心揺さぶるアートとは。。?
天才芸術家・花屋敷千雄の娘・ミモザは突出したある意味で天才なのかも。 お世辞にも、上手とは言えない絵を描いているミモザだけど何を誰に言われても、自分が天才だと、ネガティブワードも超絶ポジティブに脳内変換。父親が天才と言われるが故に苦悩する主人公じゃない。 己を表すことが出来るアートって、視る側に色んな想像力をもたらせてくれるし、感情を動かしてくれる良いものだと思う。ザワワとしたり、ドキドキしたり。 キュレーター(この作品で初めて知った)の福沢君とのコンビも凸凹で良い感じ。 コメディータッチで、現代アートって私個人は少し難しいなと感じてた所があったけど分かりやすく読みやすかったです。
ただの床に置かれたメガネを落とし物と思わず、作品と勘違いさせてしまう空間。
それが美術館と第一話冒頭では描かれている。
だから、落書きのような絵も、もっともらしい説明と親の七光り、本人の自信満々な態度があれば、すばらしい作品に見えるのかもしれない。
最初に登場した「福沢」がお金を第一にする人として描かれていたので、次に登場した「みもざ」は「わざと天才と自称し恐ろしく下手な絵を高説と共に描き出す」態度を取っているのかと思ったら――そうなのか、どうなのかもわからなかった。
読めば読むほど煙に巻かれに巻かれ、何が本当で何が嘘なのか、わからなくなってくる。
いやそれだけではなく、あまりにも考えを変えて魅了される人が多いので、あの絵はみもざが言うとおり、様々な意図をはらんだ、おそろしく上手な絵なのかもしれないと思い始める。
作中の大衆に飲み込まれ始める。
だって、福沢が「下手な絵」云々と評しているから、その流れに飲まれて、「下手な絵」と思い込んでしまっただけかもしれない。
どうみても子どもが描くような絵だけど、芸術ってそういう理解できないところがあるもの。
みもざの画力以外にもおかしな点は描かれているのに、気にする余裕もなく、次の御高説が披露され、作中ではまた信者が増えていく。
芸術っていったいなんなんだろう。
現代アートキャンパスコメディとあらすじにあるのに、大真面目に考えてしまう。
お金第一がこんなに理解しやすいシンプルな考え方とは思わなかった。
そして、儲かる個展は開けるのか。
信じる者と書いて「儲」だから、このコンビならいけそうな気もする。
あなたも本作を読んで、この不可思議な世界に足を踏み入れましょう。