すずめの学校

中学受験、子供と大人の感情 #1巻応援

すずめの学校
兎来栄寿
兎来栄寿
12ヶ月前

今までの今日マチ子さんの作品の中でも、個人的に特に刺さった作品です。 『セキ☆ララ中学受験 経験者だから描けた、ホントの中学受験&中高一貫校ライフ!』から10年と思うと月日の流れの早さに戦慄しますが、自身も中学受験を経験して中高一貫校に入学したという今日マチ子さんが改めて物語として描く中学受験。 小学校高学年の頃、私は受験とは無縁で近くの公立中学にのほほんと進学する予定でしたが、周囲の半数以上の同学年の子たちは受験戦争に駆り立てられていました。私が小学校1年生の時から最も仲の良かった親友は、某有名幼稚舎に落ちて公立にきた社長の息子で、せめて中学からはそこへと連日猛勉強で特に高学年になってからは遊ぶことが少なくなってしまいました。 この『すずめの学校』で描かれるのは、私立小4年生のめだかと公立小4年生のすずめ。そして、そのふたりを取り巻く親類や友人知人たちが織りなす中学受験にまつわる群像劇です。とりわけ、厳しい教育ママであるめだかの母親の様子を見ていると、自分の小学生時代を思い出さずにはいられませんでした。 日々、習い事や塾で忙しくしていた親友が疲れ果てていた時、習い事をサボって我が家で一緒にマンガを読みゲームをした日がありました。それが親友の母親に発覚した時、きっとめだかの母と同じような表情で同じようなことを考えていたんだろうなと今考えて思います。家の経済状況も違いすぎ、私の親の職業も合わせて心の中では嘲笑されていたかもしれません。 子供の人生を良くするためというのはもちろん一定の割合であるはずですが、世間の熱心な教育ママの裡には世間体や自尊心が大きな理由になっている人もおり、そういった大人の機微、今で言うマウント合戦のようなものが行われている様を私は子供心に醜く忌避したいものだと感じていました。 マンガもゲームも友達と遊ぶことも禁じられ、勉強して、いい大学に入って、いい会社に入ったり公務員になったりする。そこにちゃんと幸せがあればいいのですが、残念ながら受験戦争に明け暮れた友人たちが大きくなってから発露した歪みのようなものも複数目にしてきており複雑です。 ただ、それぞれの母親たちにも幼い頃からの人生があり、それに基づいた考え方になっていることも本作では丁寧に描かれます。憧れとコンプレックスという表裏一体の感情や、自分がした苦労や辛い思いを子供にはさせたくないというプリミティブな思い。子供たちも大人たちも、いろいろなものが綯い交ぜになって形作られている。そんなリアルさが、かつての自分の記憶を喚起して胸を刺してきます。 ただ、あとがきで今日マチ子さんは「しんどかったけど友達もできて楽しかった」「自分がのびのびとしていられるのが塾でした」と書かれており、少し救われる思いがしました。 あの頃、死ぬほど我慢を強いられて勉強に明け暮れていた友人たちが今幸せに暮らしていたらいいなと思います。

コッペくんとしんぱいいぬ

動物の言葉を通訳してくれるコッペくん♫

コッペくんとしんぱいいぬ
ぺそ
ぺそ
1年以上前

なんだかみたことある絵だなあと思ったら猫のおふくちゃんと同じ方でした✨動物と人間の通訳をしてくれるコッペくんのおかげで、動物たちがどんなこと考えているのかわかってほっこりします♫地味に3話の「(カフェ山奥という名前を見て)店の位置情報を店名にしちゃうのすごい」というコッペくんのコメントに笑っちゃいました。突っ込みが冴えてる〜!😂

喝! 男梅~ノーベル小学校のなかまたち~

男梅が主役のノーベル製菓アベンジャーズ

喝! 男梅~ノーベル小学校のなかまたち~
名無し
1年以上前

男梅の漫画と二度見してしまった。毎回扉絵で設定を説明してくれる映画コナンスタイルなのが親切。トドクロちゃんとはちのすけは知ってたけど怪人カメカメだけググってしまった。SOURSの宣伝キャラを亀梨くんがやってんだ・・・知らなかった。 2話でゴミ出し忘れてショック受ける男梅先生好き。子供向けの内容じゃねえ

