この世は戦う価値がある こだまはつみ
何もかも吹っ切れた女が搾取されたものを取り返していく話
ブラック企業とモラハラ彼氏の狭間でギリギリの生活を送る25歳の女性・伊東紀理。
彼氏の浮気現場に遭遇し、精神の限界に達した彼女は自ら命を絶とうとするのですが、
そんな彼女が偶然手に取った1枚の封筒が彼女を思いとどまらせます。
その封筒に入っていたのは臓器提供への意志登録カード。
死を選ぼうとしたときも紀理が自室で「ここを事故物件とする!」(おそらく「ここをキャンプ地とする!」のパロディ)と叫ぶなど、所々にコメディタッチな描写があるのですが、会社と彼氏によって紀理が追い詰められてゆく序盤から、会社や彼氏と訣別し自由に生きることを決意した彼女の吹っ切れ具合、そしてその後の彼女に降りかかる数々のドラマと、目まぐるしく変わってゆく展開は読者を全く飽きさせません。
そして何より、臓器提供意志登録カードがなぜ彼女の運命を変えることになったのか、そこに隠された彼女の意志は、共感を超えて彼女に感情移入してしまう、そんな力を秘めています。
彼女が始めた「人生の総決算」はまだまだ始まったばかり、これからも目が離せない作品です!
1巻まで読了