進まない
たーたん 西炯子
敦が鈴にいつカミングアウトするのか、このマンガの核はこの一点で、それがいつ訪れるのかを楽しみにしながら読んでいる。
当然、そう簡単にその時は訪れない。このカミングアウトに向けて物語を補完する作業が延々と行われている。
それはそれで構わない。登場人物たちの人間性が回を重ねていくごとに深みを増していくのは良いことだ。
だが、月イチ連載がゆえに進むペースが遅い。
もうそろそろ物語が急展開してもいい気がするが、なかなかそうはならないのだろう。
これは我慢比べのマンガだ。
マザー クライシス
ビッグコミックオリジナルのデジタル版のみで始まった新連載。
子供の時から自分は美人だという自覚がある女が主人公。村中から「あの娘は玉の輿に乗るだろう」と噂されるほどだったのに、貧しい農家に嫁ぐことになってしまう。結婚してから夫の酒癖の悪さを知り、姑からはいびられ、寝たきりの舅の世話をしなければならない。この結婚は失敗だったという後悔からなのか、なぜか自分が産んだ長女の顔だけが化け物のように見えてしまう現象が起きていた。どうやら他の人には次に産まれた長男と同じように自分とそっくりな美しい子供に見えているらしい。
どうしても萩尾望都の「イグアナの娘」を思い出さずにはいられない設定ですが、さすが曽根富美子だなと思ったのは長女が血を流している時だけは可愛らしい顔に戻っているという点です。こうして母親である主人公は娘の身体を傷つけることで得られる一瞬の現実逃避の快感に目覚めてしまいます…。
隔月連載なので気長に追いながら感想書いてこうと思います!