人は一緒にいても想定外の事が起こらない、同レベルの人間とツルむものだ。 BULL商事の社長とジャイアニズムや性格の悪さが似通った立花莉子もそうである。 新入社員に「仕事を手伝う」という名目で面倒な残業を押し付ける莉子。そばには取り巻きらしい複数の女性社員。物言いも威圧的で他人に物を頼む態度には見えない。挙句返事がないだけで癇癪を起してヤンキーのような言葉づかいで怒鳴る。女王様かお局気取りのつもりだろうが小学生のガキ大将にしか見えない。 駄目押しに隠れて相手の弁当をわざと捨て、人気がない場所では暴力まで振るう。こんな輩が社会人として生活できるのは相手を選んでやっているからだ。押しに弱そうなほのかや大人しいエリカに横暴な言動をする。女子供にも容赦しないのではなく女子供に“しか”容赦しない。莉子の場合その中でも極めてやり返す心配のない連中ばかり選んでいる。 莉子の取り巻きも見た目だけなら彼女の後ろ盾がなければオドオドしてそうな地味な連中で、なかにはイジメられる側の社員を新たな標的が決まったら強引に加担させていたらしい。こんな女を創立当初から雇っている会社も社員同士のトラブルには塩対応で軽い訓告処分しかしてくれない。当然莉子は告げ口したほのかを逆恨みして彼氏に泣きつく。イジメに飽き足らず社内で男漁りまでしている莉子と反りが合う位だから彼氏もかなりろくでもない。大学の後輩か遊び仲間か知らないが大勢で女性をスマホの電波も届かない山奥に監禁して慰み者にしていたのだ。ほのかもその餌食になり、逃げ出したものの車にひかれて死んでしまう。むろん彼らも相手の女を人間とは思っていないので性犯罪の自覚も罪悪感もほぼない。 とうとう以前のような狂気がわいたエリカに莉子もその彼氏も社長も意外なほどあっさりと成敗される。一般社会の枠組みや地位に守られながら特定の人物のみに吠える。そんな存在はどの世界でも一番の弱者なのだ。安全圏にいながら一線を越えた時点で悪人にも善人にもなれないからだ。 その証拠に莉子は漫画のほぼすべてのコマで眉間にしわを寄せた不快な表情しかしていない。元々目つきが悪いのではなくひとにらみで大人しくなる存在しか相手にしていないので醜悪な表情が染みついているのだ。元から目つきが悪いのなら十中八九それを気にして親しみやすい言動や柔和な表情をする人が多いのだが莉子はそれすらしない。わざとらしい強面ほど雑魚以下の小物が多い。
人は一緒にいても想定外の事が起こらない、同レベルの人間とツルむものだ。
BULL商事の社長と...
@OsamaBinLaden

莉子が本作品におけるアンチヒロインであることがよくわかりました…ありがとうございます

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OsamaBinLaden
1年以上前
この漫画での相変わらずなエリカのぶっ飛び具合にも驚いたがそれよりも立ち直ろうとしたエリカの心を壊した周囲の底意地の悪さが目立っていた。 現実でも企業内でのハラスメントが問題化して久しいが、最近は小中学生のイジメの延長線のようなものも増えてきた。 集団で他人に激辛料理や異物を無理矢理食べさせて嘲笑したりする。 社会の枠組みや、十分すぎる地位にいる人間が稚拙なセクハラ・パワハラを行うのは何故か?自分に十分な社会性があるかどうかは社会に出てすぐでは意外とわかりづらい。人によっては一生理解できない人もいる。 “傍らに人無きが若し”と書いて傍若無人となるように、次第に自分以外を人間扱いしなくなる。 BULL商事株式会社の社長とその社員の立花莉子がまさにそのタイプ。 駄々っ子と違って、大人になる長い過程で腐った性根は一生ものである。 BULL商事株式会社の社長はPCの使い方さえ知らないエリカを雇って性○隷扱いしている。陰気でメンヘラなエリカに食指を動かした理由もおそらく(無抵抗そうだから)というだけだろう。それも社長は女房子があるのに、である。 家庭での社長は別人のように模範的な一家の主を演じている。事故死した女子社員の遺族に対し大袈裟なほど涙を浮かべていたシーンからして取引先の前でもおそらく完璧に人格者を演じているのだろう。他方ではエリカだけにとどまらず、社員の一人に未成年の妹を紹介するようヤクザ顔負けの勢いで恫喝する。そんな社長は自らを「出来る男」とうぬぼれているが、一家の主や経営者にふさわしいリーダーシップがあれば曲がりなりにも家庭と仕事を両立しているはずである。 俳優でもタレントでもない社長がプロの役者顔負けの演技力と二面性が身に付いたのは社会性どころか経営者としての自覚がないから。リーダーシップには、人徳(責任感・信頼・包容力)の気質が不可欠だが、社長には一切見られない。性犯罪同然のセクハラ行為をしまくる社長にはリーダーシップとはかけ離れたジャイアニズムが出ている。
この漫画での相変わらずなエリカのぶっ飛び具合にも驚いたがそれよりも立ち直ろうとしたエリカの心を...

