「男の予想の範囲内で動かないでくれ!君はお天気お姉さんなんだから!」と絶叫していたけど、私も同感です。ひなは自分が何者なのかなんて考えたことないんだと思う。だからみんな夢中になっちゃうんじゃないかな。
5時に夢中!の特集に出演されていた女王様の所作が美しくて感動してからリスペクトしています。なので新井英樹先生がSMを題材に連載を始められてとても嬉しかったです。第1回目のイベントにも参加させて頂きましたが、間近で拝見する女王様方のスタイルや立ち振る舞いはもちろんですが、お肌がどこもかしこも綺麗でひれ伏したくなりました。やはり圧倒的な美しさにはパワーがある!断言せざるを得ないでしょう。またそこでM男さん達との揺るぎない信頼関係を拝見して、SMはただのエロではないと感じました。 まだ2巻までしか出ていませんが、すでに名シーンがわんさかあって笑ったり泣いたり心が震えまくりです!特に「お前の余命は私が決める」はヤバすぎでしょ…
いま私は……『SPUNK - スパンク! 』が大好き!! この楽しいは譲らない!! 難しいことを平易に、子供でも解るように変換して伝えられることこそが真の賢さであるという風に言われることがあります。部分的には解らなくもありません。 しかし、世の中にはどう頑張っても単純化できない(あるいはすべきでない)複雑なものも存在します。それは、まさしく新井英樹作品のようなものです。 新井英樹さん待望の最新作『SPUNK - スパンク! 』を3行でまとめろと言われれば、まあできなくはないでしょう。あらすじに書かれている情報をまとめて呈することは可能です。しかし、本作は第1話だけでもあまりに膨大な情報量が詰まっています。3行まとめでは、そこに存在する数多の機微を欠いてしまうわけです。 主人公の栗田夏菜が、幼い頃から人形より怪獣やゾンビが好きで、男子と遊ぶのが好きだったこと。 絵やマンガやロックや映画が好きだったこと。 吉田戦車や岡崎京子の良さが解る中学生で、自分でもマンガを描いてたこと。 男子とばかり遊んでいたら、女子グループからイジメられたこと。それに対して、全校集会で校長と取引して大々的に反抗したこと。 自分と同じ白線の上を歩くのが好きな返り血塗れの女(彼氏を刺殺した直後)の「譲るなJK どんと行け人生こっからだ」という言葉が心に刻まれていること。その女は次の瞬間トラックに跳ねられ潰れ肉片となったこと。それを見て何故だか元気を貰って笑ったこと。 その夏にナンパして来た男とホテルで初体験を済ませたこと。その頃に酒・タバコ・薬も一通り通ってお金のために法律無視のバイトも色々とやったこと。 高校卒業後は映画を撮りたくなり専門学校に通い始めたこと。 その後、六本木のクラブでホステスとして働く中で暴力団の若頭に気に入られたこと。 その若頭が実はドMであり、そこから女王様としての道に開眼していったこと。 縦横無尽にS道を驀進する自分が大好きであること。 これでもかなり端折っており、実際の第1話ではより濃密な人生が詰め込まれています。ひとつひとつの表情や、手指の演技に明確な意志がたくさん込められています。この文章を読むより、1,2巻をまとめて買ってそれを読み通し味わって欲しいです。切に。 そうした複雑さこそ世界や人間の在り方や本質に迫り相似している部分でもあります。人は往々にしてシンプルで解りやすい答えや飲み込みやすいものを欲します。しかしながら、こうした複雑で咀嚼も嚥下もし難いものと全力で格闘し、自分のものにしていく時間は人生において非常に大切であろうと思います。 『SPUNK - スパンク!』1話が世に出たときのキャッチフレーズ、「『好き』をナメるな」という言葉が私は心底大好きです。 人間の好きという気持ちから発せられるエネルギーを信じているから。 自分自身も、好きだけを突き詰めて生きてきたから。 他者の好きを突き詰め煮詰めたものが、大好きだから。 嫌いが生むものより、好きが生むものの方が強くて素晴らしいことが圧倒的に多いから。 わざわざ嫌いなものに自分から近付いていって誰も(自分も)幸せにしないことに貴重な人生の時間を費やすより、自分の好きな対象を愛することに1秒でも多く使った方が皆幸せになるのに、と常々思っています。