作中にもたびたび登場してましたが、この人ナシでは成立しなかったのでは?と思えるほど重要な役割を担ってましたね。作者さんへの配慮だけでなく、諸処の問題への対応力も素晴らしかった。単に、漫画家・編集者という関係だけでなく、ペス山先生がチル林さんと初めて出会ったときのエピソードで描いてるように、どこか運命的な出会いだったのかも。

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女の体をゆるすまで

女の体を生きる苦しみを思う #完結応援

女の体をゆるすまで ペス山ポピー
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

怒りに打ち震える。女性の体を生きる事の理不尽に、冷静さを失いそうになる。私は男性だが、ここに描かれる作者が受けた理不尽は、私の「男性性」に憎しみを向けさせるのに充分だ。酷すぎる。 アシスタント先の漫画家男性から性的ハラスメントを受けた恐怖に立ち向かうところから始まる本作。読み進める程に様々なハラスメント・暴力が、幼少時代から一つ一つ描かれる。 そこに作者の、曖昧さもありつつはっきりと女性らしさを好まない「Xジェンダー」についてが描かれ、それは女性の体を抱える絶望をより深める。生き辛かっただろうその人生の中で、心を病み、大切な人に辛く当たり大切にできなかったという後悔も、メンタル疾患を抱える私には共感できる部分が大きい。 描かれる男性は様々だ。ネジが飛んでしまっている危険な人物を、社会はどうすれば良いのだろうか。また親友だった少年によるハラスメントは、「男が主導して性的行為をしなければ」という、男性によくあるジェンダー規範が根底にあったのかもしれない。 一方で作者は、加害する男は実はちっぽけな存在、と看破する。その事は作者が繰り返し、出会った加害男性の姿(電車の隣に座ったおっさんまで)を描写してゆく事で明らかになってしまう。 男性の自尊心を満たす事でバランスを取る社会のために、作者が抱えた心の傷。それに女性編集者との対話で少しずつ気付き、言語化・作品化する困難に挑んだ作者の、人生を賭けた挑戦に感謝したい。

宝石の国

重さと軽さが同居する、命の話

宝石の国
アフリカ象とインド象
アフリカ象とインド象

大好きな漫画です。 学生の頃、この漫画に狂っていた時期がありました。 友人全員にこれを読めとしつこく勧めて、 読んだ人に対してはお前はこの漫画の何もわかってない!と浅い考察を語る最悪のオタクでした。黒歴史です。 つまり、人を狂わせるほど魅力ある漫画ということとも言えます。言えますね。 とはいえ、こちらは既に多方面で紹介され尽くした人気作でもあります。 今さら自分の稚拙な語彙でレビューしても読むに耐えませんので、 ネットの海に散乱した情報に少しだけ補足をして、読むことを迷っている方の壁を取り払えればと思います。 この漫画が話に上がる時についてくるのが、とんでもない鬱漫画だという話題。 これが読み手の1つのハードルになってしまっていると思います。もったいない! 大丈夫。救いはあります。怖くないです。 確かに取り扱うテーマは重く、展開に心が締め付けられることはありますが、この作品の魅力はそこだけではないです。 素晴らしいのは重厚な世界観の中に、ポップさのエッセンスを忘れず組み込んでいること。 (ここで言うポップさとは、いわゆる大衆に寄り添う心のこと) 会話のテンポ、 キャラの関わり、 かわいらしいジョークのセンス。 そういう要素の節々に、作者である市川春子氏の人柄を感じられます。 そしてその人柄から読み取れるのは、 この人は読者の心をズタズタにしたい訳ではないよ〜。 ということ。 きっと最後まで読み切った方なら共感してくれると思います。 苦しさの先に希望がある。 これは人間の話。命の話。生と死の話。愛の話。宇宙の話。 火の鳥超えてます。ガチ。

じぶんのからだをゆるすまで
女の体をゆるすまで(上)
女の体をゆるすまで(下)
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