hibi no anzanzu.boo.jp日々の 杏 / hibi no anz閉鎖的楽園、短髪の女の子、たばこと喫煙具、フキダシを描くのがすき。誰かの愛の話ばかり描く。●7jo COMICS(個人誌)
日々の 杏Twitter告知アカウント丨閉鎖的楽園と短髪女の子とたばことフキダシと誰かの愛の話丨 ▪10/25 新連載『そして発火する惑星』(Kiss)丨 ▪10/30 読切『海はとおくに満ちて往く』(FEEL FREE)丨 ▪『世界にさよならのキスをして』(完結)①②発売中丨 タイムライン未読、お返事不確定
遥か彼方まで続く海やそこから寄せては返す波は、それ自体に意味はありません。しかし、人はそこに何かを感じ取ります。ある人にとっては何でもない風景・何でもない言葉が、誰かにとっては特別で掛け替えのないものであることもあります。 『世界にさよならのキスをして』の日々の杏さんがこの短編「海はとおくに満ちて往く」は、波打ち際で粒立つひとつひとつの泡が砂に染み込んでいくように、誰かの心の深いところに繊細に浸透していくであろうシーンやセリフが満ちています。 知らず知らずの内に、誰かが誰かを救って回っているこの世界の営み。その構造の断片だけにでも触れられたとき、愛しみを覚えずにはいられません。 鍵となるアイテムが、メッセージボトルというのも象徴的です。手紙というのは本来誰か特定の相手に想いを届けるものですが、ボトルメールはそれが届くかどうかもわからないし、誰に届くかもわからないし、いつ届くかもわからない。それでも、そのときそこに込められた確かな想いは存在する。そのときにしか込められなかったものが。 「自分が幸せになることを許せない」という想いを抱いたことのある人には、特に響くであろう作品です。