押見修造先生の表現はどこまで進化するのか
押見修造先生の最新作。新たな代表作である「血の轍」も出身地の群馬県が舞台になっていて実体験がベースにあるような気がしましたが、今作「ひろみ」はよりそれを感じました。ペンタッチがいい意味で力が抜けているのも、頭の中の朧げな記憶をそのまま描き表したい意図があるように思えました。すでに「血の轍」の時点で、研ぎ澄まされた心理描写は誰も真似できない地点にありましたが、押見先生の表現がこれから更に進化することを予感させられますね。物語の展開としてもちろん後編が気になりますが、その前に子供である主人公に罪悪感を植え付けた女教師はマジ許すまじ…!
ビッグコミックオリジナルのデジタル版のみで始まった新連載。
子供の時から自分は美人だという自覚がある女が主人公。村中から「あの娘は玉の輿に乗るだろう」と噂されるほどだったのに、貧しい農家に嫁ぐことになってしまう。結婚してから夫の酒癖の悪さを知り、姑からはいびられ、寝たきりの舅の世話をしなければならない。この結婚は失敗だったという後悔からなのか、なぜか自分が産んだ長女の顔だけが化け物のように見えてしまう現象が起きていた。どうやら他の人には次に産まれた長男と同じように自分とそっくりな美しい子供に見えているらしい。
どうしても萩尾望都の「イグアナの娘」を思い出さずにはいられない設定ですが、さすが曽根富美子だなと思ったのは長女が血を流している時だけは可愛らしい顔に戻っているという点です。こうして母親である主人公は娘の身体を傷つけることで得られる一瞬の現実逃避の快感に目覚めてしまいます…。
隔月連載なので気長に追いながら感想書いてこうと思います!