きれいなお姉さんは好きですか? なんてキャッチコピーありましたが、個人的に 強い女性は好きですか? のほうが、食い気味で反応しそうな私です。 きれいなお姉さんよりも、強い方が好きです。 『無限の住人』の乙橘槇絵しかり、『進撃の巨人』ミカサしかり、強い女性のほうが魅力的なんですよね。(二人共美人だろが!と言われればそうなんですけども!) なので、本作はタイトルからして俺得でした。 軍人、人外、令嬢、色々なバリエーションで肉体的・精神的に強い女性がでてきます。 基本1話完結形式で読みやすく、オチも予想外なものが多くて楽しめました。 そんな中で特に異彩を放ったのは『いつかティファニーで朝食を』のマキヒロチ先生のお話。 これまでの流れが、戦うとか信念のある女性が多く登場していたなかで、この話だけ、彼氏や職場の人間、誰に対しても自分の意見を言えない女性が主人公。一瞬、 これが強い女性なのか? と最初は面食らいましたが、よーく考えると、この我慢ができることも強さであるのかな?と考えてしまいました。 言いたいこと言いたいように言いまくるだけが強さではないんだと、言いたいことをグッとこらえる我慢も強さであるなら、この主人公もまた強い女性なんだと思いなおしました。 真意は不明ですが、自分はそうとらえました。 このような感じで女性の色んな角度の強さを描いた作品で、とても興味深く読めました。 同じテイストで2巻でて欲しい~。
世界は終わらないし、ぶっ壊して投げっぱなしにもならない。ただ西島先生のお子さんの歯並びが整えられていく世界線がある。 とても平和な小児期歯列矯正エッセイ漫画です。 子どものうちから歯列矯正させた方がいいよね、させてるとこの親御さんえらいわ〜お金もあるんやろな〜 的認識を改めました。 美醜にも健康にも関わることだからやった方がいいけど、お金以外にもいろいろ葛藤があるんだなあと。 歯が出てて舌たらずになっちゃってるのもかわいいじゃん!みたいな親バカ目線もあるのね。 全然違う話だけど、私は歯並び悪い人好きなのでわかる気がする。たしかにかわいい。 親でもないし歯列矯正したことない、ただ西島大介作品が好きなだけの私からすると、西島先生がちゃんとお父さんであることに感動を覚えました。この世界線はぶち壊しちゃだめなやつだ。
西島大介はとんでもなく悪いやつだ。なんとなく恐ろしくて意味があるのかないのかもわからないけれど、雰囲気だけだろと言い切る勇気すら奪うような作品を生み出すのだから絶対に悪いやつだ。 なんて、全部全部言いがかりだけども。 ある日、わたしの前にわたしの分身が現れる。恋人も家族も居場所もすべて奪われるけれど、わたしは一切取り乱したりしない。「ふざけんな」なんて絶対に言わない。 わたしは全てを赦しているから。 そこにあるものを受け入れること、赦すことは救いだと思っている。怒りなんて生産性のない感情を手放し、ただそこにあるものを見つめる。自分にとっても世界にとっても正しいことだと思っている。 この考えを手放すつもりはない。そうでなければ自分を保てないと思っている。 この広い世界のどこかで手放した自分が自分として生きていたらどうしよう。 飲み込んだ言葉が、切り捨てた感情が実態を持って生きていたら。殺した自分が生きていて、自分の目の前に現れたら。 そんなことある訳ない。 でも、作品中のわたしだってそんなことある訳ないと思っていたはずだ。 自分は自分である。誰にもわかってもらえなくても自分だけはわかっている。 曖昧にして唯一の揺るぎない真実だと思っていたことを、いとも簡単にぶち壊しにきた。ぶち壊して怖がらせるだけ怖がらせといて、最後の最後は電源をぶちんと切るみたいにぶん投げて終わる。こんな終わり方信じられない。本当に本当に西島大介は悪いやつだ。 でも赦す。