故に、この作品の主人公・夏菜の自分の感情にとことん素直で好きを貪欲に突き詰める生き方は大変痛快で大好きです。 そして、本作の鍵となる人物は夏菜と対照的な冬実。SMバーの面接に行ったところで「私ごときが」と、入門を躊躇している彼女。名前の字面からして夏と冬で、性格的にもイメージそのままで奔放な夏菜に対して真面目で大人しく抑圧的な冬実は、夏菜から見ても理解しがたくつまらない存在です。しかし、常連客のひとりは冬実の潜在能力を感じ取っており、冬実の変化と共に物語はドライヴ感を増して疾走していきます。疾走感マシマシのパートの一連のセリフは、声に出して読みたくなる魅力があります。そして、読んでいるだけで新しい扉が開けるようなパワーが宿されています。 「SMも人生も笑いである」 「切実と滑稽の世界へようこそ」 酸いも甘いも散々噛み分けた先にある人の生の境地が、ここにはあります。SMバーを訪れる客たちも、それぞれ物語の主人公になれるような人生を背負っています。普通なら悲劇と呼ばれる話であっても、笑い話として笑い飛ばし蹴り飛ばす。そんな力強さと優しさに満ち溢れていて、読むとSPUNKを与えられます。 普通のマンガの主要人物たちには幸せになって欲しいなと思うことが多いのですが、彼女たちに関してはもう幸も不幸もすべて人生の一部であり等価値で何が起こってもいいし、どっちでも面白いと思えます。ただただ、見ていたい。何とも不思議な読み心地です。 雑誌で読んでいても十分面白いのですが、『SPUNK - スパンク!』は単行本になってこの世界だけに集中・没入して読むのが最も楽しめるなと感じました。1,2巻が同時発売となった理由も、よく解ります。2冊まとめて買って一気に読むことを強く推奨します。続きが気になった方は、新発売のビーム最新号で続きを読むこともできます。 『ザ・ワールド・イズ・マイン』、『なぎさにて』、『SCATTER あなたがここにいてほしい』、『ひとのこ』など超大な物語を経てこの個々人の物語に辿り着いているその意味も、読むことで言葉でなく心で伝わることでしょう。
新井英樹氏の作品といえば傍若無人なキャラクター像が多い印象を持っているが、この作品でも存分に発揮されている。 ある宗教圏の人々には受容と反発の両極端な反応が予想されるが、あくまで漫画でありフィクションであり娯楽として楽しんでほしい作品だ。 言葉にすると荒唐無稽で陳腐な説明しか出来そうもないので、まずは一読されたし。
実家を追い出されるまであと100日を切った29歳ニート(反韓反中アカウント持ち)が、コンビニに居る美人中国人店員を密かに推していると、元同級生の桐嶋に偶然出会い、中学時代授業中に「パンゲア」と正解を叫んで漏らして不登校になった過去をバラされる。お詫びに同級生は店員さんの情報を集めてくれるけど・・・。 店員さんが最初からパンゲアをちゃんと言えてなくて最後の方には名前も忘れて跡形もなくなってるところがエモい。最後の最後の「パンゲアね」というタイトル回収も良かった。 とはいえ最後まで読んでみると主人公にこれといった変化も起こらず何も達成せずで、「ただ痛々しいものを見て痛みを感じてくれ」というタイプの作品でしんどかったです。
※ネタバレを含むクチコミです。
続編があるにせよ、主人公がまともにボクシングを始めるまでが長いったらない。5巻か6巻くらいまではほぼやってないんじゃないか。ただそこまでに一瞬も退屈しないので、大丈夫です。 これまでボクシング漫画をほとんど読んでない自分にも、このシュガーが王道からだいぶ外れてることはわかるけど、今後これを超えるボクシング漫画に出会える気がしない。そのくらい夢中になって読みました。 それで、あえてこの漫画の魅力をひとつ挙げるなら(本当はたっっっっっくさんあるけどキリがないので)、それは主人公・凛とボクシングジム会長・中尾の師弟関係。というと、きっと信頼し合ってて強い絆で結ばれてるんだろうなーと想像しがちですが、ぜんぜん違う。どう違うのかはもう読んでくださいとしか言えない。 これがKindle Unlimitedで全巻読めるなんてそんな素晴らしいことあるかね。あるんだから凄い…。
最後は投げっぱなしジャーマンに近い終わり方だったが まぁ人生ベストの漫画