人生について考えさせられる
育児は大変ですし、旦那さんも仕事は大変です。 大変な自分を助けて欲しい。けど夫婦で話し合うことができなかった話です。凄く共感する部分もあり、結婚生活のリアル感が凄かった。 結婚が失敗だったわけでもなく、離婚が失敗だったわけでもない、誰もが人生を自由に設計できるのだと思わせてくれる作品でした。
夫にとって、私と結婚したことが「人生最大の失敗」だったそうです。それはこっちのセリフだと、50歳を目前に離婚しました。独り身になってみてしみじみわかる、孤独と喪失と焦燥。数十年ぶりの独身生活に困惑しつつ、今日も自分を生かすため、働かなきゃなりません。離婚は未来を明るく照らす決断だったのか、それとも老後を棒に振る愚行だったのか…? --------------主人公エリコの真の「人生最大の失敗」とは、何だったのでしょう…。
とあるサイトで紹介され、作家さんも、もともと自分がよく読んでいた作家さんだっただけに、興味がてら読みました。
特に、夫婦関係の機微というか、絶妙な空気感が読んでいて共感しかないので好きな作家さんの1人なんですよね。
全く読んだことなかった時は、表紙とかパッと見「ん?大丈夫か?」となりますが、ストーリーとか会話が不思議と入ってくるので、エッセイのような内容にピッタリの絵なんだと思う。
さて、本作は、エッセイ系によくある夫婦関係のいざこざで、ある日夫が浮気相手との電話で
「人生最大の失敗は、結婚だよ」
と言っている姿を目撃した主人公の話。
SNS上に溢れんばかりにこの手の話があるので、皆誰しも一度は思うことなんでしょう。
本作の主人公は、そんな夫に対して見切りをつけて、自分で生きていくことを決める。
子供が成長してからの離婚、まぁ熟年離婚ですね。
その後の生活のハードさや、その年で一人になった時の寂しさ、周囲との関係(主に同情めいたもの)が、とにかくリアル。
夫の文句を言いながらも、なんだかんだ自立の難しさや子供を言い訳に別れることができない友人の存在も良い対比になってます。
自分も我慢して結婚生活を続けたほうが良かったか?などの葛藤がよぎるが、どっちが良かったかなんて一概に言えない中で、彼女の決断や行動は色々学ぶことが多かったです。
どっちの決断だって頑張っていれば格好いいんだと思わされます。
内容が内容だけに湿った感情がうずまくのですが、不思議と読後感は悪くなくて(ここも、この作家さんのすごいところだと思う)、むしろ、1冊で色んな人間の価値観に触れられて刺激になりました。
この夫婦にとって、本当の意味での「人生最大の失敗」はなんだったのか?
それはぜひ本作を読んで感じて欲しいです。