押見修造先生の表現はどこまで進化するのか
押見修造先生の最新作。新たな代表作である「血の轍」も出身地の群馬県が舞台になっていて実体験がベースにあるような気がしましたが、今作「ひろみ」はよりそれを感じました。ペンタッチがいい意味で力が抜けているのも、頭の中の朧げな記憶をそのまま描き表したい意図があるように思えました。すでに「血の轍」の時点で、研ぎ澄まされた心理描写は誰も真似できない地点にありましたが、押見先生の表現がこれから更に進化することを予感させられますね。物語の展開としてもちろん後編が気になりますが、その前に子供である主人公に罪悪感を植え付けた女教師はマジ許すまじ…!
とある夫婦の目の前に唐突に現れた、着物にマスクの女の幽霊。
霊媒師?によると幽霊の心残りは、長年夫には世話になったこと、コロナ禍でちゃんと挨拶ができなかったこと、更にはたらいた不貞を奥さんにお詫びしたいというもので、夫はすっかり過去のキャバクラ嬢との浮気を疑われ、今更夫婦仲が最悪になり…という流れだったのですが、実はそのキャバクラ嬢は現在も元気に生きていて、「じゃあその幽霊は誰!?」という意外な展開に。
最終的にその幽霊はこの夫婦とは無関係の人物で、ちょっとイイ話?っぽく終わりましたが、過去の浮気が今更バレたり、昔のことだからと言って許されないというのは読んでギクッとする人もいるのではと思いました。