この世界を憂えているふりして、お前らとは違う世界の真実に気づいているんだなんて本気で思っていて、そんな自分が痛いことも知ってるけどかっこいいとも思ってる、みたいな人に刺さるやつ!そんなやついるかよ、って自分だよ。大人になっても厨二病のままだしそんな自分可愛いって思ってる。 3.11をモチーフにした作品がぶっ刺さるような時代がまたやって来た。3.11の傷も癒えてないうちに。 非日常を受け入れて見ないふりするのが得意な私達だから、放射能だろうとウイルスだろうと幽霊だろうと当たり前のように日常に馴染ませて一丁前にこわいねえなんて言って生きている。 その中で真実が見えているマコトとマナが出会うのは運命だし必然で。最高にキュートで痛くて愛おしい!!!!霊霊霊霊!!!! なすすべもなく絶望するだけなら主人公じゃなくてもできるけど、ちゃんと開眼して世界を救おうとしてくれるのが西島作品の少年少女たち。世界の果てで絶望しながら愛を育むボーイミーツガールだったら面白くない。 かっこよく立ち向かって、虚構とリアルが混ざり合ったところで、虚構すぎて虚構大爆発なラストシーン。 最初から本当の話なんてしてないってわかってるのに、憤りを覚えるほど気持ちよく終わってしまう。このハッピーな突き放し方がわたしは好きです。 こんなむちゃくちゃな世界で生きてるんだ、好き勝手想像して創造して、思い通り描き変えてしまえばいい。 デビュー作の凹村戦争から揺らがない、やけっぱちな世界のぶち壊し方が最高です。現代を生きる上で読んどいたほうがいい!!闘える!! マナはゲロを吐くシーンが多くて最高にかわいい。かわいい。
実際にあった戦争をテーマに掲げているものの、これは明らかに虚構の戦争。さながら天下一武道会。 案外、戦争はこういうものなのかもしれない。 死の恐怖と隣り合わせであることすら日常になって、人が死んだ次の瞬間には恋や娯楽に心奪われる。 ベトナム戦争は世界で初めてテレビでの生中継が行われた戦争だったはず。もはや戦争すら娯楽なのか?というくらいに人が死ぬ。 ポップでかわいい絵柄で人がわんさか死ぬので、現実味が薄れてしまう。でも、人の死に対して現実味が薄れていくこと自体が戦争の本来のヤバさのように思えて、気づくと心臓のあたりが重たくなってくる。 リアルに描いてないからこそ逆にリアルという、西島大介先生恐るべし。 戦争の最中で生きていたひとが実際にいるんだから戦争は日常でもあり娯楽でもあったんだろう。軽いノリで人が死ぬ。不条理だなあ。嫌だなあ。 悲劇悲劇していないぶん、読みやすいぶん知らず知らずのうちにダメージを負います。TRUEENDも読みます。
閉塞感を打ち破る何かが欲しい。火星人でも魔法でもなんでもいいから、ここをぶち壊してどこかに行きたい。 外界から隔離された凹村という小さな村。少年少女たちはどこにも行く場所がないと嘆いたり、ここが世界のすべてだと目を伏せていたり、閉塞感に包まれながらも平和な日常を過ごしている。 ある日、物体Xが落下する。 何も変わらないと思っていた世界に、非日常がやってきたらどうする? 宇宙人が侵略してきたら、窓からテロリストがやってきたら、異世界に転生したら。 平和すぎてつまらない日常を変えたくて、ありもしないことを夢想する。起こり得ないと思っているから、誰もが一度は通り過ぎる妄想。 本当に起こったら、どうする?逃げる? わたしは闘う?見て見ぬふりをする?撃ち落とす? 闘う妄想はしていても実際は体が動かないかもしれない。恐怖すら感じず、人ごとのように過ぎ去るのを待つかもしれない。 だって、そんなことあるわけないんだから。 凹村ほど閉ざされてないにしろ、何もない、絵に描いたようなくそド田舎で育った。 日常に疑問すら持たない周囲の人間に辟易しながら、カラオケとかセックスとかお手頃な娯楽を消費する青春を送っていた。 凹村みたいに閉ざされた空間で、インターネットだけが世界だと思っていた。 そんな青春から逃れていつの間にか大人になっていた。 ところで。 どこか新しい場所へたどり着けた? 