「あなたたちは誰でも女の子になる可能性があります。」 この世界で、人類は最初はみな男として生まれる。そのうち身体が大きく育った人だけが次第に女性化! たくさんのかわいい男の子と恋愛したり、「女らしい頼りがい」を発揮することを、当然のように期待されることになる。これは、そんな世界で、思い通りにならない「身体」とか「モテ」とか「友情」とかに振り回されながら、なんとか自分らしくサバイブする女の子たちの物語。
【モーニング・ツー読み切り】これは、人類がみな最初は男の子として生まれ、やがて身体が大きく育った人だけが女の子へと変化する世界でのお話。 男子高校生の集と正文は、昔から仲のいい幼なじみ。男友達として、ずっと気の置けない関係を築いてきた。しかし高3の夏休み、集の身体に女性化の予兆が…。性別が変わっても自分達の仲の良さは変わらないはず。そう思っていた集だったが、思春期の欲や周りの視線に振り回され、二人の関係はどんどん変わっていってしまって…!?
【モーニング月例賞2021年7月期】佳作受賞作品
数日前から、新幹線の自由席で横に乗ってきた異性の話を巡ってネット上で大激論が巻き起こっています。 「男性は〜」「女性は〜」という主語で意見を述べている人に1度この作品を読んで欲しいなと思います。 本作は、人間が皆″男性″として生まれてきて、その中の1割が14〜20歳ごろを境に性転換して″女性″になり、声が低くなり乳房が大きくなり子宮が発達し男性器が縮小し筋肉・脂肪が増加していくという世界を描いています。社会は″女性″が主導していくもので、″男性″はそれを支える存在。 ただ、少しややこしいのですがこの作中での″男性″は現実世界の女性的な外見をしており、″女性″は男性的な外見で発達した乳房を持っています。 最後にあとがきで明示されているように、単なる男女の反転ではなくマーブルな状態を描いているのが特徴です。 この作品の中で、それぞれのキャラクターが語る性別ごとの役割の話や、「″女性″は」「″男性″は」という話や異性に対する態度は、読み手に応じてさまざまな感情を引き起こしてくれるであろうと思います。現実世界に照応してある人にとっては何も引っ掛からず、ある人にとってはこの上ないもやもやが生じるであろうことをつぶさに描いています。 男性だから、女性だから、″女性″だから、″男性″だから有利なこともあれば、不都合なこともある。ときにはそれに対して、過去から長い時間大量に蓄積したものも含めた不平不満を述べたくなることもあるのは否定し得ません。 ただ、筆者の御厨さんが ″性別や属性で人の中身ややるべきことをひとくくりにするのは、個人の理解をなまけたいがための単なる省エネモードのおこないだと思っています。 何かを集団でくくって語るとき、「今の自分は省エネモードになっている」という自覚はしていたいと思います″ と述べたあとがきにあるように、より本質的には個々人に依拠するものに対して意識せずに大きい主語で語ってしまいがちな状況はあると思います。 どういったものに対して自分の心はどういった動き方をするのか。その形を改めて把捉しておくのに、この作品はとても優れています。 何も個人としての意見を表出するなという気はまったくありませんが、省エネモードで雑な結論に結びつけて誰も幸せになれない不毛なやり取りに発展する前に、今一度立ち止まって一呼吸を置いて本作を読んでから、改めて熟考した後に言葉を紡いで発しても遅くはないでしょう。
タイトルってそういう意味か!とわりと序盤で分かります。 ジャンルは本当に分からないんですが、身体の成長や変化を怖がる一人の人間と、誰とでもヤル大らかな子のSFヒューマンドラマでしょうか。 単純な男女逆転でもなく、女性の見た目で性の役割が身体の大きさで分化したような、我々とは違う人類の全く新しい生殖の概念を突きつけてくる話で頭クラクラしました! これをこっちの立場の人間が言うのか、というような男女あるあるもあったりしてまた混乱して面白いです! https://comic-days.com/episode/3269754496472136685 人はまず「男」として生まれてきて、思春期を経て集団の中で体が大きい1割が「女」になるという世界観。 体が大きい方が子供を産むのに適しているから、というもっともな理論。 この話で出てくる「雄性先熟」の人類ってクマノミの生態なんですね。 すごい思考実験感あって面白いし、この話を読んだときに自分がどこに違和感や気持ち悪さを感じたり、共感できるかが炙り出されてきて、凝り固まったジェンダーバイアスをほぐしてくれそうだなって思いました。 そういう社会に波紋を投じるようなジェンダーに対する意図がどの程度あるのかは分かりませんが、少なくともその混乱を楽しんでほしいという意図はあったようです。 https://twitter.com/mikuriyaminoru/status/1438314019442479106?s=20 いろいろと考えさせられて単純に面白かったのと、すごい、という感想になりました。
数日前から、新幹線の自由席で横に乗ってきた異性の話を巡ってネット上で大激論が巻き起こっています。 「男性は〜」「女性は〜」という主語で意見を述べている人に1度この作品を読んで欲しいなと思います。 本作は、人間が皆″男性″として生まれてきて、その中の1割が14〜20歳ごろを境に性転換して″女性″になり、声が低くなり乳房が大きくなり子宮が発達し男性器が縮小し筋肉・脂肪が増加していくという世界を描いています。社会は″女性″が主導していくもので、″男性″はそれを支える存在。 ただ、少しややこしいのですがこの作中での″男性″は現実世界の女性的な外見をしており、″女性″は男性的な外見で発達した乳房を持っています。 最後にあとがきで明示されているように、単なる男女の反転ではなくマーブルな状態を描いているのが特徴です。 この作品の中で、それぞれのキャラクターが語る性別ごとの役割の話や、「″女性″は」「″男性″は」という話や異性に対する態度は、読み手に応じてさまざまな感情を引き起こしてくれるであろうと思います。現実世界に照応してある人にとっては何も引っ掛からず、ある人にとってはこの上ないもやもやが生じるであろうことをつぶさに描いています。 男性だから、女性だから、″女性″だから、″男性″だから有利なこともあれば、不都合なこともある。ときにはそれに対して、過去から長い時間大量に蓄積したものも含めた不平不満を述べたくなることもあるのは否定し得ません。 ただ、筆者の御厨さんが ″性別や属性で人の中身ややるべきことをひとくくりにするのは、個人の理解をなまけたいがための単なる省エネモードのおこないだと思っています。 何かを集団でくくって語るとき、「今の自分は省エネモードになっている」という自覚はしていたいと思います″ と述べたあとがきにあるように、より本質的には個々人に依拠するものに対して意識せずに大きい主語で語ってしまいがちな状況はあると思います。 どういったものに対して自分の心はどういった動き方をするのか。その形を改めて把捉しておくのに、この作品はとても優れています。 何も個人としての意見を表出するなという気はまったくありませんが、省エネモードで雑な結論に結びつけて誰も幸せになれない不毛なやり取りに発展する前に、今一度立ち止まって一呼吸を置いて本作を読んでから、改めて熟考した後に言葉を紡いで発しても遅くはないでしょう。