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龍とカメレオン

王道と覇道が激突する漫画道 #1巻応援

龍とカメレオン 石山諒
兎来栄寿
兎来栄寿

4月の激推し作品の1つです。 「超絶怒涛 バッチバチの漫画道!!」 という1話最後のナレーションがこの作品の本質で、その言葉通りに毎回滾らせてくれる熱い漫画家ストーリーです。 主人公は世界1億5000万部の超人気作家・花神臥龍。現実で言えば『ワンピース』の尾田栄一郎さんでしょう。そんな臥竜が、誰の画風も完コピしてしまう「カメレオン」の異名を持つアシスタント深山忍と体が入れ替わってしまい、自身の地位や功績を乗っ取られてしまうところから物語は始まります。 カメレオンは「変色竜」とも書きます。紛い物の竜であっても、やがて本物の竜となり竜vs龍の対決が描かれていきます。 『聖闘士星矢』の老師曰く、「亢竜悔いあり」。昇り詰めてしまった龍はそれ以上高みへ至ることはできず、後は落ちるのみ。臥竜は高みへ達してはいても、ある意味では執筆している大ヒット作やその責任に縛られており、その先はある種そこまでの成功の延長線上、既定路線とも言える状況でした。 ところが、「よわくてニューゲーム」のような状態でまたLV1からのリスタートを求められる状況となり、逆に「自分の最高のヒット作を超える」、「そのために今まで以上に成長する」という新たな目標が生まれたことにより臥竜は燃え盛ります。その熱さがたっぷりと伝わってきて、シンプルに「面白い!」と思える作品です。 ライバルキャラクターである深山の底知れない不気味さも魅力的で、キャラが物語を駆動させている疾走感があります。 個人的に1巻で特に好きなのは、第3話「作者のあんたが」でアシスタントに出向するシーン。 既に打ち切りが決まってしまって、「こんな漫画に」と自作を卑下する作家に対して、どんな漫画ではあってもアンケートで他の作品より面白いと言ってくれている読者がいるはずだ、それなのに「作者のあんたが」そんなことを言っちゃいけねえと臥竜が熱く諭すところはグッときます。その後の担当編集者の言動も併せて、熱さで泣ける良いお話です。 『ONE PIECE episode A』にも携わった石山さんだからこそ、よりリアルに描ける部分もあるかもしれません。強く応援していきたい作品であり、作者です(この内容をアシスタント無しで描かれているということで、お体は大事にして頂ければと思います)。

不揃いの連理

タイトルから見る"伴侶"の形

不揃いの連理
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

ここではタイトル『不揃いの連理』の語義と内容をリンクさせながら、(6巻までで)四組の女性ペアの関係を追う本作の魅力を書いてみたいと思います。 「連理木(れんりぼく・れんりぎ)」というのは、隣りあった木々の接触した枝や幹が一つにくっつき、木目まで混ざり合った状態のこと。そこから「連理」という言葉は二人の深い契りを表すのだそうです。 幸せな予感のある「連理」という言葉。では「不揃いの」という言葉はどうでしょう? 登場するペアは、いずれも全然タイプの違う二人。そしてどちらか片方、もしくは両方とも「ダメな人」だったりもします。 まっとうな会社員×元不良は見た目に反して、ダメなのは会社員の方。いかにも悪そうな人と優等生のJKコンビは、優等生が意外と暴力的etc……。でもそんな二人が何故か寄り添う。 ではそこにどんな心があるのか。 ある人に惹かれる理由を、言葉で言い表すのは難しい。でも、なぜある人の側にいるかは、理由を言える場合もある。 この作品でそれが分かりやすいのは、ダメな漫画家に接する生真面目な編集者。彼女は恋愛的惹かれの他に、ダメな漫画家を支える動機としての「ある気持ち」を持っている。そして同じようなものは、他の三組にも見て取れる。「ある気持ち」はおそらく頼りない人に対する普遍的な心情なので、納得する人は多いと思います。 「ある気持ち」で支え合い、接するうち、彼女たちはいつのまにか離れ難くなっていく。そこには理屈ではなく、もはや必然として一つになった連理木が生まれている。 伴侶って、こういうことだよな……大きな安心感とエモーションが同居する感じ。実はかなり暴力描写・しんどい内容も多いのにそれはとても不思議な感覚で、いつまでもこの物語を追う動機となってゆくのです。 ダメな人に対する、共通する「ある気持ち」......どんなものか、ぜひ本作から探してみてください。 さあ、まだ不穏な堅物教師×生徒の物語はどうなるかな? (6巻までの感想) (追記:実はマンバ読書会でリアルタイムで書いたものから、細かく改稿しています。どんなふうに変化しているか、ぜひ配信と比較してみてください! https://www.youtube.com/watch?v=FgBPuVvUHFI) #マンバ読書会 #クチコミを書く回

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