長い道

すずさん、道さん

長い道
影絵が趣味
影絵が趣味
1年以上前

映画化大ヒットの『この世界の片隅に』や『夕凪の街・桜の国』などの広島を舞台にした連作で名高いこうの史代ですが、今回紹介するのはそんな彼女の初期の作品である『長い道』です。 舞台は戦時でも広島でもなく、業田良家の『自虐の詩』にも似たちょっとダメな感じの新婚夫婦を短編連作形式で描いているのですが、至る所に後の広島連作に通ずるモチーフやエッセンスが出てくる出てくる。『長い道』はこうの史代の原石の宝庫と言っても過言ではないかもしれません。 スターシステムを採用しているので『この世界の片隅に』のすずさんと、『長い道』の道さんは同じ顔なのですが、二人の共通点は顔だけでなく、それぞれの世界の捉え方、ここにもひとつあると思います。すずさんや道さんの目からはいったいどのように"この世界"がみえているのでしょうか。 なぜ、こうの史代がすずさんや道さんのような人物を主人公に選ぶのか、そこには彼女が座右の銘にしているというアンドレ・ジッドの言葉「私はいつも真の名誉を隠し持つ人間を書きたいと思っている」に深い関係がありそうです。こうの史代の世界にやられてしまった人はジッドの代表作のひとつ『田園交響楽』もおすすめです。

クロノマギア∞の歯車

河本ほむららしさ全開の学園バトル

クロノマギア∞の歯車
mampuku
mampuku
1年以上前

「賭ケグルイ」の河本ほむら先生と「電波教師」の東毅先生の豪華タッグによりガンホーのDCGがコミカライズ。……というか少し前にクロノマギアの漫画やってなかったっけ?仕切り直し? それはさておき、河本先生また似たような話書かされてて草生えますね。カードの強さで校内ヒエラルキーが決まっていて、一定以下の負け犬は「豚」って呼ばれちゃうみたいです。主人公の悪だくみっぷりや、逆転のカタルシス解放、高慢な美少女が敗北して晒す醜態というギャップ萌え、などはさすがの河本節。 ただ未プレイ勢としては、カードバトルの面白さは今のところあまり伝わってこないので、そこは今後期待したいです。

ナイト・ワーカー

初めて知った世界観

ナイト・ワーカー
かしこ
かしこ
1年以上前

気に入った女の子を故意に自分の恋人達と一夜を共にさせ、性的に開けていく様を嬉々として観察するミステリアスな女。この普通じゃない女に惹かれていく女の子。不思議な設定だけど読んでいて違和感がないし、まったく下品じゃない。むしろこの世界観にどんどん飲まれていく。女同士でしか得られない快楽のムードなのかな?タイトルにもなってる短編は幼い頃に性的虐待を受けていた女性のお話。あまりにも辛い経験をしていると素直に泣きも怒りも出来ない。誰にも言えない秘密みたいなことが漫画になってて感嘆しました。

トゥー・エスプレッソ

運命を変えてくれた美女を探しに

トゥー・エスプレッソ
かしこ
かしこ
1年以上前

スランプで描けなくなったフランス人漫画家が、作家としてデビューするきっかけをくれたゆきずりの日本人女性を探しに、数十年の時を経て彼女の暮らす街にやってくる。再び人生に迷った彼は別れ際に手渡されたメモをヒントに何もない田舎を探し回るが、かつて幸運をくれた彼女を見つけ出すことができるのだろうかー、というお話。 煮詰まってる現状から抜け出したいなら、この漫画の主人公のように自分の人生の転機をなぞる旅をしてみると気も晴れるかもしれない。 人生の機微をどうしてこんなにユーモラスかつ情感豊かに描けるんだろうか!一本の映画と同じくらいの熱量がある。どちらが優れているという話ではありません。でも、高浜先生の作品は漫画の枠だけじゃ語れないと常々思ってるんです。

ダルちゃん

作中の詩がいい

ダルちゃん
かしこ
かしこ
1年以上前

作中に主人公のダルちゃんが作ったとして詩が出てくる。著名な詩人の作品を引用するのではなくモノローグでもなく本当に詩。この詩がすご〜〜〜〜〜〜く良かった。ずっと世の中に生きづらさを抱えていたダルちゃんが詩と出会って自分で書き始めてようやく自分の幸せのあり方を見つけていくので、ここに少しでもうそがあると作品全体がだめになってしまうんだけど、本当に生身の人間から出てきた言葉だったから心揺さぶられてしまった。読んでいてダルちゃん幸せになってと応援したくなるんじゃなくて、ダルちゃんは自分の力で自分の為に幸せになるんだと思った。この詩は作者のはるな檸檬さんが作られたもので間違いないだろうけど、ギャグがメインの漫画家さんだと認識していたのでびっくりした。まったく知らない作家さんの新しい才能をみたような気分。