物体Xが落下したらどうする? 火星人が侵略してきたらどうする? 西島大介先生が描いてみせた答えは、実にクールだ。 クライマックスの怒涛の畳み掛けがもの凄い。滅茶苦茶じゃねえか、投げっぱなしじゃねえかと思う人も少なからずいるのではないか。絶望的だと思う人もおそらくいるだろう。 わたしが見たのは希望だった。 確かな闘い方を、ひとつ教えてもらった。 この世界はつまらないしちっぽけだ、それなのに見えてない部分や知らない部分が多すぎる。何もないように生きることだって、難しい。最悪で滅茶苦茶で容赦のない世界で、わたしたちはは生きるしかないのだ。 ならば。この方法で闘おうじゃないか。 パルプンテなんて待ち望んでる暇があったら、読みましょう。そして、世界と闘おう。 最後まで読んだらきっと、闘えるはず。
世界の終わりの魔法使いⅢの原稿が魔法のように消えてしまったという事件のドキュメンタリー漫画。 トラブルをおもしろおかしく描いたものでもなければ、原稿を紛失してしまった出版社を告発するようなものでもない。 原稿紛失事故をきっかけに、漫画ってなんだろうという根源的な問い、消えたことによって新たに生み出されることとなったせかまほⅢ、ゆるやかな人と人との繋がり、それらすべてがどことなく世界の終わりの魔法使いとリンクしている。 失われたせかまほⅢは影の世界みたいにどこかで完璧に世界を繰り返しているのだろうか。それも読んでみたかったように思うけど、今読むことのできるせかまほⅢが好きだからこれでよかったのかな。 具体的な保証金額など生々しいお話も出てくるし、実際にはここに描かれた以上の悲しみや怒りがあったはず。それでもこの困難を乗り越えて世界の終わりの魔法使いⅢが出版されたことに感謝しかない。 魔法なんて信じないけど、サン・フェアリー・アンの愛の魔法なのかもしれない。プー。 これ読んだらとりあえず世界の終わりの魔法使い読みましょう。読む前でもよいです!!
壮大でちょっと残酷な愛の物語。ボーイミーツガールの究極。 戦争も世界の終わりもすべてが愛ゆえに引き起こされていて、でもそれを救うのは愛しかない。魔法や科学が悲しみや憎しみの道具になることもあれば、愛によって世界を救うために活躍することもある。すべては愛だ。 ポップで可愛らしい絵で短くまとめられているけれど、描かれている愛の物語はとっても長い。 「光の速さで2000年 魔法なら一瞬」 とは言え、何千年も愛し続けるって凄い。愛だね。
きれいなお姉さんは好きですか? なんてキャッチコピーありましたが、個人的に 強い女性は好きですか? のほうが、食い気味で反応しそうな私です。 きれいなお姉さんよりも、強い方が好きです。 『無限の住人』の乙橘槇絵しかり、『進撃の巨人』ミカサしかり、強い女性のほうが魅力的なんですよね。(二人共美人だろが!と言われればそうなんですけども!) なので、本作はタイトルからして俺得でした。 軍人、人外、令嬢、色々なバリエーションで肉体的・精神的に強い女性がでてきます。 基本1話完結形式で読みやすく、オチも予想外なものが多くて楽しめました。 そんな中で特に異彩を放ったのは『いつかティファニーで朝食を』のマキヒロチ先生のお話。 これまでの流れが、戦うとか信念のある女性が多く登場していたなかで、この話だけ、彼氏や職場の人間、誰に対しても自分の意見を言えない女性が主人公。一瞬、 これが強い女性なのか? と最初は面食らいましたが、よーく考えると、この我慢ができることも強さであるのかな?と考えてしまいました。 言いたいこと言いたいように言いまくるだけが強さではないんだと、言いたいことをグッとこらえる我慢も強さであるなら、この主人公もまた強い女性なんだと思いなおしました。 真意は不明ですが、自分はそうとらえました。 このような感じで女性の色んな角度の強さを描いた作品で、とても興味深く読めました。 同じテイストで2巻でて欲しい~。