人気のコメント

OsamaBinLaden
1年以上前
この漫画での相変わらずなエリカのぶっ飛び具合にも驚いたがそれよりも立ち直ろうとしたエリカの心を壊した周囲の底意地の悪さが目立っていた。 現実でも企業内でのハラスメントが問題化して久しいが、最近は小中学生のイジメの延長線のようなものも増えてきた。 集団で他人に激辛料理や異物を無理矢理食べさせて嘲笑したりする。 社会の枠組みや、十分すぎる地位にいる人間が稚拙なセクハラ・パワハラを行うのは何故か?自分に十分な社会性があるかどうかは社会に出てすぐでは意外とわかりづらい。人によっては一生理解できない人もいる。 “傍らに人無きが若し”と書いて傍若無人となるように、次第に自分以外を人間扱いしなくなる。 BULL商事株式会社の社長とその社員の立花莉子がまさにそのタイプ。 駄々っ子と違って、大人になる長い過程で腐った性根は一生ものである。 BULL商事株式会社の社長はPCの使い方さえ知らないエリカを雇って性○隷扱いしている。陰気でメンヘラなエリカに食指を動かした理由もおそらく(無抵抗そうだから)というだけだろう。それも社長は女房子があるのに、である。 家庭での社長は別人のように模範的な一家の主を演じている。事故死した女子社員の遺族に対し大袈裟なほど涙を浮かべていたシーンからして取引先の前でもおそらく完璧に人格者を演じているのだろう。他方ではエリカだけにとどまらず、社員の一人に未成年の妹を紹介するようヤクザ顔負けの勢いで恫喝する。そんな社長は自らを「出来る男」とうぬぼれているが、一家の主や経営者にふさわしいリーダーシップがあれば曲がりなりにも家庭と仕事を両立しているはずである。 俳優でもタレントでもない社長がプロの役者顔負けの演技力と二面性が身に付いたのは社会性どころか経営者としての自覚がないから。リーダーシップには、人徳(責任感・信頼・包容力)の気質が不可欠だが、社長には一切見られない。性犯罪同然のセクハラ行為をしまくる社長にはリーダーシップとはかけ離れたジャイアニズムが出ている。
この漫画での相変わらずなエリカのぶっ飛び具合にも驚いたがそれよりも立ち直ろうとしたエリカの心を...
宝石の国

重さと軽さが同居する、命の話

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アフリカ象とインド象
アフリカ象とインド象

大好きな漫画です。 学生の頃、この漫画に狂っていた時期がありました。 友人全員にこれを読めとしつこく勧めて、 読んだ人に対してはお前はこの漫画の何もわかってない!と浅い考察を語る最悪のオタクでした。黒歴史です。 つまり、人を狂わせるほど魅力ある漫画ということとも言えます。言えますね。 とはいえ、こちらは既に多方面で紹介され尽くした人気作でもあります。 今さら自分の稚拙な語彙でレビューしても読むに耐えませんので、 ネットの海に散乱した情報に少しだけ補足をして、読むことを迷っている方の壁を取り払えればと思います。 この漫画が話に上がる時についてくるのが、とんでもない鬱漫画だという話題。 これが読み手の1つのハードルになってしまっていると思います。もったいない! 大丈夫。救いはあります。怖くないです。 確かに取り扱うテーマは重く、展開に心が締め付けられることはありますが、この作品の魅力はそこだけではないです。 素晴らしいのは重厚な世界観の中に、ポップさのエッセンスを忘れず組み込んでいること。 (ここで言うポップさとは、いわゆる大衆に寄り添う心のこと) 会話のテンポ、 キャラの関わり、 かわいらしいジョークのセンス。 そういう要素の節々に、作者である市川春子氏の人柄を感じられます。 そしてその人柄から読み取れるのは、 この人は読者の心をズタズタにしたい訳ではないよ〜。 ということ。 きっと最後まで読み切った方なら共感してくれると思います。 苦しさの先に希望がある。 これは人間の話。命の話。生と死の話。愛の話。宇宙の話。 火の鳥超えてます。ガチ。

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