不死者と死の匂い #1巻応援
死の匂いがする、と感じて読み進める。不死者の物語であるはずなのに、登場人物の誰もが死と隣り合わせの様な、妙な悲壮感で前のめりに進んでゆく。 不死の眷属の女性と、彼女から血を分けられた元会津藩士。不死者を殺す事ができる刀を求める二人の戦いは、「大切な者」を殺す予定に向かって進んでゆく。 新たな目標に再び生き甲斐を見つける元会津藩士。美味しい食べ物を知る不死の女性。活き活きと前進し、刀を振るって躍動する二人。 しかし切られれば深く傷つくし、強力な敵の前に危険は尽きない。不死者の尊厳を奪う構造は江戸幕府滅亡後も残り続ける。そしてなんと言っても「不死者を屠る刀」という、強力なジョーカーの存在。残酷さに震えながら、読む手を止められない。 そこにある切なさからは「強力なサイボーグだが代償に短命を宿命づけられる」という『GUNSLINGER GIRL』と同様の、悲しい袋小路を想起してしまうが……。