本棚に追加
本棚から外す
読みたい
積読
読んでる
読んだ
この作品のお気に入り度は?
星をタップしてお気に入り度を入力しましょう
メモ(非公開)
完了する
海はとおくに満ちて往く

綴られる繊麗な感情 #1巻応援

海はとおくに満ちて往く 日々の杏
兎来栄寿
兎来栄寿

遥か彼方まで続く海やそこから寄せては返す波は、それ自体に意味はありません。しかし、人はそこに何かを感じ取ります。ある人にとっては何でもない風景・何でもない言葉が、誰かにとっては特別で掛け替えのないものであることもあります。 『世界にさよならのキスをして』の日々の杏さんがこの短編「海はとおくに満ちて往く」は、波打ち際で粒立つひとつひとつの泡が砂に染み込んでいくように、誰かの心の深いところに繊細に浸透していくであろうシーンやセリフが満ちています。 知らず知らずの内に、誰かが誰かを救って回っているこの世界の営み。その構造の断片だけにでも触れられたとき、愛しみを覚えずにはいられません。 鍵となるアイテムが、メッセージボトルというのも象徴的です。手紙というのは本来誰か特定の相手に想いを届けるものですが、ボトルメールはそれが届くかどうかもわからないし、誰に届くかもわからないし、いつ届くかもわからない。それでも、そのときそこに込められた確かな想いは存在する。そのときにしか込められなかったものが。 「自分が幸せになることを許せない」という想いを抱いたことのある人には、特に響くであろう作品です。

情報の提供お待ちしてます!
掲載している内容の誤りや、この著者に関するおすすめの記事、公式情報のリンクなどはこちらからお送りください。みなさまのご協力をお願い申し上げます。