根っこから強い人間なんていない。 何事にも動じない人、飄々としてる人、人生達観してる奴、 どんな人間もみんな腹には何かを抱えている。 読んでると苦しくて、気持ち悪くて、 でも読まないといけない気がして本を閉じられない。 目を背けてはいけないと思う。 戦争のニュースを見ている感じ。 岡崎京子の好きなところは、全部を逃げずに描き切るところ。 人間の汚いとこ、綺麗なとこ、全部まとめてこねていじってそれでもやっぱりキレイでしょ、と彼女は言う。 そこでああこの人は強い人だと思ってしまうけど、 いや強いだけの人にはこんな漫画書けないよな、とも思う。 読み終えたあと、自分の体に釘が刺さって一生抜けないような、そんな漫画をこの人は描く。 弱い私たちに、ありったけ残酷を突きつけた上で、 それでも生きようぜと、 生きた方がハッピーじゃんと声を張って叫ぶ。 これは私に必要な漫画だ。 誰にとってもきっと意味ある漫画だ。 全ての若者に岡崎京子を。
※ネタバレを含むクチコミです。
表紙の絵が気になり試し読み。スクロール2ページ目で中の大きさで裸体画が・・一瞬びっくりして閉じてしまいました。(笑)試し読みだけではあらすじの内容までは見られなかったので、もう少し読み進めてみようかな。
高校生の多感な時期に、こんなに盛沢山なことが合ったら、心が付いて行かないんじゃないかなぁ。 でも、その中に、日常があって、噂が噂をよんで大きなことになって、根も葉もないことでいじめになったり、相手のことをよく知らない表面的な付き合いで、仲良しなふりしたり、・・・。 『あたし達は、何かを隠すためにお喋りをしてた。何かを言わないですますためにえんえんと放課後お喋りをしていたのだ。』って、そうそうって思える。 大切なことは言わないで、TVや芸能人の事で盛り上がってた過去を思い出したりした。
週刊漫画アクションに掲載されたものの長いこと単行本化されていなかった作品だそうです。岡崎京子作品を全部読もうと思ってコツコツ読み進めているけど、今まで読んできた作品のどれとも違う印象を持った。暴力的な残酷さがないからかもしれない。かといって楽しい話な訳でもないのだが。漫画雑誌よりも文芸誌に掲載されたと言われた方がピンとくる感じがした。向田邦子っぽい。岡崎京子もこういうの描くんだな〜という新鮮さがあった。最後の著者紹介のところに「家族とのチャンネル争いを繰り広げながらも、笑いが絶えない。お肌の調子良好。健康良好。」と書いてあったのが微笑ましかった。
主人公の星山星子は空知くんのことが好き。何年も片思いしていて何回も告白してフラレ続けているがそれでも好き。しかし夏休みのある日に空知くんから電話で映画に誘われます。そして失恋で自暴自棄になった空知くんから「俺のペットになれ」と言われてしまいます。タイトル通り『私は貴兄のオモチャなの』というような展開になる訳ですが、ここに別の男達も加わって星子はかなりめちゃくちゃな目に合います。最終的に空知くんが星子に対して「酷いことをしてごめん」と謝って二人は別れるけど、星子は空知くんのことを嫌いにならなかったという話です。 岡崎京子先生の絵じゃなかったら読めないようなバイオレンスなシーンがあるし、あらすじにも「賛否両論の激しい反響を巻き起こした表題作」とありますが、私は好意的に受け取りました。岡崎京子作品は普通だったら犯罪や事件になるような出来事にキャラクター達がよく巻き込まれますが、ラストはおとぎばなしみたいに「めでたしめでたしチャンチャン♪」で終わるのが特徴ですね。『pink』では主人公のユミちゃんがスリルとサスペンスを得る為にワニを飼っていましたが、星子がどんな暴力も愛だと思えたのはそれが一番リアルだったからなのかもと思いました。
今時こんなこと言うと古いって怒られそうですが少女漫画って「女の子の恋と成長の物語」じゃないですか。最近は違うかもしれないけど往年のテーマはそうですよね?「ジオラマボーイ☆パノラマガール」を読んだ時に「あっ!これめっちゃ少女漫画じゃん!」と思いました。まず主人公が地味で冴えない女の子なんです。岡崎京子もこんな普通の女の子を描くんだってビックリしました。しかも偶然出会った男の子に一目惚れするんです。でも彼には他に好きな人がいるし、久しぶりに再会したら自分のこと覚えてないしで散々なんです。そっからとりあえずヤっちゃうのは全然少女漫画らしくないけど、ヤっちゃってなんとなく一緒にいたらお互い本当に好きになってた…なんてのはリアルな普通の女の子の話として本当にありそうじゃないですか。無理やりだけど「女の子の恋と成長の物語」として当てはまってると思いませんか?
主人公のるみ子ちゃんは中学一年生なんだけど、小学校の卒業式も二日酔いで出席したほどの酒飲みだし、おまけにヘビースモーカー。今の世の中じゃこんな設定はムリかな?でも岡崎京子だったらアリかな?とか、ついつい余計なこと考えながら読んじゃいました。熱心なファンじゃないし、偉そうなこと言うけど、もっと完成度の高い作品は他にもある。でも「幸せな家族ってなんだよ?」っていうメッセージが古臭くないから、今の時代に映像化しますって言われても様になるんだろうな。逆にそれめっちゃ観たい。中一女子が自分の家をラブホにして金稼いで自活しようとするドラマなんて…やっぱり怒られるかな…。
実写化女優が逮捕された後、近所の本屋さんで見て急に読みたくなった。実写と違い主人公のメンヘラ感が強く、より現実的で悲しい。女の子って誰しも必ずこういう一面を持っていて、社会上では取り繕ってるだけじゃないかと思う。
根っこから強い人間なんていない。 何事にも動じない人、飄々としてる人、人生達観してる奴、 どんな人間もみんな腹には何かを抱えている。 読んでると苦しくて、気持ち悪くて、 でも読まないといけない気がして本を閉じられない。 目を背けてはいけないと思う。 戦争のニュースを見ている感じ。 岡崎京子の好きなところは、全部を逃げずに描き切るところ。 人間の汚いとこ、綺麗なとこ、全部まとめてこねていじってそれでもやっぱりキレイでしょ、と彼女は言う。 そこでああこの人は強い人だと思ってしまうけど、 いや強いだけの人にはこんな漫画書けないよな、とも思う。 読み終えたあと、自分の体に釘が刺さって一生抜けないような、そんな漫画をこの人は描く。 弱い私たちに、ありったけ残酷を突きつけた上で、 それでも生きようぜと、 生きた方がハッピーじゃんと声を張って叫ぶ。 これは私に必要な漫画だ。 誰にとってもきっと意味ある漫画だ。 全ての若者に岡崎京子を。