TIEMPO―ティエンポ―

分析系主人公による、新しいサッカー漫画

TIEMPO―ティエンポ―
にわか
にわか
1年以上前

弱虫の主人公が徹底的に自分や他人を分析して、サッカーを上達していく漫画。 徹底的に分析して、上達する主人公といえば「ベイビーステップ」を思わせるが、サッカーは集団戦。スポーツの特色の差により、意識せずに別の物語として楽しめる。 「TIENPO-ティエンポ-」というタイトルからも、仲間との連携に必要なTIENPO=タイミングが重要と分かる。その連携を取る仲間は一癖二癖ある。特に絶対的なサッカーセンスを持つ自己中の朝美はキャラはすでによく立っていて、面白い。弱虫な主人公だからこそ他人との関わり方、サッカーの連携に色が出る。今後が楽しみな新しいサッカー漫画。

インベスターZ

目からウロコ落ちまくりマンガ!

インベスターZ
kayoko
1年以上前

「ドラゴン桜」にハマって、「エンゼルバンク」で社会を知り目からウロコ!! お金の「知らなかった」がコレでまたウロコおちまくりでした。 まだ全部読み終わってないので楽しみ。 いつもアプリの無料マンガで読んでましたが、堪えきれなくなってリアル本で一気に読んだんですが、スマホより大きいし、絵がしっかり見られてよかったです!

こちらから入れましょうか?…アレを

そ、そっちのことかー

こちらから入れましょうか?…アレを
名無し
1年以上前

セックスレスにもいろいろあって、この作品で扱うセックスレスは男性側の問題。 しかも本当はしたいけど、いろいろあって精神的に勃たないという状況。 ゆえに、セックス自体には肯定的という部分がみそで、申し訳なさもあってか嫁からの一足飛びの提案を許容してしまうという部分が面白い。 全然、ほんと全く拒否らない。少し引きながらも、わりとすんなり受け入れる。 そして嫁のアグレッシブさ。 正直、興味津々な内容だ。 そっちで出来てしまったからこそ、本来の形ではこれからどうなってしまうのか。 コミカルに描いてはいるが、あくまでこの形は本来の形でできない状況での代替品でしかなく、呼び水にするためのものとして始まっている。 しかし、世の中には様々な性的嗜好は溢れかえっているので、むしろこれこそが最高で元には戻れない人もいるだろう。 男性側がそこに情けなさを感じてしまい、より不能なドツボに嵌ってしまうこともあるかもしれない。 どう転んでいくのか、今後の展開が楽しみだ。

シチハゴジュウロク

シチハは犠牲になったのだ。古くから続く因縁…その犠牲にな

シチハゴジュウロク
mampuku
mampuku
1年以上前

 学園サスペンス兼ラブコメ。一族の呪われた力を受け継ぐヒロイン"しちは"と出会い、そこから凄惨な事件へと巻き込まれていくこととなる少年ゴローが主人公は、協力して「身代わりの呪い」を乗り越えていくことになる。 以下が大まかな流れ 1 主人公ゴロー何者かに殺される→ 2 ヒロインしちは身代わりになって死ぬ→ 3 ゴロー犯人を暴く→ 4 しちはが生き返って代わりに犯人が死ぬ 5 1~4を7回繰り返す  システム的に無駄が多いなぁという印象と、よくできてるなぁと感心するのとが同居しているのが正直な感想。  殺されたゴローの身代わりになるために常時つきまとい、必然、凶行も目撃しているわけだから2~3のプロセスは遠回りでしかなく、ルール上仕方がないとは言えヒロインが無駄死にしている感がゼロとは言えない。  逆に少年漫画の面白さをよく引き出しているなという意味でよくできていると感心した。身代わりで死んだしちはを見捨てれば、その後何度も殺される恐怖から逃れられる。しかし主人公は「女の子を助けたい」と自らを奮い立たせ、死の恐怖に立ち向かう選択をする。そして彼は彼女を助けるために謎解きに奔走する。  元はといえばゴローは完全に巻き込まれた側なので、命を賭してまでしちはを救う義理はないのだが、「スケベ心」というよりは「女の子と仲良くなりたい」という自信の信念そのものに殉じている節がある。その点「彼女、お借りします」の主人公よりは見ていて気持ちのいい奴ではある。  もうひとつこの作品の重要な魅力の一つとして、絵の魅力度の高さ、ヒロインの可愛さを挙げておきたい。マガジンで始まっては消えていくサスペンス系作品には無かった武器だが、仮に人気振るわず打ち切られてしまったとしても、画力を活かした次回作、次々回作でヒットを生み出す可能性を強く感じる(「煉獄のカルマ」を打ち切られた数年後「五等分の花嫁」で大ヒットした春場ねぎ先生のように)。

