魔か天女か… #完結応援
吉田秋生作品何を読もうかな〜と思って選んだのがこれ。全4巻だし、なにより日本画みたいな絵がいいなと思って買ったんだけど想像以上にメチャクチャ良かった。 主人公たちメインキャラクターが80年代の高校生っていう設定が、そもそもなんとも言えない良さがある。小説家だと“ノスタルジーの魔術師”こと恩田陸先生大好きマンなのでぶっ刺さりました。 また、地元じゃ知られた2つの名家の財をめぐる争いに、女子高生である主人公の結婚が大きく絡んでいる……という古今東西で愛されている泥沼設定が物語の主軸なのがまた堪らない。 そして何より主人公である小夜子が、「女」という存在の光と影のその全てを背負わされた超越的存在で恐ろしく、こんなキャラクターを生み出した吉田秋生という作者にまで畏怖してしまう。 「女であるということが ときにどれほどの屈辱をもたらすのか あなたたち男にはわからないでしょうね…」という台詞が頭にこびりついた。 小夜子のように自分を取り巻く全てのことを呪いたくなっても…そこには由似子やその兄、そして涼のような人物がいるということを忘れないでいたい。
「童夢」でも最終的にチョウさんを仕留めたのは女の子だったな…ってのを思い出しました。遊びの延長で無邪気に殺人をするチョウさんと違って、あの女の子は正当な怒りで殺してましたよね(正義のヒーローにこの言い方はよくないかもしれないけど)。吉祥天女に登場する叶小夜子はサイキックという程の能力はないですが、自分に危害を与えた人間の心を操って自殺に追い込んでいました。正直そこまでやらんでもいいだろ…と私は思いましたが、クラスメイトの由似子にとっては最後まで憧れの存在だったことに安心してるところもあります。自然とフェミニズムを考えさせられる作品ですが、これが40年前に描かれたと知って驚きです。今も読まれるべき不朽の名作とはこのことですね。