音楽系のマンガは傑作が多いイメージがありますが、こちらの作品も1話だけで新たな名作となりそうな予感がします。

18歳の高校生の時ときに脳に起きる難病で舞台でピアノに向かうことができなくなってしまった主人公・奏。ライバルと競うことすらできなくなったことを悲観し「ピアノって人生賭ける価値があるのか」と心にもないことを口にしてしまい、以来印刷会社に就職し働いている。

日常の音が音程で聴こえる絶対音感特有の悩みや、18年間の人生を費やしてきたピアノの道が立たれた苦しみ。楽にならない生活。再び鍵盤に触れて気付いたピアノへの思い…。

1話の中に多くの感情が描かれていてガッツリ心掴まれてました。

ライバルだったマコトは順調にネオピアニストとしての道を歩んでいて、この2人の人生がどう交差するのか楽しみです。

音楽系のマンガは傑作が多いイメージがありますが、こちらの作品も1話だけで新たな名作となりそうな...

1話からあんまり奏に同情できないまんま読んでる

そりゃこれくらいのことが起きたら絶望して当然だけど流石に何年ウジウジしてんの?と思ってしまう

職場のおじさんが勝手に失恋したと思って慰めてくれたの面白かった。きっかけは何であれ仲良くして欲しい。

今の自分がピアノ下手になっていることをちゃんと受け入れてモチベーションにしてるの偉いよ

やがて、ひとつの音になれ

失った音と生きる意味を取り戻していく物語 #1巻応援

やがて、ひとつの音になれ 草原うみ
兎来栄寿
兎来栄寿

新鋭・草原うみさんの初商業連載作品です。 路草で公開されていた珠玉の短編をまとめた『mothers 草原うみ短編集』も6月に発売となるようで、併せて推したいです。 本作の主人公は、5歳からコンサートに出演し10代前半からプロとして活躍しながらも局所性ジストニアという脳の病が発症したことをきっかけにピアノを弾けなくなってしまった越智奏(かなで)。 かつての仲間たちが華々しい活躍をしているのを尻目に、印刷工場のバイトをして日々を凌ぎながら誰とも話さず下を向いて耳を塞いで過ごす日々。 そんな彼を変えるきっかけになったのは、隣の部屋に引っ越してきた33歳のライターの横野絵里と、その6歳のピアノに憧れを持つ息子の陽向多の親子。7年ぶりに向き合ったピアノの音色と人との触れ合いが、奏の失ったものの大きさと大切さを気付かせていきます。 音楽という軸がまずあり、その上で人生で最も大切なものを失くしてしまった青年の再起の物語という軸も並存しています。夢も未来もすべてを無くしてしまい、無気力になり周囲に呪詛を撒き散らすことしかできなくなってしまっていた奏の姿は痛々しいですが、理解もできます。 草原うみさんは、短編からも本作からも痛みや悲しみを掬い取り、そうしたものを描いた上で前に進む普遍的で大事な人間の営みを描くのに長けている方であるという印象を受けます。どうしようもなく人生に訪れる不条理や不遇、他者からの心ない扱いを受ける瞬間。そういったものもありながら、勇気を出して前へ進んでいく人間の気高さや尊さを描ける方です。 この物語のもうひとりのキーパーソンは、かつて奏の音に心酔していて、今は「ネオピアニスト」として動画配信サイト経由で大きな人気を博すようになった真琴。彼との再会によって物語は動きを見せ始め、互いの存在が互いに大きな影響を与えていきます。 個人的には、横野親子との日々の交流シーンが好きです。現代では希薄になりがちな隣近所との関係ですが、そうした赤の他人との繋がりが大きな支えになることもあるというのも良いなと思います。 単行本の表紙絵も非常に良く、回収されるであろうタイトルを表すシーンへと辿り着く瞬間がとても楽しみです。

mothers

mothers

母なる瞬間。それは静かな祈りのようで――喪失を抱えるふたりの母の心の葛藤を描いた表題作「mothers」。突然開けた新しい世界を前に揺れ動く少年とその姉を描いた「蝶になる日」。親子、家族、人間関係の複雑さを優しさあふれる視点で真正面からとらえた珠玉の12編。秘めた気持ちがあふれ出す、新鋭・草原うみの初短編集。

mothers 草原うみ短編集

mothers 草原うみ短編集

母なる瞬間。それは静かな祈りのようで―― 喪失を抱えるふたりの母の心の葛藤を描いた表題作「mothers」。突然開けた新しい世界を前に揺れ動く少年とその姉を描いた「蝶になる日」。 親子、家族、人間関係の複雑さを優しさあふれる視点で真正面からとらえた珠玉の12編。 秘めた気持ちがあふれ出す、新鋭・草原うみの初短編集。

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