めくり、めぐる

亡き親父と息子の確執。父と懇意の謎の少年

めくり、めぐる
たか
たか
12ヶ月前

古書店を営んでいた父との間に確執を抱えたまま父と死に別れた息子・樹。父の三回忌をバックレ店に飛び込んだ樹だったが、そこへ父のことを「柊平さん」と呼び親しい間柄だった様子の自分とそう歳は変わらない少年・土屋と出会う。 いや〜〜〜〜〜もうこんだけでお腹いっぱい!!!好きです……。父と息子の確執なんてなんぼあってもいいですからね。土屋が1話の中で何回「柊平さん」って言ったか数えたくなるくらい名前呼びすぎ。そんなことして樹のこと煽るなよな〜(ニッコリ) 土屋くんがエヴァのカヲルくんとか、ふたつのスピカの秋とか、スキローの志摩くんみたいな、ハンサムな見た目以上に内面から「特別な男の子」という印象を与えるタイプの男の子で否が応でもでも惹かれてしまう…! こんな自分好みの作品を見落としていたなんて忸怩たる思いです。来週単行本上下巻が出るようなので絶対買うしまた感想書きます! 【追記】 アマゾンで過去作を見てみたら、なんと『たゆたう種子』の作者の方でした!一般漫画なのに、雨に降られて男の子が上裸になるシーンがあってドキッとしたらそういうことだったんですね。気づかない人は気づかない、さりげないファンサービスだったとはありがとうございます!!!

ぼくの家族

再婚したら幸せになれると思った

ぼくの家族
ゆゆゆ
ゆゆゆ
1年以上前

一筋縄ではいかないようで。 最後の話だけ、広海視点になっている。 一人称が僕、性別は女、9歳。 タイトルとあらすじを考えると、彼女が主人公だったんだろう。 母がご飯を作らない宣言をしたシーンはとても好きだ。 互いに子連れ再婚して、お金は折半しているのに、家事は折半していない。 偏食の義娘、文句は言わないけど辛辣な感想を言う夫。 心が狭くなっていることを自覚して、ストレスを減らす方向に向かったんだなと思った。見習いたい。 子連れ再婚した夫妻の生活は、要所要所に、ドロドロしたものが覗き、それを覆い隠すように日常が続いていく。 描きたいことを描きつつ、一巻完結になるようにされたなら、突然の大団円に思えても仕方ないのかもしれない。 渦巻いたドロドロは横において、それぞれ幸せなこともあるよと分かったほうが、読んでいる方も後味が良いから。 とはいえ、漫画の端々から覗くドロドロは、嫌いではなかった。

ぼくは落ち着きがない

長嶋有(ブルボン小林)原作小説、同名小説の外伝マンガ #読切応援

ぼくは落ち着きがない
名無し
1年以上前

世間知らずなもので、長嶋有という作家が大江健三郎賞受や芥川賞を受賞していることも、別名がブルボン小林なことも(こっちの名前はちょっとだけ聞いたことある)知らず、衿沢世衣子先生の読み切りとして読みました。調べてみたらそもそも原作の装丁画を衿沢世衣子先生が担当されていました。 作中で女子高生がガラケーを使ってると思ったら、小説が連載されていたのは2000年代末で、当時の世界観のまま新規に外伝が描かれているようです。 図書部と文芸部と図書委員が図書室の中で繊細なパワーバランスを保っている学校のお話。 本作は図書委員派閥に属するの女子・能見さんの視点で描かれる全3話の読切で、彼女が主人公に選ばれたのは原作者が思い入れのあるキャラだったからとのこと。 全3話で能見さんがカウンター越しに見ている図書室での日常をランダムに切り取っていて、そのざっくばらんな感じが心地よかったです。 知らない学校の知らない子たちの繊細微妙な人間関係を完全なる部外者として覗き見してる感じが気楽で楽しくもあり、懐かしくもありました。

売王(バイキング)

