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銀のくに

雪国に降り積むあたたかな想い #1巻応援

銀のくに はやしわか
兎来栄寿
兎来栄寿

はやしわかさんについては以前に『変声』の際に書きましたが、その表題作「変声」を含んだ短編集が新たに『変声』として発売になると同時に、こちらの『銀のくに』と同時発売となりました。 新潟の外れにある雨生町を舞台にした、雪国のヒューマンドラマです。 通学にバス45分+電車で20分かかる学校に通う高校1年生の五十嵐風花の家に、体を悪くした伯父の息子で同じ高1の賢心と、小3の娘のゆき枝が神奈川から突然やってきてしばらく同居していくことになります。 思春期の少年少女にとっては、どちらの立場からしても大きな戸惑いが生じるできごとでしょう。最初はお互いにぎくしゃくしていますが、さまざまなできごとを通して少しずつ、雪がとけるような速度で歩み寄っていきます。 それは、何も風花と賢心の間のだけの話ではなく、環境の変化への不安から涙をこらえられないゆき枝と、一見すると偏屈に見える風花の祖父もそうです。自分も、小3のころにあった大きな環境の変化に上手く順応できずゆき枝のように心細い想いをしたなぁと懐かしい思い出が蘇りました。一方で、祖父の方としても折り合いがつこなかった息子の方の孫ということで、接し方が難しいのも大人になると解ります。 どうしたって、初めは潤滑にはいかない関係。社会にはざらにありますが、そこで何とか互いに歩み寄っていくことで世界は開けます。そんな様態を、いじましく尊い努力を上手く描いている作品です。 また、雪国での生活のさまざまな困難が克明に描写され、10cm雪が積もったらニュースになる東京や神奈川との違いを感じさせます。一方で、そういう風土であるからこそ受け継がれてきた伝統料理の「のっぺ」のような存在もあり、美味しそうで食べてみたくなりました。 年頃なので、当然同級生たちを含めて恋愛方面の話も出てくるわけで、そうした部分における展開もどうなっていくのか気になります。 読んでいて凍えるような銀色の世界で営まれる生活がまずベースにあり、その上で絡まり合って動いていく人間模様。雪国育ちの人は共感を覚えるところも多いと思いますし、そうでないところで育った人も楽しめる物語です。

ダイヤモンドの功罪

最新話で綾瀬川が覚醒したぞ!!

ダイヤモンドの功罪
かしこ
かしこ

最新話でついに!綾が覚醒をしましたね!エヴァで言うところの覚醒と同じ意味なので心配ではありますが、これから益々タイトル通りの「功罪」っぷりを発揮してくれることでしょう。 ということで単行本を読み返してみました。運動神経だけではなく、身体能力、そして頭脳と、スポーツをする為の全てに恵まれた小学5年生の綾瀬川。U12の日本代表でもエースに選ばれ、他の代表選手からも「俺の世代にはずっとコイツがいるんだ…」と恐れられる程の逸材っぷり。しかし綾瀬川の本心は只々みんなと楽しく野球がしたいだけ。そう、綾本人も自分の才能に傷ついているのです。でも誰もそれを知らない。いてもイガくらいかな? 私は野球に関して全くの無知なんですがそれでもハマるのは、これが「才能」の話だから。やはり圧倒的な才能は人を翻弄するんですよ!!恐ろしやです。 日本代表の並木監督があのまま綾の面倒を見てくれたらよかったけど、このまま足立フェニックスで限界まで投げ続けたらプロになる前に選手生命が絶たれそうで心配ですね。ストーリーの冒頭で何回か高校球児になった綾が出てくるけど「この試合で壊れてもいい…!」と言ってたのが気になる。それがどういう意味なのか。やけっぱちなんだろうか。今のところ理解者になりそうな人が大和しかいないけど、東京と大阪で距離もあるし、大和もプレイヤーになりたそうだし、どうなっちゃうんだろう…。 将来は大谷さんのようになってくれたらいいのにな〜と思うのも綾にとっては大きなお世話なんだよね。とにかくハッピーエンドであってくれ!!と願いながら読んでます。

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