冥婚の契

実在する風習が元ネタのホラー

冥婚の契
かしこ
かしこ
1年以上前

未婚で死んだ子供と架空の人物との結婚式の様子を絵馬に描いて神社に奉納すれば供養になるが、生きている人間を描けば死者に連れて逝かれるという風習が山形県に実在した(する?)んですけど、それが元ネタになってます。このマンガでは教師である主人公が痴漢冤罪で縁もゆかりもない冥婚絵馬の風習がある地方に飛ばされて、何者かに婿として絵馬に描かれてしまう。白無垢姿の女の亡霊から襲われる夢にうなされ、冤罪で勘当された実家は全焼、裏切り者の和尚は殺され、不気味な少女が「お前は禍(わざわい)だ」と言う。この世のモノじゃない何かも出てくるホラーなのですが、主人公を絵馬に描いたのは誰なのか?何故なのか?あの少女は一体?などの謎も気になります。

少女少年

人生に最も大きな影響を与えた作品の一つ

少女少年
たか
たか
1年以上前

表紙見て? メッッッチャかわいいでしょ!!?! これね!! 男の子!!!! 7巻全員、表紙の女の子は男の子!!!!! 今は亡き『学年誌』で連載していた、やぶうち優先生の「少女少年」。全7巻で「小学生の男の子が美少女として芸能界デビューする」という筋書きが統一されており、巻ごとに違う少年が主人公になる。またその中で、芸能事務所の村崎さんだけは、藤子不二雄作品のラーメン大好き小池さん的存在として登場するのがにくい。 当時わたしが学年誌で読んでいたのは第6巻のNOZOMI編。ツインテールで花の髪飾りで裏ピース(死語)って!! はぁ〜〜ッかわいい...!! 「かわいい女の子(※男の子)」 「かわいいファッション」 「憧れの芸能界」 という、女児が好きなもの全部載せのハイパーつよつよマンガ最高です!!

don’t like this

女の子が釣りを始める話なんだけど

don’t like this
かしこ
かしこ
1年以上前

メタモルフォーゼの縁側の作者が描いたマンガ。2巻と一緒に書店に並んでたのに、何となくスルーしてしまっていた私はバカだった。めっちゃ面白いです。ひとことで言えば女の子が釣りをするマンガなんだけど、決してそれだけじゃない。この子がどんな家に住んで、仕事をして、人と出会って、という人の営みをないがしろにせず描いてるのがいい。そこのリアリティーがこの作者さんは群を抜いてすごい。メタモルフォーゼの縁側を読んでる方はこちらも必読だと思います。タイトルが「don’t like」だけど、主人公は嫌いなものを拒否するのではなく、いつの間にか受け入れて自分の世界にできている。どうにかしようとしちゃダメなとこは釣りの感覚と似てる気がする。ほぼやったことないけど。

とめはねっ! 鈴里高校書道部

お習字ではない「書道」の世界

とめはねっ! 鈴里高校書道部
たか
たか
1年以上前

主人公の設定が、「ガチャピンみたいな顔した大人しいカナダ育ちの帰国子女」ってそれだけでもう面白い。絵に描いたような文系少年と、柔道全国レベルの体育会系少女が出会う王道のボーイ・ミーツ・ガールが、書道というテーマがあることでいっそう面白みが増している。舞台が鎌倉なのも洒落てる。 「書道って読めないし、昔の詩を書いてるし難しそう…」と尻込みしてしまうが、海外育ちで全く書道の知識がない縁(ゆかり)が主人公のおかげで、初歩からすんなりと楽しみながら学ぶことができるのがいい! お習字の先にある書道という世界を垣間見たいなら読むべし!

粋奥

寡黙で粋な奥さん

粋奥
ひさぴよ
ひさぴよ
1年以上前

『G戦場ヘヴンズドア』連載終了後に月刊IKKIにて掲載された短編で、スーパーヒーローのような奥さんが活躍する話。 寡黙に淡々と家事・掃除をこなし、日常で巻き起こるトラブルを颯爽と片付けていく様にシビれます。作中ではほとんど何も語らない奥さんですが、その行動やしぐさだけで、夫や周囲の人への深い愛情がとてもよく伝わり、G戦場や少女ファイトのような力強いメッセージとはまた別のやさしさに満ちた作品になっています。後半には「日本橋メソッド」なる創作過程を丁寧に解説したコーナーが載っていて、漫画志望者にとって参考になると同時に、日本橋ヨヲコ先生の創作技法を知りたい方も必見の内容です。

もっとみる