売王(バイキング)の感想 #推しを3行で推す

売王(バイキング)
マンガトリツカレ男
マンガトリツカレ男
1年以上前

・読んだ直後に思ったこと ※一番大事!※ 表紙の感じやタイトルで邪道と同じピカレスクロマンかなと思ったらちょっといい話の内容だった ・特に好きなところは? 舞台は現代なのに主人公の爺さんの髪型が丁髷だったのと納得がいくようないかないようなラスト。土山しげる先生以外では読者を納得させることできないかな ・作品の応援や未読の方へオススメする一言! 数年に一度寝る前に読むと最高なマンガではあるのは間違いないと思います

SPUNK - スパンク! -

″好き″こそパワー! #1巻応援

SPUNK - スパンク! -
兎来栄寿
兎来栄寿
1年以上前

いま私は……『SPUNK - スパンク! 』が大好き!! この楽しいは譲らない!! 難しいことを平易に、子供でも解るように変換して伝えられることこそが真の賢さであるという風に言われることがあります。部分的には解らなくもありません。 しかし、世の中にはどう頑張っても単純化できない(あるいはすべきでない)複雑なものも存在します。それは、まさしく新井英樹作品のようなものです。 新井英樹さん待望の最新作『SPUNK - スパンク! 』を3行でまとめろと言われれば、まあできなくはないでしょう。あらすじに書かれている情報をまとめて呈することは可能です。しかし、本作は第1話だけでもあまりに膨大な情報量が詰まっています。3行まとめでは、そこに存在する数多の機微を欠いてしまうわけです。 主人公の栗田夏菜が、幼い頃から人形より怪獣やゾンビが好きで、男子と遊ぶのが好きだったこと。 絵やマンガやロックや映画が好きだったこと。 吉田戦車や岡崎京子の良さが解る中学生で、自分でもマンガを描いてたこと。 男子とばかり遊んでいたら、女子グループからイジメられたこと。それに対して、全校集会で校長と取引して大々的に反抗したこと。 自分と同じ白線の上を歩くのが好きな返り血塗れの女(彼氏を刺殺した直後)の「譲るなJK どんと行け人生こっからだ」という言葉が心に刻まれていること。その女は次の瞬間トラックに跳ねられ潰れ肉片となったこと。それを見て何故だか元気を貰って笑ったこと。 その夏にナンパして来た男とホテルで初体験を済ませたこと。その頃に酒・タバコ・薬も一通り通ってお金のために法律無視のバイトも色々とやったこと。 高校卒業後は映画を撮りたくなり専門学校に通い始めたこと。 その後、六本木のクラブでホステスとして働く中で暴力団の若頭に気に入られたこと。 その若頭が実はドMであり、そこから女王様としての道に開眼していったこと。 縦横無尽にS道を驀進する自分が大好きであること。 これでもかなり端折っており、実際の第1話ではより濃密な人生が詰め込まれています。ひとつひとつの表情や、手指の演技に明確な意志がたくさん込められています。この文章を読むより、1,2巻をまとめて買ってそれを読み通し味わって欲しいです。切に。 そうした複雑さこそ世界や人間の在り方や本質に迫り相似している部分でもあります。人は往々にしてシンプルで解りやすい答えや飲み込みやすいものを欲します。しかしながら、こうした複雑で咀嚼も嚥下もし難いものと全力で格闘し、自分のものにしていく時間は人生において非常に大切であろうと思います。 『SPUNK - スパンク!』1話が世に出たときのキャッチフレーズ、「『好き』をナメるな」という言葉が私は心底大好きです。 人間の好きという気持ちから発せられるエネルギーを信じているから。 自分自身も、好きだけを突き詰めて生きてきたから。 他者の好きを突き詰め煮詰めたものが、大好きだから。 嫌いが生むものより、好きが生むものの方が強くて素晴らしいことが圧倒的に多いから。 わざわざ嫌いなものに自分から近付いていって誰も(自分も)幸せにしないことに貴重な人生の時間を費やすより、自分の好きな対象を愛することに1秒でも多く使った方が皆幸せになるのに、と常々思っています。故に、この作品の主人公・夏菜の自分の感情にとことん素直で好きを貪欲に突き詰める生き方は大変痛快で大好きです。 そして、本作の鍵となる人物は夏菜と対照的な冬実。SMバーの面接に行ったところで「私ごときが」と、入門を躊躇している彼女。名前の字面からして夏と冬で、性格的にもイメージそのままで奔放な夏菜に対して真面目で大人しく抑圧的な冬実は、夏菜から見ても理解しがたくつまらない存在です。しかし、常連客のひとりは冬実の潜在能力を感じ取っており、冬実の変化と共に物語はドライヴ感を増して疾走していきます。疾走感マシマシのパートの一連のセリフは、声に出して読みたくなる魅力があります。そして、読んでいるだけで新しい扉が開けるようなパワーが宿されています。 「SMも人生も笑いである」 「切実と滑稽の世界へようこそ」 酸いも甘いも散々噛み分けた先にある人の生の境地が、ここにはあります。SMバーを訪れる客たちも、それぞれ物語の主人公になれるような人生を背負っています。普通なら悲劇と呼ばれる話であっても、笑い話として笑い飛ばし蹴り飛ばす。そんな力強さと優しさに満ち溢れていて、読むとSPUNKを与えられます。 普通のマンガの主要人物たちには幸せになって欲しいなと思うことが多いのですが、彼女たちに関してはもう幸も不幸もすべて人生の一部であり等価値で何が起こってもいいし、どっちでも面白いと思えます。ただただ、見ていたい。何とも不思議な読み心地です。 雑誌で読んでいても十分面白いのですが、『SPUNK - スパンク!』は単行本になってこの世界だけに集中・没入して読むのが最も楽しめるなと感じました。1,2巻が同時発売となった理由も、よく解ります。2冊まとめて買って一気に読むことを強く推奨します。続きが気になった方は、新発売のビーム最新号で続きを読むこともできます。 『ザ・ワールド・イズ・マイン』、『なぎさにて』、『SCATTER あなたがここにいてほしい』、『ひとのこ』など超大な物語を経てこの個々人の物語に辿り着いているその意味も、読むことで言葉でなく心で伝わることでしょう。

