欲望の化身、巨大馬ボンバが次々と人を襲う! #完結応援
『シュマリ』を最近読みまして、近い時期に描かれた『ボンバ!』もハードだよというのを見かけたので読んでみました。 『シュマリ』と同じく『ボンバ!』も復讐から物語が始まりますが男らしいシュマリに対して本作の主人公男谷はかなり暗い男。今の言葉で言えば陰キャです。この男谷の嫉妬心や欲望が、戦時中に父が世話をしていた軍馬ボンバの形を取り、邪魔だと思う相手を殺すようになります。 男谷が恋心を抱いていたヒロインの水島先生はとってもかわいく描かれるのですが、劇中で迎える結末はかなり唐突かつ悲惨なもの。この冷や水を浴びせるかのようなあっけなさ、あまり現代の作品には無いなと思ったり。あっさりと描かれているからこそ些細な運命の悪戯が誰かの人生を狂わせるもどかしさと切なさを強く感じます。 水島先生を失った男谷は社会を憎み、逆恨み的にボンバで人を襲うようになります。復讐心がコントロールを失い暴走するのはのちの『鉄の旋律』にも引き継がれているような。巨大なボンバが暴れ回る画面は怪獣映画さながらで迫力満点です。 暴走したボンバを抑えこむための決着は少々強引な気もしますが、負の感情をどう克服するか、というテーマに対しては美しい終わり方だと思いました。やはり最後は愛。
謎のシリアスな馬の表紙と「ボンバ!」のタイトルでだいぶ損をしてますが、こちら結構粒揃いの短編集となります!!結構オススメできます!
表題作こそ、少し物語のラストがご都合すぎないか?と思いましたが、その後、チェイサーで一躍有名になった「魔の山」(サンデーの若手編集者が登山ものをということで書いたやつで、のちのBJを匂わせる作風との紹介)をはじめ、ハッピーエンドやバッドエンドなどバラエティも豊富で、軒並み読んだ後に読んで良かったと思わせる小気味良い作品が並びます!
「ずんべら」という作品は学生探偵が主人公で謎解きをする話ですが、少しコロンボっぽさもあり、これを続けていれば、ひょっとすると金田一を超える探偵マンガの祖となったかもしれません!
あとあとがきスペースに乗っている「ぼくの短編について」というヅカ先直々にお書きになった解説がとても興味深かったので、こちらも必見です!
収録作品は、以下のとおりです!
■ボンバ!
■魔の山
■がらくたの詩
■赤の他人
■三つのスリル
■机の中へこんにちは
■ずんべら
■やまなし
■ふたりでリンゲル・ロックを