弁護士れいな先生の百面相が素敵
ものすごくにこやかな表情から、通常モード、セリフと相まって自身の心の闇を見せる表情、少し昔のハードボイルド漫画のような男前っぷり。 れいな先生がとても良いキャラクター。 強そうなのに、「ご自身を一番大事にしてくださいね」という気持ちも分かる。 しかし、ものすごく短いタイトルであっても、作品の内容がちゃんと表現されていたのに、ちゃんと理解しきれなかったのは、昨今の長いタイトルに慣れきった弊害だろうか。 ギャルで弁当でなくギャルで弁護士だし、ギャルなのに弁護士っていうおふざけ系かと思いきやサスペンスだし、コミックス表紙は怖い話のような様相だし、実際(人間が一番怖い的な)アングラな怖い話だし。 なんだこの作品は。すごいぞ。 初連載でこんな勢い、すごいぞ。 第一話は常に無料公開とあったので、興味を持たれた方は第一話だけでもぜひご一読を。 こういうアングラな作品を描かれる方っていうのは、どういう取材や生活をされていて、ストーリーを思いつくんでしょう。知りたいような、知りたくないような。
近年は「トー横界隈」が何かと話題になることも多い歌舞伎町。2023年4月には新たなシンボルである東急歌舞伎町タワーが開業し、さまざまなマンガにもその姿が描かれ始めています。
歌舞伎町が舞台の本作でもしっかりと描かれていたのを見たときには、「マンガは時代を映す」という某氏の言葉を思い出しました。
本作の主人公は彼方総合法律事務所で働く、中卒のギャル弁護士れいな。「ギャル弁」はギャルの弁当ではなく、ギャルの弁護士です。彼女が歌舞伎町のアンダーグラウンドを駆け巡り、ちょっと変わった報酬をもらいながらさまざまな事件に関わっていくストーリーとなっています。
第一話から『闇金ウシジマくん』ばりのテンションでアングラの怖さ、痛々しい行為が描かれます。作者のヨウイチさんは新鋭ですが、絵に非常に迫力があります。れいながかわいいだけではなく、この世界で渡り合っていくだけのモノをもっていることを表情で描いているのが良きです。
いろいろな事情を抱えてはいるのですが、れいなは弱きを助ける側。お金の代わりに「捨てるに捨てられない思い出の品物」を報酬としてもらうプロボノ活動をする弁護士という変わった立ち位置にいる人物で、その特殊性だけでも面白いです。
弁護士の監修も受けながら描いていることで、法律周りの部分も精密で知識を得ながら楽しむことができます。近年に実際にある犯罪の手口も描かれていますが、悪用はダメ、絶対。
1巻にはトー横界隈の女の子を助けるお話も登場。パパ活など、まさに今の世相を反映しながらもその中で見せてくれるドラマが王道ながら良いです。庄屋や柏木など脇役も魅力的で、特にれいなと庄屋の関係性は好きです。
しっかりとツボを押さえた作りがなされており、今後も楽しみです。