一勝千金

革命を叫ぶ闘姫に滾れ! #1巻応援

一勝千金
兎来栄寿
兎来栄寿
14日前

サンドロビッチ・ヤバ子さんとMAAMさんの『ダンベル何キロ持てる?』コンビによる新連載。 『ケンガンアシュラ』がアニメシーズン2配信と共に期間限定無料公開で盛り上がっていますが、その「ケンガンアシュラ』や続編である『ケンガンオメガ』、『ダンベル』とも世界観を共有している作品です。それらの作品を読んできた方であればニヤリとできる点があり、今後もたくさんのファンサービスがされていくことが期待されます。 内容としても、完全に女の子版『ケンガンアシュラ』。ネームもオノマトペもフォントもストーリーも全部ケンガンの魂が宿っています。 ひとつ、特色としては本作最強にして最狂にして最凶のヒロインである革命姫・本郷姫奈の底知れぬヤバさ。他の精強な女戦士たちがゴラクやヤングキングにいそうな顔だとすれば、姫奈はきららから飛び出してきたようなヴィジュアルでお嬢様学校に通う女子高生。しかし、かわいい外見とは裏腹に国家転覆を企てたこともあるというあまりにもヤバ過ぎるエピソードを持ち「日本一危険な女子高生」と呼ばれています。頭脳も明晰で、何よりも戦闘狂。彼女の深淵の謎に迫っていくサスペンス性も本作の見どころのひとつです。 決め台詞の 「革命のッッ 時間だよーーーッッッ⭐︎」 は声に出して叫びたくなります。 姫奈を登用して裏闘技興業「戦乙女(ヴァルキュリア)」を行う三羽烏の天馬希望、美谷はな、伊織いちかや、彼女たちが呼んでくる戦士たちも一様にキャラが立っていて魅力的です。瀬名姉妹も良い敵キャラで今後関林のような立ち位置になってくれないかなと期待しています。 MAAMさんの高い画力で描かれるバトルシーンの迫力と疾走感も堪らず、頭を空っぽにしてシンプルにのめり込めます。 革命デュアリズムや輪舞-revolutionを聴きながら読むとキマる作品です。

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