今回はBest5とかないのが残念
シリーズではあれも楽しかったな
映画化され、その映画がテレビ放映もされて『映画大好きポンポさん』の素晴らしさを知る人がますます増えていることが非常に嬉しい今日この頃。
「ポンポさんの新作が来ったぞー!」
というわけで、本当に今度こそ新作を出すつもりはなかったそうなのですが諸般の事情により描かれたという新作にして新シリーズ『ニャリウッド!』が発売されました。巻数表記もあり、今後も続いていきそうなのは非常に嬉しいです。
読む順番に関しては、作者の杉谷さんが直々に解説されているのでシリーズ初読の方は参考にしてください。
『ニャリウッド!』1巻のサブタイトルは「映画大好きマズルカちゃん」ということで、前作(『映画大好きポンポさん』3巻)の最後で「映画撮るのって楽しすぎる……」と、自分でカメラも撮れる映画監督になりたいと志したマズルカを主軸にした物語となっています。
『ポンポさん』シリーズは常に最高で大好きなのですが、やはりセリフが良いです。そして、それがそのままキャラの魅力にも直結しています。
″自分に自信が無い奴は心に余裕が無いから
失敗する事が何よりも怖い
他人にカッコ悪い姿を見られるのが何より怖い
だから何も行動を起こさない
何もしなけりゃ何も失敗しねえからな
そういう奴から見れば夢に向かって
突き進もうとするオメーの姿は
我が事だという自覚の有る無しにかかわらず
臆病で守りに入った自分の生き方を
真正面から糾弾されているようで腹が立つ…
というより怖いんだな
だから自分の不安を打ち消すために
上からの立場でオメーの夢を全否定するんだ
無意識のうちに脊髄反射でオートマチックに
人の夢をバカにするようなつまんねえ連中は
全ての責任は何もかも絶対他人の中にあると思い込まないと
自分の人生が格好悪い失敗作だと
自分で気付いちまうからな″
といった本質を突いたものや、
″他者の介在しない世界で
自らが定めた目標に向けて自らを研鑽する
それこそが「本物の自由」よ
本能のままに生きる事が出来ない動物と違って
人間は…人間だけが自由に…自らの意志によって
自らの命の価値を高めることができるのよ″
という魂を熱く燃やしてくれる名言が本作でもガンガン出てきて心に響き渡ります。読者に響くセリフは、当然作品の中のキャラクターたちにも響いて気持ちよく駆動してくれます。
マズルカが初めて取り組む脚本執筆という作業に悪戦苦闘し、もがき苦しみながらも少しずつ前へ進んでいく姿、ビビが真っ直ぐな気持ちで愚直に努力して成長していく王道感も熱いです。そして、遂に到る「創作で最も大事なのは◯◯と◯◯だ」という境地。そこで行われるのは物語を□□ということ。痺れました。その詳しい内容は、ぜひ読んで確かめてみてください。
作中でさまざまな創作論が出てくるのも健在。下手な創作論の本を読むよりも、『ポンポさん』シリーズを読破する方がよほど勉強になりモチベーションも湧く気がします。私も今温めている脚本を気合いを入れて書き上げたくなりました。
そして、書き上げた暁にはウインナー入りチーズグラタンを食べたいと思います。
「撮りたいモノが見つかったらその瞬間から映画作りは始まる」マズルカはニャカデミー賞カメラマン。穏やかで退屈な日常を過ごす中で、また熱に浮かされるような創作の渦の中に身を置きたいと感じている。そんなとき、ストリートミュージシャン・ビビと出会ったマズルカは、彼女を敏腕映画プロデューサーのポンポさんに紹介し、自分のカメラでビビが歌を唄う映画を撮りたいと訴えて……!?脚本も手掛けようと学び苦しむマズルカ、ミュージシャンという夢をつかもうと奮闘するビビ、そしてポンポさんたちの、創作の狂気と感動を再び!
「撮りたいモノが見つかったらその瞬間から映画作りは始まる」マズルカはニャカデミー賞カメラマン。穏やかで退屈な日常を過ごす中で、また熱に浮かされるような創作の渦の中に身を置きたいと感じている。そんなとき、ストリートミュージシャン・ビビと出会ったマズルカは、彼女を敏腕映画プロデューサーのポンポさんに紹介し、自分のカメラでビビが歌を唄う映画を撮りたいと訴えて……!?脚本も手掛けようと学び苦しむマズルカ、ミュージシャンという夢をつかもうと奮闘するビビ、そしてポンポさんたちの、創作の狂気と感動を再び!